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2006年5月26日 (金)

負うた子におびやかされ・・・

 昨日、予備校の生徒さんから、授業後、『竹取物語』の次の箇所について質問を受けました。

  「そのあたりの垣にも家の門にも、をる人だにたはやすく見るまじきものを、夜は安きいも寝ず、闇の夜に出でて、穴をくじり、垣間見、まどひあへり。」

 かぐや姫を求める男達が、竹取の翁の家に押しかけるという場面で、通常、諸注釈では、「そのあたりの・・・門にも」の部分を「夜は安き・・・」以下の部分につなげて読み、

 ”(男達は)翁の家のあたりの垣根でも家の門のあたりでも、夜は安らかに寝ることもせず、月のない真っ暗な晩に出かけて、土塀に穴をあけ、覗き見し、皆取り乱している”

という文脈の間に、「をる人だに・・・見るまじきものを」が挟み込まれていると見て、「をる人だに・・・」を、”家の中にいる人でさえかぐや姫を簡単に見ることはできないのに”と解釈し、

 ”(男達は)翁の家のあたりの垣根でも家の門のあたりでも、家人でさえかぐや姫を簡単に見ることはできないのに、夜は安らかに寝ることもせず、月のない真っ暗な晩に出かけて、土塀に穴をあけ、覗き見し、皆取り乱している”

などと訳します。んで、ワタシも授業では、いろいろと説明をした後、この訳をしたのです。ところが、質問というのが、

 「『をる人』が”家の中にいる人”であることは判りました。でも、『をる人だにたはやすく見るまじきものを』を、”(男達が)家の中にいる人をさえ簡単に見ることはできないのに”ととってしまったのですが、それではダメですか」

 「いや、それはねえ・・・」と否定しかけて、あらら、それもありじゃないかと思えてきてしまいました。つか、その方が良さそうに思えてきてしまいました。うーむ、さすが、ウチの予備校の生徒。もしかして、コレは立派な「読み」かもしれません。「うーん、君の読み方も有り得そうだねえ」と言ってその子を帰しました。

 実際、最新の注釈書を調べてないので、判りませんが、手元の二、三の注釈を見る限り、この「読み」は有力な新説かもしれません。詳しい話は、また明日にでも。

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