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2010年8月12日 (木)

ウチの小姑クンたち

 一昨日昨日と暑さが戻ってきました。戻ってこなくても良いのに・・・。~o~;;

 それとともに夏期講習も再開。朝は立川。夜は御茶ノ水で授業です。朝が近い所だと楽だ~。おまけに立川は一度やったテキストなので、そういう意味でも楽をさせてもらってます。

 夜は、高一の東大志望者のための講座。これも自分で作ったテキストなので楽勝。高一でこんな講座を取る子はマジメな子が揃っているし、昨年、受講する層の変化を感じ取っていたので、今年もその線で基本的な文法の話を中心にしたところ、やはりアンケートはエクセレントでした。

 しかし、そんな楽勝ムードにちょっと水を差されてしまったのが次のようなアンケートの記述でした。

  「下達」は「げたつ」ではなく「かたつ」と読むのが正しいと思う。

 教材は『花月草紙』。松平定信が医者の心得を論ずる文章です。その中で、定信は、若い医者は誉められて思い上がると下手になるが、それは小さな子供が字を誉められて却って下手になるようなものだと論じます。その「下手になる」の意味で「下達」を使っているんですが・・・。

 確かに「上意下達」という熟語の中では「かたつ」と読みます。それはさすがにワタシも知っているのですが、しかし、「上達」の対義語として「下達」とするのは、大漢和など引いても載っていないし、定信公の造語じゃないかと思われます。それならどっちでも良いかなと何の気なしに「げたつ」と読んでしまったのですが、うーん、やっぱ「かたつ」なのかなぁ。

 つか、ウチの受講生ってすごいですよね。高校一年生にしてこんなお生意気な指摘をするとわ・・・。~o~;;;;

 この手のお生意気な指摘は時々あります。例えば、平安京の構造を説明する中で、「羅生門」と書いてしまったことがあります。すかさず、

  「羅城門」が正しい。

 いや、これはいくらワタシでも知ってるんですがね。つまり、「羅城門」はもともと城郭の門なので、「羅城門」と書くのが語源としては正しいんです。でも、古典作品の中では「羅生門」と書くことも多く、「らせいもん」と読むこともあります。そもそも、平安京に城郭はないからねえ。

 ワタシゃハッキリ言って、このテの漢字の用法には無頓着です。つか、漢字はニガテです。というのは、古典作品の文章中では、上記の「羅城門」のように漢字の用法は案外ルーズなことが多く、それに慣れてしまっているということがあります。まあ、昔は文部科学省やら衒学的な国語学者なんて小姑のような存在は無かったですからね。

 古典の教師としては、「御衣」を「おおんぞ」と読むか「おんぞ」と読むか(平安時代には「おおんぞ」が正しい)の区別にはこだわりたいけど、近世造語「の「下達」の読みなんてどうでも良いかなと・・・。

 でも、やっぱ、国語の教師ですからね。お子さんたち対しては、一言説明義務があるかなと、ちと反省したのでした。どんな事情があるにせよ、年若き小姑クンたちに信用がなくなると、話を聞いてもらえませんからね。

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コメント

やはり「かたつ」ではないでしょうか。
字通には、下達(かたつ)として、「君子は上達し、小人は下達す(論語、憲問)」と載っています。
一年から先生の講義を聞きたいという熱心な若者の意見だと思います。
誤りを見過ごされるよりも指摘されたほうがありがたいです。一瞬「むむ!」と感じますが、「ここで気づいてよかった」と思う気持ちのほうが強いです。

投稿: 侘助 | 2010年8月13日 (金) 09時28分

そうですね。

 やはり、「むむっ!」と来たのは見抜かれちゃいましたか。こんなところで、子供相手にムッとするなんて修行がたりませんかね。~o~;;;
 
 でも、そういう子が来てくれるのがウチの予備校の良いところでもあるので、謙虚にご意見を受け取らなければとも思いました。

投稿: Mumyo | 2010年8月14日 (土) 11時27分

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