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2020年8月16日 (日)

米民への逃避~米津玄師研究その一(?)

 今日は夏期講習の合間の日。本来は模試の採点を急がなければなりません。

 んで、急いでやってるんだけど、逃げたくなるんですよ、時々。~o~;;

 米津玄師のファンを「米民」というのだそうですが、以下、米民へ逃避行動です。

 STRAY SHEEPをヘビロテしていると、いまさらながら彼の詩の世界の多様性に気付かされます。しかも、どれもかなり難解です。

 最初は、詩の世界をタイプ別に分類してみようかと考えたのですが、今までの四枚のアルバムについては、ほとんどの作品が簡単には分類できませんでした。

 思うに、彼の自我があまりに深く混沌としているために、それがそのまま詩になると普遍性を欠き一般に理解し難い言説となるのでしょう。初期のYANKEEの作品などはほぼそれです。

 その深く混沌とした自我が、何か社会的な題材と触れ合うと一般に理解しやすくなりポピュラリティを獲得して、触れる物すべてを黄金に変えるギリシャの王様のように名曲を量産することになります。

 例えば、それは、「友情」。第二アルバムBremenには、「僕ら」や「君」が多く登場します。

 ♪ヘットライトに押し出されて、

 僕らは歩いたハイウェイの上を

 何されたって 言われたっていい 

 傷ついても平気でいられるんだ

 だから手を取って 僕らと行こうぜ 

 ここではない遠くの方へ♪ (「アンビリーバーズ」)

 ♪君が街を発つ日に 僕にくれたお守り

 君が思うよりも君は僕の日々を変えたんだ♪  (「フローライト」)

 この路線の行き着く先は第三アルバムBootlegの「灰色と青」でしょう。

 「恋」を題材とするのが、メジャーデビュー第一作の「サンタマリア」、メガヒット曲「Lemon」、今回の「PLACEBO」「まちがいさがし」などの作品群です。やはり題材から言って、ここが一番ポピュラリティを獲得しやすく、ヒットも生まれやすくなります。

 このうち、「サンタマリア」については、このブログで取り上げたことがあります。そこでは自己という牢獄から「呪い」にかかったように出られない彼を救済する存在として「彼女」が描かれていました。

 ♪様々な幸せを砕いて 祈り疲れ 

 漸くあなたに 会えたのだから

 一緒に行こう あの光の方へ♪

 「彼女」は、彼を自己の牢獄から救い出し光の方へ導く存在として描かれています。

 その「彼女」を喪失するのが「Lemon」。彼女を喪失することによって、「光の方へ」と救済されることが無くなった悲しみが「Lemon」のテーマです。

 ♪言えずに隠してた昏い過去も 

 あなたがいなきゃ永遠に昏いまま

 切り分けた果実の片方のように 

 今でもあなたはわたしの光♪

 「PLACEBO」や「まちがいさがし」は、他のアーティストとのコラボであったために、より一般性を持って「恋」が謡われていると言えます。おそらくこちらの方向は、これからも大ヒット曲を生み出す鉱脈となるでしょう。

 「子供」を題材とする作品群もあります。「パプリカ」「優しい人」などです。どうも米津君は子供好きらしく、ラジオ番組でFoorinと話しているのを聞いたのですが、とても優しいお兄さんで、「Foorinのお母さん」と呼ばれていたのには、ちと笑いました。 

 文学作品や他の映像作品に触発された作品群もあります。「打上花火」「カムパネルラ」「海の幽霊」。米津君の自我の深い混沌が、他者の作品と触れ合って共鳴するところに出現するこれらの作品は、恐らくこれからも感動的な大曲を生み出すでしょう。米津君自身の感動感興が、そのまま理解しやすい形で表現されるからです。ワタシとしては、この路線にこれからも期待しています。

 なんつって、逃げてたら、仕事が終わんねーっての。~o~;;;

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