学歴フィルターと最近飲んだ良い酒
今朝の朝日新聞朝刊の一面に、「これって、学歴フィルター?」という見出しがついていて、何のことやらとつい読んでしまいました。何でも、会社の採用説明会にネットから応募すると、「大学名」だけで自動的にフィルターが掛かって撥ねられてしまうことがあるとか。
時間的に限られた採用の現場を考えるとナルホドねえと思う一方、そんなことばかりしてたら、有能な人材を逃すんじゃないかしらんとも思います。
ワタシゃこういう仕事ですから、学歴社会を否定することは出来ません。つか、ハッキリ言って学歴社会というものに寄生して生きています。しかし、一方で、我々の仕事自体は、学歴というものが全く関係無い仕事です。
よく、予備校の先生になるには高学歴が必要だと勘違いしてくれる人がいますが、全くの誤解です。もちろん、有名大学の出身者が多いのは事実ですが、それが必要なわけではありません。授業で人気を集めてしまえば、出身大学なんてどうでも良くなってしまいます。
また、出身大学を営業用の看板として使用することも出来ますが、あくまで「看板」に過ぎません。早い話が「学歴詐称」と呼ばれることをしても、調査を受けたり咎められたりすることはありません。まあ、そういうことを詮索したがる生徒さんもいることはいますが、自分が受かるか落ちるかという瀬戸際で、そんなどうでも良いことを気にするのは少数派でしょう。
ワタシ個人は、予備校屋は授業が全てだと思っているので、それで構わないと思っています。だから、普段、生徒さんの前で自分の学歴について語ることもありません。予備校屋の世界は学歴の通用しない実力主義の世界だと知っているからです。
そういう目で「学歴フィルター」の話を読むと、うーーむ、微妙ですねえ。こういう学歴社会が続いてくれるのは飯を食うには正直ありがたいのですが、大丈夫かしらん、ニッポン大企業。~o~;;
また、こういう話を娘の父親として読むと、これまた複雑ですね。ウチの娘(仮称ケミ)は、幸せになってくれさえすれば高学歴じゃなくても良いと思うのですが、でも、幸せになるのにはある程度の学歴があった方が有利なのかしらん、と思うと、つい、進学校と呼ばれるような学校に入学させたくなってしまうのですが、うーーん、それでケミさんの幸せが保証されるわけではありませんからねえ。
何とか、自然にのびのびと育って、自分の能力や才能にピッタリ適した居場所を、早くみつけてくれないものかしらん。~o~;;
さて、そんな適材適所が実現しているのが、実は最近の日本酒の世界です。最近飲んで感心したお酒は、たいてい適材適所です。
積極的に飯米を利用して素晴らしいお酒を造り続けている奈良県油長酒造さんの「風の森」などはその良い例でしょう。安価な飯米を使ってあれだけの酒を造るのは高い技術が必要ですが、単に技術だけではなく、飯米の性質を熟知して飯米で出来るタイプの酒を設計する適材適所の発想が素晴らしいのです。
また、先日取り上げた栃木県松井酒造店さんの「松の寿 純米 とちぎ酒14 八割八分磨き 燗美味し」は、「とちぎ酒14」というマイナーな米の性質を上手く利用して低精白にしたお酒ですが、あの後、雑誌で取り上げられた結果、今や加枡屋さんでは売り切れで入手できないほどの大人気だとか。
また、先日、昭島のモールで「風の森」と一緒に購入してきた福島県豊国酒造合資会社さんの「豊久仁 純米 袋取り本生」は、福島県の開発した酒造好適米「夢の香」と十号系酵母と袋取りという製法のマッチングが素晴らしく、スッキリ奇麗な甘旨味と微妙な酸のバランスが絶妙です。これで四合瓶で1285円はほとんどルール違反のハイコストパフォーマンス。~o~
これらの酒は、いずれも、すでに評価の定まった高価な酒造好適米ではなく、安価な材料を適材適所に使って、見事なハイコストパフォーマンスを実現した例です。こういう適材適所が、ウチのケミさんの人生でも実現してくれると良いんですけどねえ。~o~;;
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