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2007年11月 1日 (木)

KY文化の落日

 なんでも、日本シリーズで中日の投手が完全試合をしそうになったそうで、ワタシゃ夜まで仕事で全然知りませんでした。もっとも、日本シリーズなんて、我がホークスがCS敗退した段階で全く興味が無いので、仕事がなくても知らなかったでしょうけど・・・。さっきネットでチラっと見て驚きました。~o~

 完全試合を遂行中に八回で交代させられたということについて、いろんな人がコメントを寄せてるんですが、某○くみつるという漫画家さんが、「空気読めよと言いたい」と落合を非難していました。ところで最近、この「空気読め」とか「空気読めない」とか言う言葉がはやってるみたいですが、コレって何?

 例えば、この場合だと、「野球ファンみんなが何を願っているか、言われなくても推測しながら行動しろよ」ということなんでしょうねえ。しっかし、みんなが何を願ってるかなんて考えながら野球の監督できねーだろー、って思わないでもありません。だって、大半の野球ファンは、こんなに早く中日が日本シリーズ優勝を決める なんて願ってないでしょうからねえ。~o~;;

 監督という立場は、野球界全体の雰囲気なんかに左右されることなく、自分のチームを優先させるべきものでしょう。だから、落合を非難するとしたら、「監督としてではなく一野球人として百年に一度の記録を、もったいないと思わなかったのか」という角度からなされるべきなんじゃないのかしらん。

 こういうことまで、全体の「空気」読んでの行動を求めちゃう現代日本って何なんでしょう。ワタシ、自分がマイペース人間なんで、こういう「全体に合わせろ」発言はどうも好きになれません。特に、現代におけるKY主張は、上記の漫画家さんのごとく独創的個性的な判断を封ずるような雰囲気があってちょっとヤだなあ。矛盾した表現だけど、「全体の身勝手」みたいな気がします。ある意味ファシズム的です。

 しかし、古典の教師としては、この空気を読むという感じは判らないでもありません。主語を表記したがらない古典作品、例えば、『源氏物語』の文章なんて授業してると、行間の「空気」から言って、主体はこの人と決めなきゃいけないようなことが起こってきます。「論理」だけではなく、その場の「雰囲気」からこの人の発言と決定しなきゃいけないようなことがしばしばあります。実は、今日もそんな箇所を授業してきました。

 こういう場合、生徒さんは何か単純に判断できる基準を求めてきます。特に最近の生徒さんは、KY(空気読めない)なのでネ。~o~;;;;

 そういう生徒さんの願いに答えるべく、予備校屋の皆さんは、いろんな「公式」やいろんな「方法」を考えだしちゃうんです。まあ、某有名講師X某有名講師Aの「公式」なんかは、ハッキリ言って論外ですが、もっとマトモな先生でも、いろんなことを考え出します。例えば敬語の利用とか。

 ただ、この敬語を利用した主体判定、人物判定なんてものも絶対的な方法ではありえません。文章書く方も人間なので、いろんな例外が出てきます。所謂「敬語の不一致」がいろんな理由で出て来るんです。それらの例外を論理化するのは極めて難しく、良心的に教えようとすると、結局、最終的には、「その場の空気読めよ」になっちゃうんだよね・・・。~o~;;;;;

 今の子は、この「空気」読む(「文脈」を読むとも言える)力が極端にありません。こういう力をホントの意味で「読解力」って言うはずなんですがね。文法による論理化はいくら突き詰めても最終的には無理があるんですが、子供達は、それを求めているらしく、仕方ないので、ワタシなども出来る範囲で論理化を試みます。でも、出来るだけ単純な論理じゃないとウケが悪いんだよなぁ・・・。~o~;;;;;

 結局、子供達の文章KY化はどんどん進んでいきます。それは行間の空気読んで主語を推測する文化の衰退であり、突き詰めて言えば、語らわずとも他人の心理を忖度して思いやる日本文化(KY=空気読め文化)の落日とも言えるかもしれません。

 そんな現代の若者達が、全体に合わせることを求め、個性的判断を抹殺するかのごとく「KY!」と主張するのは、何だかゾッとする眺めです。それは他人を思いやる文化などではなく、単なる個性の抹殺、日本的なものの最も悪い側面の現われのような気がするんですよねぇ・・・、まー、ワタシなんぞがエラソーに言えることではありませんが。~o~;;

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