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2008年4月21日 (月)

試乗会のススメその二

 昨日に続いて、スキー板試乗会の話。近年、トーションをある程度保ったままフレックスを出すシステムが、各メーカーによって開発されています。そのハシリは、Salomonが2000年に出したパイロットシステムですが、その後、VolklのMotionシステム、ElanのFusionシステムとWaveFlex、FischerのFlow Flexシステム、BlizzardのIQシステムなどなど。

 トーションを保つということはグリップ力が保たれるということ。フレックスを出すということは、たわみやすく曲がりやすいということ。これらのシステムは、アイスバーンにもシッカリとエッジが噛んで、しなやかにたわんで曲がり走る板を理想とする発想から生まれました。

 初期のパイロットシステムは、はっきり言って失敗に終わりました。確かに狙い通りフレックスは出たのですが、トーションが狙いほどには保たれず、エッジグリップが弱くなりすぎたんです。しかし、Salomonの失敗の後の各社のシステムは、かなり成功していると言えます。ことに、注目すべきは、ElanのWaveflexでしょう。初期のWaveflexは、パイロット同様、トーションが全くキープされず、グリップ力が全く無かったですが、今年のWaveflexは見事にトーションの強さが保たれています。

 しかし、この成功は、ある意味、板選びを難しくしました。つまり、エッジをグリップさせてカービングする人達にとっては、Waveflexを搭載したGSXやSLXは大変しなやかな「柔らかい」板なのですが、昨日書いたようにズレを活用してターンしていた人達には、トーションが保たれてズレてくれないこれらの板は、「硬い」と感じる板なんです。

 さらに、今年Atomicの開発したVario Cutという板などは、上記のような「理想の板=グリップ力とたわみの共存」という発想を全く裏切る板なのです。これは、今回の試乗会でAtomicメーカーサイドの人から聞いたのですが、この新システムは、トーションを意図的に殺すシステムなのだそうです。つまり、トップ部とテール部が二つに分かれることによって板のねじれ強度は弱められ、グリップしなくなるのですが、トップとテールが広がることによってサイドカーブがきつくなり、グリップしていないのに曲がるという板になっているのだとか。

 このように、フレックスとトーションをめぐる新システムの誕生は、ただでさえ微妙なスキーヤー個人の個性と板の特性との関係を複雑にしてしまいました。もはや、人から「柔らかい」だの「硬い」だのと言われても、それを簡単には信じられない事態になっているのだと思います。やはり、こういった新システムの板は、自分で試乗せねば・・・。

 というわけで、明日も気が向いたら、スキー板試乗の話かも。

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