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2006年4月11日 (火)

詐欺師Nの思い出~プロローグ

 十年ほど通った地方大都市の校舎の出講が今年から他の先生と交代になり、先日、その校舎のロッカーから荷物を引き払ってきました。ロッカーにゴタゴタと溜まっていたプリント類の中に、その資料を見つけた時、何とも言えない感慨が沸いてきて、思わず座り込んで見入ってしまいました。それは、ある詐欺師の残したプリントだったのです。彼の名はN。何人かの生徒さんの人生にあまり好ましくない影響を与え、何人かの職員に苦い思い出を残し、そして、ワタシの中には、この商売に関する知らなくても良い知識と諦観とちょっとした心の傷を残していった男。

 この男のことは、いずれ書かねばならないと思っていました。というか、この男のことを書き残すために、このブログを始めたのかもしれません。だから、ロッカーからプリントが出てきた時に、いよいよ書かねばならないと覚悟しました。しかし、あんまり気が進まないんですよ。思い出したくない男なので。

 その当時、この地方校舎は立ち上げて数年、まだ、ほとんどの講師を東京から派遣している状況でした。こういう地方大都市の校舎は、東京から何人かの講師を派遣し、現地在住の人材を探し出して運営していくものなのですが(06'3/6「予備校屋から見た正しい予備校の選び方その二」参照)、その時、この地方校舎では、まだ現地在住の人材を十分に探し当てていない状況でした。従って、ほとんどの講師が東京から派遣されていました。この状況は、講師側の体力面にも多少の無理がかかるものでしたが、それ以上に、学校の経営面に無理のある状況でした。なんせ、東京から多くの講師を派遣すると、交通費と宿泊費だけでもかなりの出費が嵩みます。それで、学校側としては一刻も早く現地在住の有能な人材を発掘する必要がありました。そんな中、その男は我々の前に現れたのです。

 Nが、ウチの古文の講師として採用されることになったいきさつをワタシは知りません。ウチの厳しいはずの採用試験をキチンと通っているとは考え難いのですが、今となっては詳細を知る由もありません。ただ、上記のような状況だったので、もしかして、特例の無試験での採用ということがあったかもしれません。なにしろ、Nは、当時、この地方大都市の某中小予備校きっての売れっ子人気講師でしたから。そして、そういう人材をこの地方校舎は喉から手が出るほど欲していたのです。

 Nとワタシは、その年の春、一学期開講前の顔合わせの席で初めて会ったはずです。何故かワタシには、その時の印象があまり残っていません。後になって考えれば、あれだけ強烈な個性の持ち主が、初対面で何のインパクトも与えなかったのは、奇異な感じがします。我々は、慇懃でもなければ冷淡でもなく、かといってフレンドリーでもない挨拶を交わしたように思います。ワタシは、その席で、新規採用のNにウチの教授システムや教材について説明し、Nは多分、穏やかな顔をしてワタシの説明を聞いていたと思います。本来の顔を隠して。

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コメント

そ、その方は、まさか!
例のN氏ですね。
続きが楽しみです。

投稿: 某大手予備校 数学講師(28) | 2006年4月12日 (水) 06時32分

そのN氏という方の話を拝読しました。その方の苗字の1文字だけでも結構ですから教えていただけませんか。いったい何をやらかしたのか調べたいのです。

投稿: 走馬灯 | 2017年1月19日 (木) 23時52分

 「当ブログの運営方針」の<固有名詞に関して>をお読みください。

投稿: Mumyo | 2017年1月19日 (木) 23時57分

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