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2008年7月18日 (金)

スマイルと涙の帰国便

 帰国しました。それほど気温高くないですね。湿気は高いけど、それはオークランドも同じなのであまり気になりません。十日ぶりの八王子は人が多くてネオンが派手で、おまけにお店が二軒も入れ替わってました。

 帰国便では、あまり期待せずに陣内孝則監督の『スマイル~聖夜の奇跡』を見たのですが、いやー、コレは良いです。立て続けに二回見直して、他のを見ようと思ったら碌なものが無かったので、三回目も行っちゃいました。三回目でも、ちょっとウルウル来ました。~o~;;;

 陣内孝則が原作脚本監督で、冴えないアイスホッケーチームを勝たせる映画だと聞いていたので、「『がんばれベアーズ』かよ?! ヲイ」 と思ってました。難病の少女を病院から連れ出すなんて聞くと、『がんばれベアーズ』と『せかちゅー』を足しただけかよ、と思います。しかし、そんな有り勝ちなどこかで聞いたようなストーリーにも関わらず、面白いです。映画として良く出来てます。何回見直しても面白いです。

 まず、キャスティングが良いです。森山未來ってあんなに器用な役者だったんですね。加藤ローサは、まあ、あんなものとして、子役が素晴らしいです。全員アイスホッケーチームに所属している選手らしいんだけど、ちゃんと芝居出来てます。昌也役の子と千夏役の子は、これを機会に役者になるらしいけど、当然でしょう。この二人はホント良いし、その他の子も、それぞれ役柄の個性を上手く演じてます。しかし、昌也役の子は、ホントに坂口憲二に似てますねえ。

 その他の大人の俳優もハマってます。森公美子良いです。何故、森公美子なのか判らなかったけど、ナルホドあんな仕掛けがあったとは。

 以下、ネタバレです。ネタバレ過敏症の方、絶対見ないでください。

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 月並みで有り勝ちなストーリーにも関わらず、映画として成功しているのは、監督の映像センスでしょう。例えば、サンダーバーズの監督に挑発された森山未來とスマイラーズの奮起を表現するシーン。終業のチャイムと同時に小学校の長い廊下の突き当たりのドアを開けて森山未來がカメラの方へ走り出します。すると、廊下の左右の扉からスマイラーズの子供達がワラワラと出てきて、全員で廊下をカメラに向かって全力疾走してきます。うーむ、こんな表現があったか。

 映画館のスクリーン裏に昌也と礼奈が入り込むシーンも印象的です。しかも、あの映画は、冒頭に出てきて、ラストシーンにも関わってくる重要な映画。二つの『スマイル』という映画が重なっていくのは、見事な仕掛けです。

 ちょっとしたシーンが少し離れたシーンと密接に関係し合うことも、この映画の特徴です。例えば、サンダーバーズの練習風景のシーン。サンダーバーズの監督が映るたびに拓也が後ろに映り込みます。最初は気づかないのですが、何べんも出てきます。実は、それが試合後のラーメン屋でTVを見るシーンにつながっていきます。昌也と礼奈がバスに乗り合わせてお互いを意識し合うシーン。バスの行き先を見ておかないと、この町が「星屑町」という名前であることが判らず、決勝の応援席の「ほしくずの魂」という横断幕の意味が判らなくなります。また、あのシーンで昌也が座る座席は、後のデートのシーンで二人で座る座席です。昌也君はどうやら、いつもあの席に座ると決めているんですね。

 合コンに芹沢先生が持ってきたデカい携帯電話。最後の決勝の応援席でも使っています。試合の最中に突然、前のオジサンの具合が悪くなって、芹沢先生携帯に向かって、「前のお父さんが、ペースメーカー。前のお父さんがペースメーカーなんだ!」と叫ぶシーン。かなりブラックな笑いですねえ。これ以外にもくすぐりのシーン、けっこうたくさんあります。

 笑わせるシーンも泣かせるシーンも、それぞれ陣内監督のセンスの良さが感じられるのですが、何と言っても一番感動的なのは、森公美子が歌い出すシーン。冷静に考えてみれば、何故森山未來がオルゴールに入っている「リトル・ドラマー・ボーイ」を歌い出すのか判らないし、何故、森公実子がそれに応えるのかも判らないけど、そんな理屈を越えて、あそこは力技で行っちゃって良いところです。力技が感動を生みます。

 とまあ、こんな批評を書けるのは、実は、機内で三回見ただけでなく、八王子に帰ってきて、レンタルDVDを借り出して見ちゃってたりして。~o~;;;;;

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