八方は燃えていたのか
久々の八方での技術選観戦から帰京して、雑用をこなしながら少しのんびりしています。リザルトを見たり、撮ってきたビデオを見直したりしているのですが、技術選って以前見に行っていた頃より面白くなってますね。
これはもちろん、今年の決勝が天候に恵まれたということはあります。しかし、それを割り引いたとしても以前よりも面白いんじゃないでしょうか。少し前までのハイブリットの時代にはクローチングして加速するのさえとがめられていたと聞きますが、今はその呪縛から解き放たれてスピード重視。不整地やナチュラルバーンの種目も多く、見て楽しいです。
やっぱ見せるりスポーツなんだからこうでなくちゃいけないんじゃないでしょうか。何の工夫もなく同じ中斜面で同じ種目を三回も繰り返していた苗場時代から考えると、観戦する側のことを考えてくれているんじゃないかと思います。
さて、女子は昨日書いた通り、麻子さんの強さが際立ったのですが、男子は混戦で、結局、柏木選手と丸山選手の同点優勝でした。同点のままで迎えた最終種目のコブを巡ってはかなり微妙な心理戦があったように思います。
まず、三位で六点差の井山選手が真ん中のリズムの悪いラインに挑みます。かなりアグレッシブに攻めたのですが細かいミスが出て280点。この段階で丸山柏木の両選手は転倒せず普通に滑りきれば三位以下になることはなくなりました。
次に丸山選手が下から見て一番左の、深いけれどリズムが一定のコブを滑りました。恐らく、自分の技術でここをノーミスで滑りきればある程度の高得点は期待できるし、最後の(恐らくは難しいラインを滑る)柏木選手への十分なプレッシャーになると思ったんじゃないでしょうか。しかし、コース下部でややバランスを崩しスタンスが乱れます。それでも284点はそこそこ高得点。
柏木選手は真ん中のリズムの悪いコブを選びました(技術選公式サイトでは丸山選手と同じラインを選んだと書いてありますが、それは誤り)。こういう時、柏木選手は一番難易度の高いラインに挑みます。そこで高得点を出す自信があるということなんでしょう。
しかし、この悪雪で転倒しては元も子もなくなるという意識が働いたのか、ほんの少し大事に丁寧に滑り過ぎました。リズムの悪いラインを非常にスムーズにキレイに降りてきたのですが、ビデオでタイムを計測してみると、細かいラインを攻めて来て285点をたたき出した藤井選手と同じ真ん中のラインを選んだ井山選手が24秒、丸山選手が28秒だったのに対して、柏木選手は30秒ほど掛かっています。少し落ちてくるスピードが欠けていたのかもしれません。結果、丸山選手と全く同点の284点でした。
結局、ベテラン二人が駆け引きをし合った結果の同点優勝だったわけです。それなりに見応えはあったと思うのですが、少しだけ不満かもしれないと思うのは、駆け引きし合ったばかりに二人とも少しまったり見えてしまったこと。ギリギリのリスクを冒して高得点を出しに来た滑りには見えませんでした。
我々と一緒に座っていたギャラリーが、「結局、ハッピーエンドってこと?!」とつぶやいてましたが、ギャラリー的にはそれが正直なところかもしれません。
でも、これは必ずしも二人が悪いわけではありません。この二人のベテランを突き上げる元気の良い若手が出てこないとこうなってしまうということでしょう。若手がこの二人にプレッシャーを与え、この二人が持てる技術の全てを出し尽くしてフルアタックし、ギリギリの滑りをした結果、同点優勝!
だったら、もっと感動的だったのに・・・、と願うのは少し贅沢を言い過ぎるでしょうかね。~o~;;
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