まだまだ日本は捨てたモンじゃありません~ちょっと自慢話付き
昨日は、夜、横浜で高校生の授業でした。題材は『伊勢物語』六十段「五月待つ花橘」の話。実はワタシ、これが得意ネタでして。以下ちょっと含自慢話。
主人公の男の元から去って地方官の妻となった女のいる国へ、勅使となった主人公が下ってきて、接待役の地方官に、「お前の妻に酒の相手をさせろ」と無理強いする。恐る恐る勅使に杯を差し出す女に向かって、主人公が「五月待つ花橘の香をかげば 昔の人の袖の香ぞする」と詠み掛けると、女は全てを思い出して尼になる。
『伊勢』六十段は、こんな話なのですが、この話、主人公の男を中心にして、男のみやびを賞賛する読み方が本当なんだろうと思います。しかし、それでは現代人の共感は得られません。「みやびが愛を虐殺している」という有名な論文を、昔、野口元大氏が書いていらっしゃいますが、ワタシの授業では、それをたたき台にして、思いっきり女に入れ込んだ読み方を展開して、尼になる女の心情を掘り下げます。すると・・・。
今までもかなり上手く説明できたことはあったのですが、昨日は、多分、ワタシの経験の中でも一番の出来だったと思います。最後に、この章段末尾の「山に入りてぞありける」の部分について、「この奥さんは単に山に入っただけじゃない。山に入って『ありける』なんだよ。人間に絶望した奥さんは、もう人里に出てこないんです。山に入ってそこで暮らすしかない、だから、『ありける』なんです」と結んだ時に、教室一番後ろの席の女の子の目が涙目になったのをワタシゃ見逃さなかった。~o~
とまあ、ここまでは時々あるのですが、今回、驚いたのは、前の方に座っていたガタイの大きな男子生徒まで涙目になってやがんの。いやはや、男の子を泣かしたのは初めてです。ピュアな若者ってまだまだいるモンですね。日本はまだまだ捨てたモンじゃありませんやねえ。
つか、この程度の話で涙目になるとは、もしかして、泣くことに飢えてたのかな?~o~;;
授業後、いつもの居酒屋「坐久丸」さんで夕食。一杯目は、島根県池月酒造さんの「蛍舟 山廃純米生原酒 木槽しぼり」。70%精米の七号酵母使用。七号酵母らしい分厚い旨味が特徴です。含むと軽い含み香があり、酸が染みてきて舌の底に濃厚な旨味が湧き出します。んまい!
二杯目は同じく島根県加茂福酒造さんの「賀茂福 純米吟醸生原酒」。多分、「吟醸」だったと思うし、「生原酒」だったと思います。この辺り、記憶があいまいなのですが、覚えているのは、日本酒度+12だということ。数字から見ると、辛口なのですが、辛口というよりは、アッサリと入ってきて、軽い甘みとほのかな酸味が感じられる味キレの良い酒です。
三杯目は、岐阜県中島醸造さんの「小左衛門 山廃本醸造 無濾過生原酒」。日本酒度-4、酸度2.9という数字は、「三芳菊」の甘酸っぱさを思わせるのですが、全く違うタイプです。酸っぱくありません。軽い甘味の旨口タイプ。んで、どんな味だったかというと、えーと、とにかく「美味い」ってことは判りました。でも・・・、三杯目はいつもの通り、記憶が定かでないんですよねー。~o~;;;;
こういう良い酒を飲むと、日本はまだまだ捨てたモンじゃないと思います。つか、こんな美味い酒を一杯650円で出しちゃう「坐久丸」みたいな店もあるわけだし、日本ってなかなか良い国ですよねへ~。~o~
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