またですか
ここ何日か、苦戦していた某東北大の傾向と対策本、ようやく出来ました。最後はひさびさに徹夜デスヨ・・・。~o~;;;;
解答速報の時には考えていなかった別解を思いついてしまって、それをどう処理するかで往生しました。まー、別解というより明らかに誤答なのですが、受験生がやったんなら無理からぬ解答と言わざるをえず、これについての解説に悩んで・・・。悩んでジタバタして逃避行動とったり、原稿打ち込んでは印刷し、推敲しては打ち直し・・・やってるウチに夜が明けました。はぁ。~o~;;;
『源氏物語』柏木巻の一節で、瀕死の柏木が女三宮と和歌の贈答をする場面なんだけど、女三宮という人は、柏木の理不尽な情熱に押し切られて契りを結んでしまった人なので、柏木に対してはあまり好意的ではなく、柏木が、
いまはとて燃えむ煙もむすぼほれ絶えぬ思ひのなほや残らむ
(今はもうこれまでと私が火葬されて燃える煙も燃えくすぶって絶えることのないあなたへの思いの火はやはりこの世にのこるのでしょう)
と詠んできたのに対して、
立ちそひて消えやしなまし 憂きことを思ひみだるる煙くらべに
(あなたの煙と一緒に私も消えてしまおうかしら。辛いことを思い乱れる物思いの火の煙はあなたの煙とどちらが激しいか比べるために)
と返歌を詠み、「遅るべうやは(私が劣るはずはありません)」と一言付け加えて返事をするんだけど、この「遅るべうやは」は誰のどのような気持ち表しているか説明せよという設問。
「女三宮の、死ぬほど辛く思う心は柏木に劣らないという気持ち」という感じが正解だと思うんですが、この女三宮の手紙は、実は、柏木に勘違いをさせる手紙だというのが諸注釈の指摘するところ。つまり、本当は、「あなたの一方的な好意で私は迷惑して辛い思いしてんのよ」という歌のはずなんだけど、「あなたが死ぬなら、私も一緒に死にたい」みたいな勘違いを誘う歌なので、柏木は、「この煙くらべばかりこそはこの世の思ひ出」なんて感動してたりするんです。
言ってみれば、この女三宮の返事は、作者紫式部が仕掛けた柏木に誤読をさせるための罠なんですが、当事者が罠に引っかかるくらいだから、当然、受験生は罠にハマルわけです。きっと、こんな誤答が出てくるんじゃないかな。
「女三宮の、柏木に先立たれまいと思う程、柏木を一途に慕う気持ち」
コレ、某東北大はどう処理したんだろー、って考えたら眠れなくなっちゃった・・・。~o~;;;;
某東北大さん、昨年に続いて今年もちょっと悩ましい問題だったですねー。困ったもんだ。
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