« 魔の時の途中経過 | トップページ | 働いてはいるんですケド »

2012年9月28日 (金)

ハルキ君からの風

 今朝の某朝日新聞の朝刊に、村上春樹の寄稿した一文が掲載されていました。まあ、内容自体に関しては特にどうということはないのですが、この時期にこの問題に、世界的作家としてコミットしたということに、彼の責任感と勇気を感じました。

 正直言って、この問題自体に関して、ワタシの意見はありません。もはや、何が正しいのか何人にも判らなくなっているんじゃないでしょうか。だから、例のサッカー選手の事件の時も、バカな若者だなあ、と思っただけ。

 ただ、この問題を利用して、国と国とを隔てる壁を高く強くしようという人々、村上さんの言う「安酒」を振る舞う連中に対して、やり場のない嫌悪感を感じています。

 人間というのは、本能の部分で、集団の内と外の間に壁を作ることを求め、壁の内部と外部の対立を望みます。以前、ワタシはそれをネット上の「荒らし」に例えたことがあります。これは、人間の本能的な欲求です。おそらく、原始の世界では、そうしなければ集団生活を営むことが出来なかったんでしょう。

 とすると、「安酒」を振る舞う連中は、実は自分の本能的欲求に従っているだけなのです。それは、性欲や食欲と同じように単なる本能的な我欲です。思想信条やら愛国心やらの看板を利用して、人々を煽り立て自らの我欲を満たそうとしているだけです。

 人類の歴史を少し遡れば、この「安酒」を振る舞う連中がどれほど危険か証明することは容易です。村上さんは判りやすいようにナチスの例を挙げていますが、こんな例は近代ドイツに限らず、世界史の中にいくらでも転がっています。

 某大馬鹿都知事殿も、隣国の落ち目の大統領も、「愛国」の看板で生活のストレスを解消している大陸の連中も、同じ穴のムジナ、ただの「荒らし」です。我欲のままに世界に緊張をもたらしては喜んでいるだけです。

 村上さんは、この本能むき出しの連中がまき散らす炎熱に、理性の側から冷風を送りたかったのだと思います。今、それが必要だと感じたのだと思います。

 ワタシ自身は実のところ、今、積極的に何かしようと思いません。「荒らし」に対しては、すべての積極的な発言や行動は彼らの思うツボになるからです。ただ、ハルキ君が送ってくれた理性の風に対して、静かな賛意を示しておくことが我々の義務なのかもしれないと思っています。

|

« 魔の時の途中経過 | トップページ | 働いてはいるんですケド »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ハルキ君からの風:

« 魔の時の途中経過 | トップページ | 働いてはいるんですケド »