源氏の季節浮き沈み
二学期第八週に入りました。まあ、順調と言って良いんでしょう。
谷崎が初回の『潤一郎源氏』執筆時に源氏を全訳できなかったという話を聞いて、戦前という時代がいかに虚しい恐ろしい時代だったかを知り、何か考えてくれる子がいたらと、ちょっと期待しているからです。
なにしろ、浪人クン達は今回選挙権持ってますからね。
と言っても選挙運動しているわけではありません。そんな呑気なことする余裕は予備校屋にはないので。ただ、何か考える契機になってくれればという願いを込めて話します。ちょっと力が入り過ぎるクラスもあるけど。
もちろん、K先生の伝説は浪人クン達には必ず聞いてもらってます。まあ、彼らには卒業記念です。必ず大ウケするしね。
んで、そんな大ウケする話をしている中で居眠りされるとガッカリします。先日、そんなクラスがあって心底ガッカリしました。ところが・・・。
ちょっとガッカリしているワタシのところに質問に来た生徒さんが、「先生に以前勧めてもらった『大掴源氏物語まろ、ん?』読みました」と報告してくれました。
ワタシは、来年源氏の出題の可能性がある大学(某W大S会科学部など)を受験する人に限ってこの漫画を勧めています。あらすじを知っておいた方が有利だからです。
「面白かったです。特に、末摘花の『唐衣』の歌の話が」
おお、あの歌に目をつけるとは、うーーーん、イイ感性してるねー。~o~
先ほどの沈んだ気持ちを持ち上げてくれました。こういう熱心で知的好奇心に溢れる子がいてくれるから、ウチの学校の教師は救われます。
こういう子には、本当に第一志望の合格を祈りたくなります。
以前、某東大合格者への雑誌の実名入りアンケートで、入学してからしてみたいことの項目に、「源氏物語に挑戦してみたい」と答えてくれた教え子さんがいました。源氏バナシの中で必ず入学後の原文への挑戦を勧めているので、それを覚えていてくれたんでしょう。これも嬉しかったなあ。
別に、ワタシの話を聞いたから受かったわけでもないでしょうが、こういう受験と直接関係のなさそうな話を喜んでくれる子は、学習意欲と知的好奇心も高いってことですね。
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