秀作Xの中途半端
ドラマを見たら、原作が気になり、購入して二人で読んでしまいました。東野圭吾さんの『白銀ジャック』。我が家の今夏の課題図書です→。~o~
んで、感想。確かに面白いしスキー界のこともよく書けてる。秀作だと思うけど、でも、ちょっとだけ中途半端かも。
作者は学生時代にボードの経験があるそうで、そういう意味でボードの記述が多くなるのは避けられず、スキーの描写は当たり障りのない程度になります。しかし、それを割り引いても、突っ込み所はいくつかあります。以下所謂「ネタばれ」です。「ネタばれ」に過敏な方は見ないでください。
ちなみに、ワタシ、ネタばれ過敏症の方はあまり好きじゃありません。~o~;;;
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例えば、これは最初に内弟子Yが気づいたのですが、ボーダーの瀬利千晶のリフト券。ワタシも最初にこの人が出て来るシーンで、パトに大人しくリフト券を差し出してるのを読んで、なんだか変だなと思ったんですが、内弟子Yは、かぐらでスキーバム生活をしていたことがあるので、一発でズバリ見抜きました。「なんで、この子シー券じゃないんですか」
瀬利千晶は、四年前からどこかの山に籠って本格的にボードに取り組んでいるという女性で、この年も新月町の居酒屋で住み込みのバイトをしながらボードしているという人。こういう人がシー券じゃないなんてあり得ません。
その点で、ドラマは改善されているのかもしれません。ドラマではパトにリフト券差し出すシーンはないから。
でも、シー券持ってる常連客は、あのドラマみたいにパトに睨まれるようなことは控えるモンだ、とは内弟子Yの主張です。まあ、パトに睨まれちゃ滑りにくいからねえ。
また、新月高原スキー場では、シーズン最大のイベントとしてスキースノボクロスの国際的な大会が開かれるってことになっているのですが、この設定も、ちと疑問です。というのは、スキースノボクロスって確かに一時は話題性があったと思うけど、全盛期でも、結構お客が入っているという設定の大ゲレンデ新月高原の最大イベントになるほどの集客力があったかどうか。
なにしろ、「大会期間中は、すでにホテルも予約がいっぱいになっている」「国内外のトッププレーヤーが勢揃いして技を競い合うだけでなく、一般参加者によるレースも行われ」、その一般参加選手が百人近くいるっていうんですから、ホントにそんなイベントがあったらスゴいけど・・・。
我がホームゲレンデ八海山でも何回かスノーボードクロスの大会が開かれ、全日本選手権なんかもあったけど、わざわざ観戦に来るお客さんはほとんどいなかったような・・・。少なくとも、八海山の三、四軒しかないペンションの宿泊キャパが一杯になることはありませんでした。
また、その時にクロスの選手達を拝見したのですが、大きな大会に出るようなボードクロスの選手は、ものすごくストイックに技を追求しちゃうアスリート達で、瀬利さんみたいにチャラチャラパウダーで遊んでなかったと思います。スノーボードクロスは遊びでやるにはハード過ぎますから。板そのものもパウダー用の板とは違うしねえ。
それと、その瀬利さんに対して、パトロールの絵留が簡単に携帯の番号教えちゃうのは変だとは内弟子Yの指摘。まあ、確かに。
さらに、元五輪候補にまでなった絵留がパトをやっているという設定も、やや無理があるかも。あまりそういう人のことを聞いたことありません。そもそも、硬いバーンを滑るアルペン競技の滑りと、主にオフピステで仕事をしなければならないパトロールに求められる滑りは正反対なので、アルペン競技をバリバリにやっていて五輪候補にまでなり引退した人は、パトはやりたがらないんじゃないかな。特に女性だし。
オリンピックに出てからパトと結婚したって人なら知ってますけどね。~o~;;
などと突っ込みまくってみましたが、全体としてはスキー業界のことをよく調べて書いていると思います。まあ、東野ファンの方は、マニアからこういう突っ込みが入るのも、よく出来た秀作ゆえのことと思って許してください。
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