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2007年5月12日 (土)

加速し拡散し、多様化する「出来ない」

 今日は例年行っている出来ない子のための特別授業でした。ウチの予備校は、校舎ごとに、毎年この時期、特にその教科を不得意とする子のために特別授業を組んでいます。もう十年以上続けているんじゃないでしょうか。んで、その間、ワタシゃその授業を担当させられてきました。ほとんどが地元八王子の校舎を担当しているのですが、町田の校舎を担当することもありました。でも、この授業を担当しなかった年はほとんどなかったと思います。つまり、十年以上に渡って、ウチの予備校の生徒で、特に古文の出来ない生徒を見てきたことになります。

 ウチの予備校は、受験界ではマジメな予備校で通っているので、生徒さんもかなりマジメで、他の予備校に比べれば生徒さんのレベルは比較的高めのはずです。しかし、にも関わらず・・・。

 やはり出来ない子は悲惨に出来ません。昔からそうです。出来ない子は本当に悲惨に出来なかったんです。でも、その「出来ない」の質が少しずつ変化してきています。

 昔は、単に古文だけが出来ないという子が多かったように思います。つまり、たまたま古文をマジメに学習してこなかったというダケの子が多かったんですね。例えば、たまたま教わっていた高校の古文の先生を嫌いだったとか、あるいは、高校の古文の先生の能力がイマイチだったとか。

 ところが、この数年、単に古文が出来ないだけではなく、知的レベル自体に問題のありそうなお子さんが増えてきているように思います。動詞の活用表を完成するというだけの練習問題に対して、まったく見当ハズレをやってくる生徒さん、今では珍しくありません。その見当ハズレも今年は特に悲惨です。やっぱ、「ゆとり」のせいなんでしょうかねえ。例えば、

 「人ざまにも似ぬは・・・」

という語句から動詞を抜き出して活用表を書かせる問題で、活用を考える以前に、「似」という漢字を読んでくれない子が今年は複数出てきてしまいました。たまたま一人出てきたというのではありません。何人もいるんです。念のために繰り返しておきますが、ウチの予備校は生徒さんのレベル、これでも高めなんですよ。~o~;;;

 「出来ない」の種類は本当に多種多様です。今まで教わってこなかっただけの子や教わり方が悪かったというだけの子。こういう子は、欠けている必要な知識を植えつけてやれば良いので簡単です。そういう子の中には、特別授業を受けて飛躍的に伸びてしまう子もいます。

 でも、本来、大学を受ける知的レベルに達してないのではと疑われるお子さん、この子達にもこれからの可能性を与えてあげねばなりません。特別授業の時間中、出来るだけそばについていて、必要な知識を補い、考えさせ、課題を一つ一つクリアさせてあげなくてはなりません。ともかく、通常の授業に何とかついていけるようにしてあげて、最終的には一問でも二問でも問題が解けるようになって、どこかの入試に通るようにしなければなりません。

 ところが・・・。ウチの学校の事務方の人間には、こういう「出来ない」の多様性を全く理解できない方達が、どうやらいらっしゃるようで、ちょっとでも模試の出来ないお子さんには、特別授業を取るように指導してしまったりします。これじゃ「予備校にあずけとけば受からせてくれる」と考える無責任な父兄と同じです。「先生に特別授業させりゃ出来るようになるだろ」って生徒を選別せずに「丸投げ」してくるわけですね。

 そうすると、本当に悲惨に出来ない子と少し出来ない子、本当は出来るんだけど、たまたま模試で失敗した子などが混在して百人以上も特別授業の教室に詰め掛けてしまったりするんです。そんなクラスで特別授業を行っても、こちらは何も出来ません。本当に何も、な~~~んにも出来ません。

 普通の基礎レベルの授業を普通にやるだけでは、ちょっと出来るお子さんは、「つまんねー」って言い出すし、悲惨に出来ないお子さんは、呆然とするのみ。普段の授業と同様、全くついて来れないということになります。だからと言って悲惨に出来ないヤツらを切り捨てるワケにゃ絶対にいきません。だいたいそもそもソイツ等を切り捨てないための「特別授業」なワケだしねえ。

 そういう意味では、今日、午前中に授業を行った八王子の校舎は優秀でした。事務方がちゃんと心得ていて、本当に悲惨に出来ない生徒だけを四十人ほど集めてくれました。この人数なら、一人一人に目配りをして、特に悲惨な子にはゆっくりと個人指導してあげることが可能です。これなら、特別授業の効果はかなり期待出来るはずです。

 でも、午後から横浜で授業なんですが・・・。ここはどうなんだろ。ちと不安。

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