「スキー板試乗」独立記念~私の愛したカービングスキーⅡ
97-98シーズンのVRS89以降も、ワタシの板選びは、常にザウスでの試乗→購入のパターンでした。Volant SuperCurve、Volkl P-30など懐かしい名機です。Volant社は、今でも日本ではレアですが、今回Zermattではかなりよく見かけました。オールステンレスの一体成型というユニークなテクノロジーの板です。ザウスでは一回だけ試乗会をやりました。その時、ホレ込んで購入したのですが・・・。かなり使ったと思います。軽くて良い板だと思ったんですが、上越国際大別当の深いコブを滑走中に、テールを折ってしまって・・・。
この頃の雑誌で、渡辺一樹デモが、「将来的に、スキー板の標準的な長さは170cmほどになる」と書いていたのをハッキリ記憶しています。そんな馬鹿なぁと驚きました。当時、カービング革命が始まったとは言え、ワタシの愛機P-30は、あいかわらず183cm。それでも、188cmと迷った末に思い切って短くしたんですから。ところが、この予言は、ある歴史に残る名機の登場とともに成就することになります。
ザウスでの試乗→購入パターンの板でお目にかかった、歴史に残る名機と言えば、00-01のSalomon セリー3Vです。最初、ザウスで試乗した時は、こんな板がゲレンデで通用するのかよ!?と思いました。当時では革命的な短さの168cmで、超軽量。履いた瞬間に玩具だと思いましたから。でも、この板から、ショートカービングスキーの流行が始まったんです。この板は、この前年、技術選で初優勝した柏木デモとともに、日本スキー界におけるSalomon社の優位を決定的にした板なんじゃないでしょうか。とにかく突出した性能でしたし、この年、メチャメチャ売れましたから。
翌01-02シーズンからは、各社Salomonの後を追って、一般向けショートカービングモデルを次々登場させました。オガサカのトライアンSも、ほぼ今の形のものが出ましたし、Rossingnolの9DSやVolklのP-50モーション、Atomicのアンビション、Fischerの510なんかがソレです。
今、スキー友達のサイトの試乗レポートのページを参考にして、これを書いているのですが、この01-02から、急に板の形状に違和感がなくなります。00-01のセリー3Vの成功が現在の板につながる流れを作ったことが判ります。
この後、行き過ぎたサイドカーブ革命にブレーキを掛けるFISのR=21規制があり、Salomonのパイロットシステムに始まるフレックスを出して乗りやすくするテクノロジーの開発や、ファット化したオールマウンテンスキーなどに代表される用途別に進歩する板の多様化、それとは逆に一本の板のフレックスを変化させて複数の用途に使おうというテクノロジーの登場など、この数年、スキー板の世界の動きは多様で、強力な方向性を失っているように見えます。
97-98に始まったカービング革命は、すでに終わりました。もう、これから先、こんな過激な変化は、スキー板の世界に起こらないんじゃないでしょうか。この過激な変化を一ユーザーの立場からではあるけれど、リアルタイムでかなり生々しく詳細に体験出来たのは、大変幸運でした。
これから先のことは、ワタシごときには判りませんが、今回、Zermattで小耳にはさんで驚いたのは、ヨーロッパでは、まだスキー人口が右肩上がりに増えているという話。ヨーロッパだって、出生率は下がっているんだろうし、社会全体の高齢化は進んでいるはずなのに。日本スキー界の長期低落傾向って何なんでしょう。
判っていることは、日本スキー界は、せっかくのカービング革命を長期低落の歯止めとすることが出来なかったってこと。カービング革命が始まった当時、コレで再びスキーブームが巻き起こるという楽観的な予測もあったし、現に、日本スキー界は、それを起こそうとしたはずなんです。でも、起きなかった。某SAJのお爺さん達は、古い体制の中で甘い夢を見るばかりで、新たなスキー人口の掘り起こしを怠ったんじゃないでしょうか。
今日から、苗場で全日本スキー技術選手権が始まりました。この大会、毎年見に行ってるのですが、日本スキー界の長期低落の象徴のような大会です。ギャラリーが毎年減ってますもんね。少なくとも、基礎スキーの世界については、何かを変えないことにはこのまま衰退していくんじゃないでしょうか。一般スキーヤーが見に行きたくなるような大会に、早く改めなければ・・・、まあこっから先は、ワタシごときの考えることでもないですかね。~o~;;;;
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