しばししがない予備校屋モード
昨日、午前中八海山を滑って、昼に帰京。夕刻から予備校屋にもどっています。昨日は国立大二次試験の日だったので、解答速報があったためです。
ここ数年、国立二次の解答速報の日は、野沢のスーパーGレースの日と重なっていたため、昼まで野沢のレースを滑って、新幹線移動して夕方解答速報というドタバタをこなしてきていたのですが、今年は、日程がズレたこともあって、時間的には楽勝でした。ところが・・・。
これまたここ数年、速報を担当してきた東北大は、入試問題としてはトラブルの種になるようなことがなく、速報も比較的楽だったのですが、今年はやらかしてくれました、問一の空欄補充問題。東北大二次は、ここしばらく文法問題を出題していなかったのですが、久しぶりに出したと思ったら、とんでもない問題でした。
ある主君が罪を犯して出奔した男を、その男の息子に命じて探させるという話なのですが、その主君の命令中に空欄があるのです。
「尋ね出して来る( )。」
( )内に入れるのに適切な助動詞を活用させて答えろというのですが、これは実に困った問題なんです。
まず「来る」を「くる」と読んだ場合、「来る」はカ変動詞の連体形ということになってしまいます。活用語の連体形に接続する助動詞は、<断定>の助動詞「なり」と「ごとし」しかありませんが、ここは”父親を探し出してこい”と命令しているところですから、「ごとし」は絶対に入りません。では、「なり」の命令形かということになりますが、「尋ね出して来るなれ」と果たして言うかどうか・・・。
文法の論理としては有っても悪くない理屈になるのですが、我々の感覚では、普通、この表現は100%有り得ません。我々の感覚では、ここには<命令>の意味を持つ「べし」を補いたいんです。ところが、助動詞「べし」は終止形接続なので、カ変動詞の連体形「くる」には接続するはずがありません。さて困った・・・。
ところがここに解決策があります。「来る」を「くる」と読まずに、「きたる」と読んでしまえば、「きたる」は四段活用動詞の終止形ですから、「べし」を付けることが出来ます。
しかし、古文のテキストとしては、四段動詞「きたる」は、「くる」と区別するために「来たる」と送り仮名することが多く、「来る」を「きたる」と読ませることは普通やりません。うーーーーーーむ、どうなっているのだろーー。
こんな時、予備校屋としては、出典に当ってしまうのが解答の近道です。ところが、この出典が、ほとんど活字になっていない本で、わずかに出版されている平凡社の東洋文庫はウチの予備校の研究室には置いてありません。時間さえあれば、書店を探し回ることも出来るし、国会図書館にでも調べに行けるのですが、解答速報の締め切り時間が迫っている状況ではそれも出来ません。東北地区の地方紙に解答を発表せねばならないので、締め切り時間が厳しいんです。
万事休したように思われました。えーい、もう仕方ない。見切り発車で、「べし」を解答として出してしまえー!翌朝、新聞で恥を掻くことになるもしれないけど・・・。
ところが、その時、組んで仕事をしているT先生が、PCの検索でインターネット書店のダウンロード販売というのを見つけてくれました。ウチの職員さんが、PCを駆使してこの本をダウンロードしてくださり、見事、この本を入手することに成功!やったぜ!やはり、「きたるべし」でした!!
久々に薄氷を踏むような解答速報でした。でも、こんな難関を切り抜けられたのは、ダウンロードしてくれた職員さんを含めて、ウチの東北大解答速報チームが優秀だからに他なりません。自慢出来ると思います。えっへん。~o~
しかし、まぁ、よく考えてみると、この問題に関して何にも機能してないヤツが約一名いたりしますが・・・、まーそれはいーじゃないのー。~o~;;;;;;;;;;;;
だ、だって、ワタシゃパソコン素人なんだもーーん。そ、それにしても、東北大っ!もう、こんなヤバい問題出すんじゃねーぞっ!受験生にはgoogleもインターネット書店もないんだからっつ。~o~;;;
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