« 聖なる楽器~平原綾香 | トップページ | 母なる深雪の愉悦 »

2006年3月12日 (日)

スキーを教えたくないワケ

 ワタシは、スキーヤーだし、仕事で古文を教えているのですから、両者を組み合わせてスキーを他人に教えても可笑しくなさそうなのですが、何故かそれはしたくありません。ワタシ個人のスキー技術は、多分、その辺のスキーインストラクターさん達と比べても遜色ないのですが、他人にスキーを教えるというのは抵抗があります。だから、時々「スキー教えてください」などと言われると、困ってしまいます。

 まず、他人に教えるくらいだったら、自分で滑っていた方が楽しいということがあります。ワタシゃ、予備校での仕事中は、どちらかというと教えるのが好きな方なんですが、スキーはダメなんだな~。自分で滑る快感には勝てないんですよね。

 加えて、準指導員・指導員といった資格を取得していないということがあります。取得する気になれば多分取れるのだろうと思うのですが、仕事との関係で取得する暇がないのです。資格を持っていなくても、友達に教えるには差し障りないのですが、それもなんだか気がひける・・・。

 というのは、こんなワケです。ワタシ自身は古文を教えるプロとして自負があります。だから、素人さんが古文に関して判ったようなことを言って教えているのを見ると、ちょっと腹が立つのです。例え、それがどんな学力を持っている人であってもです。本人の学力と教えることとは別物です。素人さんで学力のある人、例えば現役の大学生などが教えているのを時々目にしますが、たいてい自分が成功した方法論を生徒さんに押し付けようとします。ところが、その人が結果的に成功したからといって、万人に向いた方法論とは言えないワケで、特に中途半端に出来る子ほどトンでもなく我流だったりします。

 こういうの、実は大学生に限りません。以前、ウチの予備校の某他教科の先生が、「古文なんて昔の人の気持ちになって考えりゃ良いんだから簡単だよ」と生徒さんに教えていたのを見たことがありますが、ちょっとコイツ殴ってやろうかと思いました。お前!「昔の人の気持ち」にホントになれるのかよ?! 輪廻転生因果応報に支配された世界に生き、旅に出るのも外出するのも、髪の毛を洗うことすら陰陽師の占いで決めていた連中の気持ちに、一夫多妻で、相手の姫君の顔も姿も声さえも結婚当日まで知らないくせに、顔から火の出るような熱烈な恋の歌でプロポーズしちゃう連中の気持ちに、ホ・ン・ト・に・な・れ・る・ん・で・す・か?某教科の人気講師Sセンセっ!ワタシゃ、二十数年間、古文ばっかり相手にしてきたけど、今まで、ホント~に古代人の気持ちになりきれたなどと思ったことは一遍もありませんゼ!

 この時以来、ワタシは、他教科については、例え生徒に聞かれても答えないようにしています。

 こういう経験があるので、ワタシは、スキーを教えたくないのです。自分が、教えるプロとして自負を持っているがゆえにスキーを教えるワケにはいかないのです。

|

« 聖なる楽器~平原綾香 | トップページ | 母なる深雪の愉悦 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: スキーを教えたくないワケ:

« 聖なる楽器~平原綾香 | トップページ | 母なる深雪の愉悦 »