デジャ・ブーの向こうの町
今日は、朝から田舎の両親の家に新年の挨拶。毎年、年賀に帰っているのですが、こんなに昼間帰ったのは久しぶりです。この間、昼間のこの町の姿をはっきり見たのは、三十年前くらいでしょうか。
電車が田舎の町に近づくと、車窓の眺めがすでに異常です。新春の陽光の中、相模湾に突き出した半島にへばりつくように集落が横たわっています。ここは、遠い昔に確かに来たことがある、でも、なんだか違う・・・。
おとぎ話のように小さな家々が建ち並ぶその町を、ワタシは隅から隅まで良く知っています。網の目のような細い路地と石段の小道の一本一本に駆け巡った記憶があります。当然のことながら強烈な既視感、しかし、なんだか違う・・・。
結局、縮尺や距離感、遠近感がまるで違うんですね。思い出をいびつに縮めたような違和感。子供の国へ紛れ込んだような不思議な気分です。多分、十歳のワタシの目で見れば、そこは少しも変わっていないのでしょう。変わり果てたのはワタシで、この町は少しも変わってないんですね。
両親は、昨年会った時のまま、ちょうど一年分年老いていました。それでも、まだまだ元気です。少し縮んだかもしれません。この町と同じように。
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