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2010年7月 3日 (土)

様々な物語の果てに

 いやー、帰ってきちゃいました、アリジャパン。まあ、PK戦はくじ引きのようなもので、サッカーの負けではありませんから。それにしても、パラグアイとのPK戦ってとこまではピッタリ大会前の予想通りだったんですけどねえ。~o~;;

 ここんとこ、一学期最終週に模試の作成と傾向と対策本の執筆が重なり、無茶苦茶忙しくて、パラグアイ戦の録画を見る時間が取れなかったのですが、今日、ようやく見ました。多くの物語と勝つための戦術の徹底を感じました。

 パラグアイ戦の戦前から、パラグアイは、カウンターは鋭いけれどもボールを持たせると案外リズムの狂うチームだとは言われていました。GLのNZ戦で引いて守るNZを攻め切れませんでしたから。岡田さんもミーティングでそういう指摘をしていたとか。

 そのため、前半の日本チームは徹底してパラグアイにボールを持たせる戦術を取りました。前半にロングシュートが目立つのはそのためでしょう。開始早々の大久保のシュートを皮切りに、3分の駒野、22分の松井と続き、31分の闘利王のFKなんてセンターサークルからのシュートですもんね。

 ロングシュートは守備体型を崩さずに打てます。結果、阿部から後ろの選手は守備の組織を作ったまま攻めきって相手にボールを渡すことになります。

 そのため、前半は、パラグアイが一方的にボールを保持して押し込みながら、日本の方がシュートが多いという展開になりました。なにしろ、あれだけ押し込んでいるように見えながら、パラグアイのシュートは前半20分まで無いのですから。

 後半に入って、日本も攻勢を取るようになります。両SBの上がりが頻繁になり、阿部までが攻め上がります。そのため逆にパラグアイの攻撃も機能するようになり、しばしば日本ゴール前で危機一髪のシーンが現れますが、おそらくコレも日本チームにとっては織り込み済みでしょう。

 この攻防のどこかで、持久力に勝る日本が一点入れて逃げ切る、というのがゲームプランだったのだろうと思うのですが、あとわずかにアグレッシブになりきれなかったかもしれません。81分に阿部と憲剛が代わってからは、特に前からの圧力を強めていたし、その時間、パラグアイの方はバテバテになっていたので、誰かがリスクを犯して走りきれば、あるいは・・・。

 途中まで、完全に日本の戦術がハマって日本ペースのゲームだっただけに、残念な結果でした。

 様々な物語が織り込まれたゲームでもありました。あの強気の闘利王が攻撃権を放棄するようなロングシュート、ロングフィードを繰り返していた前半。彼はどれほど勝ちたいという思いで戦術を遂行していたか、それを考えただけでドキドキします。松井の物語、長友の物語、川島の物語、憲剛の物語、そうして駒野の物語。

 それぞれの選手の長い物語の果てが、あんなことになってしまうとは・・・。

 惜しむらくは、もう少し早く、攻勢を強められたらと思います。オシムも朝日朝刊で言っていますが、憲剛の投入は後半開始からでも良かったかもしれません。さしもの岡田さんも、早めに攻撃のスイッチを押すのは、勇気が要ったということなのかも。

 このゲームの物語をいろんな人が様々に読み解いているようですが、朝日朝刊で某馳星周という作家が、「岡田監督のもと自信を失っていたイレブンは何のリスクも犯さず、戦わずして負けた」という意味のことを書いています。うーん、コレはこの人得意の、「物語の勝手読み」ってヤツでしょう。

 この人、お金掛けて世界各国のサッカーを見て歩いているらしいんだけど、何を見てきたんだか・・・。

 今回の日本チームは、彼我の戦力を秤にかけた上で、岡田監督以下、一丸となって非常に勇敢に勝つための戦術を遂行していたと思います。敗退後、どの選手も、このチームのまとまりについて言及していますが、よほどチームの雰囲気が良かったのでしょう。全ての選手が個性を出し切り、定められた戦術に従ってコレクティブに動いていたという印象があります。

 チームのまとまりが良かったから、戦術の切り替えも鮮やかでした。守備的に戦った印象はありますが、オランダ戦リードされた後の攻撃的な戦いへの切り替えは見事でした。全員が一つの意図で繋がっていました。パラグアイ戦だって、憲剛投入の後、もう少し各選手に体力が残っていれば・・・。

 もう一戦だけでも、このチームでやらせてやりたかったですねえ。

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コメント

ずれコメ失礼します。
昨日は突然お電話を差し上げたそうで申し訳ありません。うちの4歳児も内弟子様とお話ができて喜んでいました。お話といってもうなづいてばかりで、あまり話はしていないようですが・・内弟子様によろしくお伝えください。それと元気な跡継ぎをと。
出産祝いはお互い省略ということで、お願いいたします。

投稿: Makoto | 2010年7月 6日 (火) 20時37分

どもです。
内弟子Yに伝えたところ、
「こちらこそありがとうございました」とのことでした。
 初めてのことなので、人並みにナーバスになっているようで、先輩ママとお話をさせてもらうと、とても落ち着くみたいです。また、何かありましたら、宜しくお願いします。

投稿: Mumyo | 2010年7月 6日 (火) 23時32分

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