聖者の行進シカゴの雪に果つ
昨夜遅く、NFLカンファレンス決勝の録画放送があり、セインツvsシカゴ・ベアーズを見ました。今年のセインツのゲームを見るのは初めてだってたのですが、なるほどこんなチームになったんだ。驚きました。
雑誌等である程度のイメージは出来ていました。昨シーズンのチームの大不振を受けて、監督は交代、メンバーは大幅入れ替え。スターターのプロフィールを見ると、「昨シーズンは○○(他のチーム名)で不振だった(あるいは故障していた)が、今シーズンはニューオリンズで復活」みたいなコメントが多くの選手についています。要するに、他チームを放り出された選手をかき集めて再生したんですね。代表がQBのドリュー=ブリーズ。もともと、サンディエゴで活躍していた選手だったんだけど、昨シーズン終盤、肩を故障して手術。チームを放出されたのをセインツが拾った選手。それが、今シーズンは歴代QBのパッシングヤード記録を塗り替える勢いの大活躍。
ルーキーも活躍したのですが、その象徴がドラフト7巡、NFLにドラフトされた全選手255人中最後から四番目の252番指名のWRマーキス=コルストン。こんな順番で指名されたら、まずNFLではただのお客さんです。普通はキャンプで振るい落とされて、数ヶ月でサヨナラ。それがあれよあれよと言う間に今年のセインツのエースレシーバーに化けちゃったんだから・・・。~o~
所謂"シンデレラチーム"です。チームとしてもシンデレラだし、選手個々もシンデレラ。監督だって、実はシンデレラ。今まで監督経験なく、コーチ経験は長いもののパッとした経歴のないショーン=ペイトンが、監督をやらせてみたら、上記のような寄せ集め選手達を再生させ組み合わせて、今年のコーチ・オブ・ザ・イヤーに輝いちゃった。~o~
まさに、ハリケーン災害でボロボロになったニューオリンズの街の復興の象徴のようなチームです。恐らく、選手達は復興を目指すニューオリンズの街に自分達の姿を重ね、ニューオリンズっ子達は、今シーズンの復活に賭ける選手達に街の姿を重ねて、街とチームが一体となってここまで来たのでしょう。こういうモチベーションが実はアメリカンフットボールでは大事なんです。半分格闘技みたいなものだし、もう半分は軍隊のようなチームワークスポーツだから。
そんなチームだから、出来ればスーパーボウルに行かせてやりたかった。多分、こういう話の好きなアメリカ人のほとんどは、カンファレンス決勝でセインツを応援したんじゃないでしょうか。シカゴの市民を除いて。
セインツの勝てなかった理由は、シカゴの雪と寒さに尽きます。もともと南のチームは、この季節の北の気候に弱いのですが、今年のセインツは完全なパッシングオフェンスのチーム。パス主体のチームは寒さに弱いというのはアメリカンフットボールの常識です。なんせ、寒さにかじかんだ指でボールを投げたりキャッチしたりするんですから、ミスが多くなります。それで、北の屋外球場を本拠地とするチームは、今年のシカゴ・ベアーズがそうであるように、ラン攻撃主体で守備の強いチームになりやすいんです。
逆に、温暖な気候でドーム球場のチームはパス主体チームとして成功しやすいんです。NFLパッシングヤードの記録は、温暖なマイアミにいた名QBダン=マリーノが持っていますし、かつて、革命的なパスシステム"Run&Shoot"攻撃で一世を風靡したのはヒューストンのドーム球場を本拠地とするオイラーズでした。
だから、温暖なニューオリンズのスーパードームを本拠地とするセインツがパス攻撃主体で成功したのは、ある意味理屈にあっています。そして、その行進が厳寒のシカゴの雪の中で止まるのも、また理屈に叶ったことだったのでしょう。結局、セインツの失敗は、決勝でのホーム開催権を獲得するほどの勝率を上げられなかったこと、そして、シカゴが決勝の相手になってしまったことに尽きるのでしょう。残念。ガッカリです。
これで、ワタシのNFLフリーク復活も、しばらく無いなぁ。~o~
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