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2007年11月 8日 (木)

越後の実力

 今日は、町田で授業の後、夜は自由が丘で授業の日。仕事の後、自由が丘の居酒屋「すず屋」さんで夕食。広島の「富久長 純米吟醸中汲み槽しぼり生詰」と新潟の「緑川 雪洞貯蔵酒 緑」をいただいてきました。

 「富久長」は、独自の軟水醸造法で醸された酒。非常に柔らかい口当たりで、軽い上品な含み香と甘味が特徴。含むに従って穏やかな旨味が沸いてサラリと消えていきます。ワタシの好きな酒の一つです。これで定価一升3150円はお値打ちでしょう。

 一方の「緑川」ですが、正直、今まで軽視していました。しかし、これは悪くないんじゃないでしょうか。かなり酢酸イソアミルのバナナ香が強く感じられます。越後の酒にしてはやや酸味がありますが、それが他の越後の酒にない個性になっているかもしれません。含むとはっきりした輪郭があって、バナナ香が香り、すっきりと喉元を過ぎていきます。「緑陰」といったイメージ、しかし、もう少し味にふくらみがあっても良いかも。やや単調な印象もあります。これで一升定価で3150円は、今となっては微妙なコストパフォーマンス。本来は夏の限定酒ですが、「すず屋」さんでは、夏に仕入れたものをさらに熟成させて秋になってからお店に出したようです。

 ワタシは、冬の間越後の人間だし、東京にいる間も越後贔屓なのですが、東京で越後の酒は飲む気になれません。越後の酒は、早くに首都圏で評価されてしまったことと、酒所という自負のために、革新が遅れたかもしれません。現在はコストパフォーマンス的にかなり遅れを取っていますし、今の全国的な新しい酒の流れに、このままだと取り残されてしまう気もしています。

 そういう意味で、「緑川」や「村祐」などには頑張ってもらって、大きな蔵にカツを入れる存在になってほしいです。越後の実力はこんなモンじゃないでしょうから。

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