日本酒振興ための提言~四季と初物の国の酒
最近、自分で日本酒を飲み、また、日本酒に関する情報をネットで見て感じるのですが、日本酒の世界には、今、少しずつ良い変化が出てきているのではないかと思います。
最近、「夏向けの生酒」をよく見ます。例えば、横浜そごうさんの日本酒売り場なんかでも夏酒特集をやってました。ご近所の加枡屋さんなんかにもたくさん置いてあり、ついこの間も夏の生酒の飲み比べをしました。
例えば、ネットで時々、某灘の大手さんが夏のしぼりたて生酒の広告を出していたりします。我が八海山の「八海醸造」さんも満を持して夏期限定商品を出しました。
振り返ってみると、夏向けの酒を各酒造が工夫するようになったのは、もう何年も前です。2009年に某酒店さんの業者向けイベントにもぐりこんだ時も、そんなテーマでお酒を出してました。夏は日本酒が売れない時期という常識に、各酒造が工夫と技術で挑んでいました。
考えてみると、日本は四季の国なんだし、四季折々に味わいの違う酒があるというのは非常に日本的です。また、それが出来てしまうのが日本酒のスゴさでもあります。
世界中の何処の国の酒だって、こんなふうに季節に合わせた作り分けなんて出来ません。あれほど歴史のあるワインの世界だって、四季折々に作り分けてるわけではありません。暑さ寒さで飲み方を工夫することはあるだろうけど、作ってる物は一緒です。ワインで季節を感じさせるのはせいぜいヌーボーくらいでしょう。
ところが、最近の日本酒は、夏向けの発泡系や生酒、秋のひやおろし、春のしぼりたて新酒、冬の燗向けの酒という具合で、季節に対応した作り分けをしています。
まあ、これらは作り分けというよりは、春に搾った酒が夏を経て熟成し秋に出荷されるのが本来の姿と考えるべきなんだろうけど、その本来の自然な姿を上手く利用して、四季に対応した製品造りを工夫しているということなんでしょう。
こういう工夫は日本酒振興を考えると大事です。何故なら日本は四季の国であると同時に、季節はずれの初物に信仰に近い思いを抱く文化の国でもあるからです。日本は、四季に強く規制される国であると同時に、その規制を破る力に憧れる国なんです。ワインなんて普段飲まないような人達が、ボジョレヌーボーというと有難がったりするのはそのためです。
これを利用しない手はないと以前から思っていました。だから、「ひやおろし」を早く出荷したがる動きは、理解できるけど規制すべきだと思ってました。「ひやおろし」は、出荷する日を公式に決定すべきです。ボジョレヌーボーのように、世界中何処でもこの日以前は飲めない、この日以前に出荷した物には「ひやおろし」の名を付けさせないという決まりを作るべきです。
規制があるところに初物への憧れが生ずるはずです。「女房を質に入れても」の初物好きを刺激すべきです。まあ、イマドキの質屋は女房を受け取ってくれないでしょうけど・・・。~o~;;;
そういう意味で、石川県のこの動きには注目しています。9月8日一斉発売の「石川ひやおろし」。こいつぁあ、飲んでみたい!~o~
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