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2006年5月19日 (金)

先生の育て方

 昨日、予備校で仕事が終わった後、職員用のトイレに入ろうとしたら、先客がいたので、外で待っていました。そうしたら、出てきたのはアルバイトの大学生で、彼は、外で待っていたワタシを見て本当に申し訳なさそうに、「スミマセン」と言って慌てて出て行きました。別に、トイレに先に入ってたくらいで謝られる筋合いもないので、ちょっと返答に困ったのですが、予備校というところは、この一件にもよく顕れているように、我々講師に過剰なほどのリスペクトを払ってくれます。

 これは、アルバイト君だけではなく、一般の職員も同様です。我々は、授業に向かう際に必ず、職員から、「よろしくお願いします」と頭を下げられて送り出されます。もちろん、一般の職員ということになると、腹の中は知れたものではありませんが、それでも表面上は慇懃な態度を取ってくれます。この関係は、職員がどんな役職の職員であっても(一部例外あり~ ~o~;;;)、講師がどんな駆け出しの新任講師であっても同様です。コレって考えてみればすごいことです。

 こういう、先生をリスペクトする態度って、必ず生徒に伝染します。だから、予備校では、普通の生徒は講師に対して一応のリスペクトを払ってくれます。もちろん、そうでない一部の「お生意気なお子さん」「常識をご存知ないお子さん」(罵詈雑言に置換して読むこと)も存在はしますが、ある程度のレベルの授業さえしていれば、普通の生徒は講師に対する礼儀を、めったなことで失することはありません。

 こういうことって、実は、先生を育てる上で大事なんじゃないかなと思います。ワタシ自身も、随分救われてきました。まだ、駆け出しの講師で、実力不足を誰よりも本人が判っていて、ビクビクしながら教壇に上がり、「お生意気」な生徒さんの質問に怯えていたあの頃、ワタシを支えてくれたのは、職員さん達の作り出す「先生をリスペクトせよ」という雰囲気だったと思います。

 翻って、普通の小中高の先生達は、お気の毒だなという思いを禁じえません。なにしろ、「先生をリスペクトせよ」という雰囲気を、誰も作ってくれないのですから。これを自分一人で作り出すのはタイヘンですよ~。小学校や中学校で生徒さんを御しきれない先生の話を、時々耳にしますが、その度に胸が痛みます。この人達は、誰も味方がないんだろーなーって。

 生徒さんをコントロールできない先生が生まれるのって、実は、生徒の父兄を始めとした周囲の責任でもあるんです。母親が、「あの先生はダメよ」って言ってるのを聞いたら、どんな子供だって、先生をリスペクトしないですよね。生徒からのリスペクトがなければ、生徒をコントロールすることなど出来るわけがありません。それなのに、先生の力不足ってことになってしまう・・・。こういうのは、本当にお気の毒な関係です。

 だから、ダメな先生の話を聞くたびに、「オレは予備校屋で良かった~」と思ってしまうワタシなのでした。

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