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2014年11月16日 (日)

15年後の娘への手紙

 これは、将来の娘(仮称ケミ)への手紙です。したがって、その他の方をまったく読者として想定していません。なんで、そんなものがブログにアップされるのかと言えば、ここに書いておかないとワタシが忘れちゃうからです。~o~;;

 昨日、15年後の娘に是非読ませたいようなことがあったので。

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 前略。

 15年後、成人する前のあなたに是非読んでほしいことがあって手紙を書いています。 

 昨日、パパとママとあなたは、あなたの靴を買いにでかけました。ほら、我が家にしては珍しくちょっとオシャレな、リボンのついた合皮の白い靴です。従姉のKちゃんの結婚式に履いていくことになる靴です。

 八王子の駅前には、福島に残されたペットのための募金を募るお兄さんが来ていました。以前は大きな張りのある声で募金を呼び掛けていたのに、しばらく見えないと思ったら、この頃復活したのは良いけれど、ずいぶんと声が小さくなってしまった人、多分、15年後のあなたは覚えていないだろうけれど、そういう人がいたんですよ。

 パパは、正直言って、ペットのための募金というのは、あまり賛成できなかったんです。福島じゃ人間が生きて行くのに大変なんだから、そっちが優先だろうと思っていました。だから、今までその人に募金したことはありませんでした。

 しかし、最近、ペットのことより、声の小さくなったお兄さんの方が気になってました。あんな声しか出なくなっているのに、これ以上、駅頭に立ち続け、精一杯声を出し続けていて、体を壊さなきゃ良いけどと思っていました。 

 それで、ちょうど小銭があったので、あなたに渡して、お兄さんの所へ持って行かせました。お兄さんは、小さなあなたが近づいて来るのを見て、ちょっと驚きと戸惑いの表情を見せましたが、すぐに、精一杯の笑顔になり、「ありがとうございました」と頭を下げました。再びあげた時の顔に少し涙が浮いていたかもしれません。

 あなたも嬉しそうな顔でパパのところへ戻ってきました。ところが、小声で「パパ」と呼ぶので、しゃがんで耳を寄せると、内緒話をするような声で、「パパ、ケミ、だれかのやくにたつひとになりたい」。

 確かにそう言ったんですよ、4歳のあなたは。

 もちろん、「誰かの役に立つ人になりなさい」なんてことはパパママは一言も教えていません。あなたも教わった記憶はないはずです。何故、この時のあなたが突然そんなことを言い出したのか、パパには判りません。もしかすると、あのお兄さんの笑顔と涙のせいかもしれませんね。

 でも、「役に立つ人」をイメージするのが4歳児には難しかったんでしょう。その後、「やくにたつ人になりたい。どろぼうとかつかまえちゃうの」と言うので、「それじゃお巡りさんだよ」と教えると、「ケミ、おまわりさんになりたい」と言い出したのには、ちょっと困りましたが。~o~;;;

 今、この手紙を見て、あなたがどう思っているのか、パパには判りません。まさか、この時のことを覚えているとは思えませんが、もし、まだ「誰かの役に立つ人になりたい」という気持ちを持っているなら、それはすばらしいことです。

 でも、あまり大げさに考えないでください。人は普通に真っ当に暮らしていれば、必ず誰かの役に立っているんですから。

 たとえば、パパだって、限られた数の生徒さんに対してだけど、少しは役に立ってきたはずです。あなただって、すでに2歳にして被災地の人の役に立っていたんです。別に全世界の人を救う大仕事じゃなくたって良いんです。社会正義のためじゃなくても良いんです。

 だから、本当のところ、お巡りさんは止めといてほしいとパパは思っています。~o~;;

 でも、これからのあなたが、4歳の時に抱いた志に恥じることない生き方をしてくれたら良いなあとパパは思っています。

 15年後の娘へ。 

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