不機嫌な内向ロック~YUI
一昨日は、我がホームゲレンデ六日町八海山の通常営業最終日でした。ワタシのスキーシーズンもようやく一区切り。やっと時間的余裕が出来ました。
んで、今日は音楽の話。YUIのファーストアルバム『From me to you』を聞き込んでいるのですが、レベル高いですねえ~。
まず、歌が上手い。アップテンポな曲でのシャウトも悪くないけど、『不機嫌なジーン』の主題歌「feel my soul」や「TOKYO」でのつぶやくような低音も心地よく響いています。時折使うファルセットも巧み。創作能力も高いです。曲想も面白いし、十七歳かそこらなのに詩の世界が多彩。時々、はっとさせられるような悟ったことを言ったりします。頭良いんでしょう。
全体の世界を一言で言うと、「不機嫌な内向」。彼女は、常に自分の内面を向いていて、自己の内面と他者とのズレを不機嫌そうな声で歌います。例えば、「Blue wind」。何かに傷ついた彼女をジョークを交えて慰めようとする彼に対して、「あなたが言ったジョーク一つも笑えなかった。あなたが言った『神様はきっと見てるよ』って。初めて笑えた。もっと気の利いたこと言ってよ」こんなこと言う女がホントにいたら、殴られるヨ。~o~
時折、彼女は他者の笑顔や涙に「愛」を感じたりもしますし、他者とのコミュニケーションを望み、愛されたいと願って「陽のあたる場所に出て両手を広げて」みたりするのですが、「濡れたブランコ」のようにスレ違うだけの他者との断絶に絶望して、「心の中すべてを、とても伝えきれない」「カギがみあたらない。だから出られない。この部屋から」と叫ぶばかり。 「I feel my soul Take me your way」は、まさに彼女の世界を過不足無く言い当てているのでしょう。
こういう内向的な天才少女って、ある程度自分の内面を歌いきってしまうと、材料不足に陥って燃え尽きてしまうのではという不安があります。あの天才川本真琴がそうだったように。特に、YUIほどの急激な成功というのは、彼女を取り巻く環境を急変させるでしょうから、果たして、「TOKYO」で歌ったような上京前の不安定な気持ちを、何時までも持ち続けられるのかどうか。でも、YUIほど内面の壁が高く知性的であれば、乗り切ってくれそうな気もするのですが・・・。創作者YUIのファンとしては、彼女と外界との「健全な」断絶が何時までも続くことを祈るばかりです。まー、そういうのって、YUI個人としては不幸でしょうけどね。~o~;;
そりゃそうと、「TOKYO」って曲の「出身地の街の正しさとそれに反して出て行く自分の不安」というモチーフって、椎名林檎「正しい街」とカブるんですが、やっぱ影響関係あるんでしょうね、同じ福岡のストリート出身だし、YUI自身、リスペクトの一人にSiena Ringoを挙げていたと思うので。ただし、あくまでも内向的に自分の心象を歌っているところは、いかにもYUIなのですが。
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コメント
TBありがとうございました。
アルバムに対して、面白い考察だったので
ちょっと読みいっていました。(笑
今後も、良くも悪くも YUIらしさが充分感じられる
曲を作っていってくれるといいですね。
投稿: カツキ@rebrain | 2006年4月 4日 (火) 22時09分