言霊のさきはふ国
一昨日の夜は吉祥寺、昨日の夜は町田で授業でした。仕事の後、久々に吉祥寺の居酒屋「わらう月」、町田の居酒屋「伊吹」を訪れました。
どちらの居酒屋さんでも聞いた話なのですが、「東北の酒」がブームなのだそうです。一般的には、復興支援という意味でそれは良いことなんだろうけど、どちらの居酒屋さんでも、少し違う受け取り方をしていました。
「わらう月」で聞いた話なのですが、酒を注文する時に、「何でも良いから『東北の酒』をくれ」と言うお客さんが多いのだそうです。「『何でも良いから』って言われてもねえ・・・」と苦笑いしてました。
また、「東北泉」がちょっと人気なのだとか。「東北」ってついてるから。「でも、東北泉って山形ですから、ほとんど被害なかったんですけどね。『山形ですけど、良いですか』って聞いてみたくなるけど・・・」とのこと。
どうも、例の久慈さんのyoutube映像以来、「東北」が一種の魔法の言葉になっているようです。「東北」とついてさえいれば売れるって感じなんですね。でも、それってどうなんだか・・・。
「伊吹」の大将などは、「東北の酒ばっかり売れているので、西の酒蔵が干上がっちゃうんですよ。ウチは『ガンバレ西』って感じ」なんて言ってます。「『東北の酒』で良い商売しちゃう居酒屋もあるみたいだけど、ちょっとね」とのことでした。
どちらの居酒屋でも異口同音に口にしていたのは、茨城が気の毒だということ。「東北」という言葉の枠組みには入らないので、「東北の酒」ブームからは外れ、でも、秋田・山形・青森などよりよっぽど大きな被害を受けた被災地なんです。
それと、「東北の酒」ブームの大消費地、東京に販路があり商品が残った大手の蔵は良いのですが、本当の被災地の小さな蔵は売るべき商品もなくなってしまったし、地元の消費に頼っていたため東京への販路もなく・・・。何だかこのブームは歪んでいる気がします。
こういうブームの場合、言葉が先行するのは止むを得ないのかもしれないけど、言葉だけに頼っていると復興の実は上がらないと思うのですが・・・、言葉の霊力が物を言う国なんですね、日本って。~o~;;;
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