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2006年10月28日 (土)

祝「日本酒」独立記念日

 日本酒関係の記事が増えてきたので、「日本酒」というカテゴリーを「飲食物」から独立させてみました。ってことで、独立記念にまたまた日本酒の話。昨今の日本酒を消費者の側から語る時、大事なのはコストパフォーマンスではないかと思います。ワタシ、けっこう重視してます。

 日本酒の値段って、ホントに当てになりません。値段の決定要素には、品質や味以外に歴史的経緯が絡んでくると思うので。

 地酒や吟醸酒の最初のブームがおこった頃、名前を売った酒造の酒は、今となっては概して割高になっています。「越の寒梅」などはその典型でしょうが、「浦霞」「菊姫」「久保田」「黒龍」などがその類でしょう。残念ながら、我が「八海山」もプレミアがついた値段で売られる限り、この仲間に入ってしまいます(まあ、定価で買う分には、「八海山」はここには入らないのですが・・・)。茨城「郷の誉」や静岡「磯自慢」、青森「田酒」なんかも、ここに近いかもしれません。

 これらの酒造の酒は、銘酒として名前が売れているので、ある程度日本酒にお金を出せる固定客がついています。無理して品質を向上させなくても、今までの通り作っていれば酒は高い値段でさばけていきます。

 ところが、十年ちょっと前に山形「十四代」の高木酒造が、当時としては革命的値段で高品質の大吟醸を世に出しました。これは、本当に醸造界の革命でした。なにしろ、今まで一升8000~12000円くらいしたYK35(山田錦を使用し精米歩合35%で、協会9号酵母の酒。大吟醸の黄金比率と言われていました)の大吟醸を、一升5000円くらいで売っちゃったんですから。当時、「醸造界のイチロー」と讃えられたものです。「十四代」は、アッという間に、日本酒党を虜にし、「十四代」は、ほとんど幻の酒と化しました。

 この高木酒造の成功に、小泉チルドレン(06'10/8「小泉チルドレンとF1嫌い」参照)を中心とする若い蔵元さん達が続きました。今までは考えられなかった値段で高品質の吟醸が売り出されました。兵庫「奥播磨」山口「獺祭」愛知「醸し人九平次」なんかがソレですね。この流れは、今も、各地の若い蔵元さん杜氏さんに受け継がれています。

 従って、今、コストパフォーマンスの良い酒は、多くこの新しい流れの中に生まれます。すでに功なり名をとげてしまった酒造よりも、無名でも、やる気のある若い杜氏さん若い蔵元さんの酒が、安くて旨くて面白いんです。石川の「遊穂」や広島の「富久長」茨城の「来福」とか注目してます。

 こういう人達の努力がもっと報われると良いんですけどね。「日本酒は悪酔いするから焼酎」なんて人、結構いるみたいだけど、以前の品質の劣る日本酒や「メーカー」さんの安酒ならともかく、しっかりした蔵元さんのある程度の品質の日本酒なら考えられない単なる誤解なんですがねえ・・・。

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