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2009年6月 8日 (月)

理念のしたたり余話

 今回のイベントでさまざまな蔵元さんからお話をうかがいました。その中で覚えておきたいことをちょっと書き留めておきます。

 まず、ちょっと我ながら不勉強だったのは、糖度の話。ワタシ、かつて「日本酒度とは糖度のこと」などと言い切っていたのですが、日本酒度が糖度の代わりとなったのは、三増酒時代の話なのだそうです。日本酒度は厳密にはお酒の比重のことですが、三増酒時代は、辛口を作ろうと思ったら比重の軽い工業用アルコールを添加し、甘口を作ろうと思ったら比重の重い糖類を加えていたとか。それで、比重が糖度の代わりになったというわけです。

 ところが、純米酒が増えてくると、単なる比重である日本酒度は、甘さ辛さの指標としての価値をなくしているのだそうで、糖度は、グルコース濃度を測る機械にかけないと測れないのだが、その機械は高価なので、糖度が表示されることは今後も少ないだろうとのこと。もっとも、「伯楽星」の新澤さんは血糖値を測る器具で測っちゃうそうですが。

 お酒の味を決める要素として、火入れのタイミングというのも大事なんだそうです。純米酒は、十日以内に火入れするのが望ましいのだそうですが、宮城県の蔵元さんでは酒の変質を極力避けて安定させたいため、七日くらいで火入れしちゃうんだそうです。この方がフレッシュな感じの酒になるらしいです。これが、もう少しヘビーな感じに仕上げようとすると、火入れを遅らせて発酵を進めるのだそうで、そういう酒の方が燗に適しているのではないかとのこと。

 酒の熟成と保存について、蔵元さんのご意見をたくさんうかがいましたが、総じて、まだ実験中研究中といった感じでした。中には、長期保存は十本中七、八本が失敗すると言い切る「乾坤一」の大沼酒造さんのような方もいらっしゃいました。しかし、個人的に生酒を貯蔵して美味くなった経験をお持ちの蔵元さんも多くいらっしゃるようで、これからの研究分野と言ったところなんでしょう。

 しかし、どの蔵元さんも、まだどうなるか判らないという点では一致しているようで、責任持って消費者に提供できないというところらしいです。この辺り、以前ワタシが書いたこととだいたい一致していて、意を強くしました。しかし、これから先、有望な研究分野であることも間違いなさそうです。安定して商品化出来るところまで研究を進めていただきたいと思いました。それが、無責任に商品化されてしまった、値段と味の釣り合わない古酒を駆逐する力になるのだと思います。

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