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2021年1月30日 (土)

歓声続く日

 昨日、朝っぱらから歓声の上がった我が家でしたが、娘(仮称ケミ)が学校に行っている間に、夫婦は相談と買い物でした。なにしろ、ケミさんにプレゼントの約束を果たさせなければなりませんから。~o~;;

 メニューは焼きそばと先日ケミさんが作った「ホウレン草とハムのチーズ焼き」に決定。ある程度の下準備は済ませておきます。

 ケミさんが帰宅してから、ワタシとケミさんで買い物。午前中に全部我々が買っておいても当然良かったのですが、それではケミさんが満足しないでしょうから。

 肉もキャベツもモヤシもケミさんに選ばせ、会計もワタシは見ているだけ。

 得意そうでした。~o~

 ワタシがモヤシの髭をむしって下準備をしている間に、Yの指示で人参とキャベツの用意をしたケミさん、いよいよフライパンに向かいます。

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 肉を炒めて↑、野菜と麺を投入。精一杯の力でかき混ぜます。

 ま、多少はこぼれましたが。~o~;;

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 三人分↑、かんせーい!

 かなり満足度高かったようです。

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 結局、一番歓声を上げてたのは、ケミさんだったかな。~o~

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2021年1月29日 (金)

小金井の早朝、歓声響き渡る

 今朝、ワタシは5時30分起床。急いで身支度を整え、「仕掛け」をしました。

 その10分後には娘(仮称ケミ)とYが起床。

 我が家は通常でもこのくらいに起床します。これは、「レーサーは朝早いことが多いから」というYクンの発案でそうなっているのですが、いつもだと、起床した後もケミさんは寝ぼけて10分ほどグスグスしています。

 ところがこの日は、ケミさん、起床するやすぐにキビキビと身支度を済ませて、ワタシとともにYの洗面が済むのを待ちました。

 実は、昨日二人で打ち合わせていました。洗面所から出て来たYに、ケミさんが紙を渡しながら、「誕生日おめでとー!」

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 去年の父の日と同じクイズでした。答えは「に・か・い」で、二階に上がるとさらに二つのクイズが待っています。クイズに答えてトランクの後ろから袋を取り出したYクンが、トンデモナイ歓声を上げます。オイオイ、まだ六時前なんだがね。~o~

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 袋の中身は、Yの好きな沢木耕太郎のエッセイとYの大好きな黒ラベル、それにケミさん特製の「夕飯と片付けはケミ達にまかせちゃえカード」でした。

 昨年は、早いうちから準備していたので、サプライズも簡単だったんですが、今年は、前日にドタバタと準備。その割には大喜びしてくれました。Yクン、四十数回目の誕生日でした。

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2021年1月28日 (木)

綿を千切る日のあれやこれや

 昨日、今年度の受験生相手の授業が終わりました。これから先は、高1高2の授業が一週数時間という日々です。

 以前なら、こうなると、ほとんど山籠もりの生活だったんですが、娘(仮称ケミ)がいますんでね。

 今年はデスクワークもほぼないので、小金井でわずかな雑用、あとは『源氏物語』と米津玄師漬けの生活です。ある意味理想かもしれません。

 春に「若紫」を読んでいたのが、昨日、「紅葉賀」を読了。ずいぶんのんびりと読んでいます。

 これは、「些細な事」シリーズには入らないんですが、「紅葉賀」巻末近くの藤壺立后を語る部分で、

 「御母方、みな親王たちにて、源氏の公事知りたまふ筋ならねば」

 の部分を近代の諸注釈は皆、「この『源氏』は広く皇族一般とみる説をとり」(小学館『新編古典文学全集』)とするのは、何故なんですかねえ。

 『河海抄』には、「若宮の御外舅親王達にて、人臣にて御後ろ見すべき人なしと云也」とあり、この「源氏」を臣籍降下した皇族の意で取っています。その方が言葉の取り方としては自然だし、そもそも、ここでさりげなく語られる源氏の宰相昇進の記述との脈絡もついてくるのに。

 まあ、どちらで取っても誤りとは言えないだろうから、良いんですけどね。

 などと考えているうちに、窓の外に何やら落ちて来ました。オイオイ、小金井に雪だよ。

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 綿を千切ったようなとは言いますが、まさしく、芝居で降らす綿のような雪です。

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 高層マンションも雪に霞んでいます。

 ヤレヤレ、こんな日にこれから仕事かよ。~_~;;;;

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2021年1月27日 (水)

美食とガスの日々Ⅱ

 土曜のGSレースは約半数ほどの子がDFするサバイバルレースで、娘(仮称ケミ)のレーシングスクール仲間はほとんど全滅でした。まだしょんぼりしていたケミさんを連れて宿に帰ると、Kのみさんの夕食が待っていました。

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 この夕食がホントに美味くて、我々もケミさんも元気づけられました。画面上方の先付は、左が湯葉、載っている緑の粒は、ナント、ワサビだそうです。真ん中はスモークしたタコ、右が自家製(多分)ハム。左上は、丸のままオーブンで焼いたタマネギ、左下は甘鯛とマイタケの蒸し物、右皿はフィレ(多分)ステーキ。

 いずれも美味しかったけど、タマネギ大好きのYはタマネギのオーブン焼きに大喜びしていました。ケミさんの分はステーキがハンバーグになっていたのですが、我々のステーキを少しもらって初めてのレアに目を白黒させていました。

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 翌日の朝食がまた、Kのみらしい素晴らしいもので↑、特に評判が良かったのが画面右のパンでした。外側がクッキーかと思うほどカリっとしていて内側はとろけるほどソフト。いったいどうやって焼いているのやら。

 この朝食をお腹いっぱい食べて、ケミさん元気一杯に戸倉に出陣。日曜はSLでした。

 前日のダイナミックコースの下半分の中緩斜面を使ったコースでした。朝のうちは視界もよく、まさか今日は大丈夫だろうと思っていたら、午後になって、またガスが下りてきてしまいました。ヤレヤレ。

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 もともと、逆手テクニックをある程度使いこなすMちゃんHさんに対してケミさんはハンデを負っているのですが、体格差のこともあり急斜面が全く含まれないこのコースだとちょっと勝ち目がありません。加えて、この視界の悪さは…どうなんだろ。

 しかし、スタート地点で体を振ってセットを思い浮かべている姿を見ると、ふーん、ナマイキに集中してるじゃないか。

 それにしても、親はこんなこと教えてないのに、いっぱしのレーサーになりやがったなとちょっと感心。

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 元気よくスタート。上から見える数ターンは割とマトモに見えました。ガスの中に消えていくケミさんを見送ってから荷物をまとめて下に下ると、ビデオ撮りをしていたYが浮かない顔をしています。どうやら、MちゃんとHさんに加えて、もう一人、ケミさんより少しだけ速かった子がいた模様。四位かぁー。

 正直、ちょっとガッカリしました。ワタシもガッカリしましたが、Yの落胆ぶりはかなりのもので、「なんであんなに安全に遠回りで滑って来るのよ!」

 結局、優勝したHさんと2.9秒差、三位の子とは0,4秒差の四位でした。最初のうち「やったぁ、四位」と喜んでいたケミさんも、同じスクールの子がカテゴリーAで優勝して大喜びしている姿を見て、「もっと攻めればよかった…」と反省モード。

 我が家は三人ともガッカリ、悄然として帰宅しました。

 しかし、コーチの撮ってくれた動画を見て、ワタシもYもちょっと気を取り直しました。上部の中斜面までは大変良い滑りをしています。ちょっと旗門に対して遠回りなのは気になりますが、上部で大きな失敗をしているHさんや、無理な逆手を使ってズレズレターンになっているMちゃんよりも滑りの質は上です。しかし、下半分の緩斜面で、少し動きがまったりしてしまいました。

 それに対して、Hさんは緩斜面で見事な逆手を使い直線的なライン取りをし、Mちゃんは途中で逆手を諦めてから怒ったようにキレキレのターンを始め、明らかにその部分でケミさんと差をつけています。

 結局、三人ともあのセットを完全攻略したわけではなく、それぞれに欠点があったのですが、タイム差になりやすい緩斜面で失敗したケミさんが敗れたということ。裏を返すと、中急斜面がもっと長ければ別の結果になったでしょう。

 ライバル達との争いはまだまだガスの中。これからですね。

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2021年1月26日 (火)

美食とガスの日々

 金曜から我が家は娘(仮称ケミ)のレースのために三人で尾瀬でした。

 本当は、ワタシだけ苗場で都技選の予定だったのですが、あんなことになったので。ま、しょーがないですね。

 んで、この地域で我が家が宿泊するとなると、丸沼Kのみてらすさんです。

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 金曜夜の子供のためのディナー↑。我々も食べた料理を子供が食べやすいように一皿にまとめて、イチゴを添えてくれました。ケミさん当然の完食。満足そうでした。

 昔はこんなの食べてたんですけどね。~o~

 翌日のレースは尾瀬戸倉スキー場です。ケミさんは、元気一杯で土曜のGSレースに臨みました。

 ABカテゴリーのレースは午後だったので、午前中は同じレーシングスクールの子供達と一緒に楽しくアップ。ところが、その間にレースの行われるダイナミックコースにガスが垂れ込めだし、Aクラススタートの頃に一旦薄くなったのですが、Bのスタート時点では濃密なガスの中。

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 ヤバいなあ、と思いました。今回のレースは、ライバルMちゃんライバルHさんもエントリーしているため、優勝は難しいと見ていましたが、表彰台は現実的な目標です。スタート前に、ちょっとだけ「安全に完走しなさい」と言いかけました。しかし、コーチからのアドバイスがあるのに、親が余計な口を挟むのは我が家のやり方ではありません。

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 スタートハウスに入るケミさんを黙って送り出しました。

 ガスの中に元気に滑り出したケミさんを見送って、荷物をまとめて別のコースを下りて行くと、レースコース途中のネットの外にYとケミさんが立っています。あらららら、やっちまったかー。

 スタート後の中斜面から大きく右へ曲がり込んで急斜面に入るダブルで落とされ、その後、ニ三旗門頑張ってみたものの転倒。上って再スタートしようとして旗門員からストップがかかったそうです。

 それだけ話す間にもポロポロ涙がこぼれて止まりません。うーーん。

 スキーでこの子がこんなに泣いたのは初めて。よほど悔しかったんでしょう。

 良い経験をしたとは思いますが、今シーズン調子が良かっただけに結果を出させてやりたかった。

 せめて、コース全体のキモになるダブルへの注意は促しておいた方が良かったかと後で思いました。視界が悪い場合、どうしても選手はインスぺで予定していたラインより、旗門旗門へと目が行ってしまうものです。でも、あのダブルは直線的に入ったら、絶対ダメな旗門でしたからねえ。

 後でコーチがダブルの所で撮ってくれた動画を見ました。優勝したライバルMちゃんは、そこで板を大きく振り出し気味に巻いて入ってクリアしているのに対し、ケミさんは無防備にターンに入って雪面の荒れに跳ねられ、その旗門で大きく落とされて急斜面に入った赤旗門でさらに落され…。

 まあ、良い経験をしたよ、としか言いようがりません。親も選手も。

 長くなるので続きは明日。

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2021年1月21日 (木)

ポパイが元気な理由

 例年であれば、「センター試験明けの授業」というところですが、今年は「共通テスト明け授業」の日々です。

 今年は、学校に来たくない子のための授業録画などもあり、余計に疲れますが、それでも授業自体はいつも以上に順調です。一昨日は、横浜。昨日はあざみ野で共通テスト明け授業の後、町田へ回って高校生の授業でした。

 ところが、授業録画のための緊張で少し疲れていたのか、高校生相手の授業の途中で、またもや突然、喉に変調をきたし、しゃべれなくなってしまいました。しゃべろうとすると咳き込みそうになります。

 授業中はフェイスシールドをしているのですが、だからと言って教壇で咳き込んで良いご時世でもなく、恐る恐るささやくような声で授業だけは進めましたが、惨憺たる出来でした。

 こういう時に、「まさか罹っているのでは…」などと思わないでもないのですが、毎日検温して異常がないことを確認しているのだけが頼りです。

 悄然として帰宅。念のために検温して平熱であることを確認。ホッとして風呂に入って少し元気を取り戻したところで、愚妻Yがビールのつまみに出してくれました。

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 娘(仮称ケミ)が作っておいてくれたものに火を通したのだそうです。ホウレン草とハムのチーズ焼き。

 少し焼き過ぎて見てくれが悪くなりましたが、娘に甘いパパが元気になるのには十分美味でした。ありがとう、ケミさん。

 こうなってみると、家族がいることが毎日の支えです。家族がいなかったら、今頃どうなっていたんでしょうね。

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2021年1月18日 (月)

安心に至る混乱

 実は、数日前から混乱が起こっていました。

 千葉神奈川や北関東が技術選予選を中止にしたという情報を聞いて、某都連サイトにアクセスしたところ、都技選の会場を苗場から菅平に変更するという告知を発見。オイオイ、今からそんなのありえねーだろー。

 と思っていたら、ナント、苗場・みつまたかぐらのサイトで月曜から休業に入ることが発表され、これか、理由はと腑に落ちました。

 少し前に苗場のサイトで従業員に感染者が出たという発表があり、そのため、苗場で練習する場合は極力短時間にして苗場での飲食を避け、人と接触しないようにしてきました。しかし、スキー場をしばらく休業にしなければならないほどとはね。

 いろいろな所で話を聞くと、どうも最初の感染者が出た時点での初期対応に問題があったのではないかと思います。

 我が家は、娘(仮称ケミ)のレースのサポートの関係で菅平まで出かけることが難しく、うーーん、これは出場辞退せざるをえないかしらん。

 断腸の思いで辞退届を書きました。

 しかし、辞退と決まって見ると、なんだか妙に安心してしまっている自分がいます。練習は良い感じになってきていたので、惜しい気もしますが、感染症対策をしながら練習を続け、さらに菅平の宿でも感染症対策をしなければ…と考えると少々気が重いですからねえ。

 というわけで、今年はケミさんとYのサポートに徹することにしました。つまり、まあ、例年と同じか。~o~

 さて、安心と言えば、昨日まで行われていた共通テストです。古文の問題を見て少し安心しました。予想の範囲だったので。

 文法文学史は出題されず、語句と和歌の出題がある。複数テクストの対比の形式にはなるが、それは形式上のことで大したことではない…等々、だいたい授業で予想した範囲であったのに加えて、難易度は高くてもアクシデントが起こりそうもない問題だったことに胸をなでおろしました。

 国語でアクシデントと言えば時間配分の失敗が考えられるのですが、それほど時間のかかりそうな問題ではありませんでした。特に、試行調査問題で出題されていた「教師と生徒の対話」形式の問題は、もし出題されたら、最後の設問でしかも時間のかかる問題になりやすいため用心しなければなりませんでした。それが出なかったので、その分、アクシデントは少なかったかも。

 出来なかったら本人のせいと言える問題かも。

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2021年1月15日 (金)

翁か媼か~『源氏物語』に関する些細なこと9の二

 文法的にも語法的にも自然、と昨日書きましたが、内容的にも前述の読み方の方が優っていると思います。

 「修理大夫」という男はこの場面にしか出て来ない端役なのですが、ほんのわずかな部分の解釈を変えるだけで彼の存在は物語世界の中で血の通った人となり、物語世界の奥行が全く違ってきます。

 風流ぶった色好みの男女が老いを迎えて、媼は衰えることなく若い男を求めて婀娜めくが、翁の方は自分を捨てた媼を忘れられず、普段は柔和な年配者なのに媼のこととなると乱心して、何度も逢瀬の場に乱入するが、何もできない男と見透かされて媼には相手にされていない。

 そういう生々しい人間模様が奥行きとして見えてきます。

 ただし、この生々しいところを決して具体的に写し取るのではなく、茶番の描写のほんの数行で透かし見せるというところが筆力というものでしょう。

 そうして、この部分を前述のように解釈すると、次の部分の読みも違ってきます。

 頭中将が源氏を脅すために太刀を引き抜き、これに慌てた典侍が「あが君、あが君」と頭中将に取りすがる場面直後の語り手の評言です。

 「五十七、八の人の、うちとけてもの思ひ騒げるけはひ、えならぬ二十の若人たちの御中にて物怖ぢしたるいとつきなし」

 ここを小学館新全集は次のように訳します。

 「五十七、八の老女が生地むき出しにあわてふためき大声を立てている様子、それも二十歳のえもいわれぬ若い貴公子たちの間でおどおどしているのは、まったくおさまりがつかない格好である」

 現代の諸注釈はこの部分もほぼ大同小異です。しかし、「うちとけて」を”生地むきだしに”とするのは、やはり少し無理がありそうです。「うちとく」は、古語辞典では、「➀解ける ②くつろぐ・心が落ち着く ③気を許す・油断する」(『ベネッセ古語辞典』)などとされている語で、諸注釈のように「生地むき出し」(新旧全集)「恥も外聞も忘れて」(新潮集成)、「気取る余裕もなく」(岩波文庫)という解釈はかなり語義を外します。

 ここは、「うちとけて」が前述の部分の「ならひて…つと控へたり」を指す物と考え、”油断して”と取っておけばよいのではないでしょうか。「物思ひ騒ぎ」以下は、時系列に沿った典侍の慌てぶりをまとめたと考えると、この部分の現代語訳は次のようになります。

 「五十七、八才の人が、油断していた末に困り果てて騒いだ様子や、言いようもないほど美しい二十才ほどの若人お二人の真ん中で怯えている様子はたいそう似つかわしくありません」

 これで上手くいっていそうな気がするんですが…。

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2021年1月14日 (木)

媼か翁か~『源氏物語』に関する些細なこと9の一

 少し時間があるので、久々に『源氏』です。

 今度は、重箱の隅にしては何か所かにわたり、少し広い範囲の読みに関わってきます。「些細」ではありますが、少し大きめの「些細」です。

 『紅葉賀』の巻巻末近く、源氏と老女源典侍との逢瀬の場に頭中将が踏み込んで来る場面です。頭中将は自分であることを隠して乱入してくるので、源氏は源典侍のかつての恋人で典侍に未練のある修理大夫かと勘違いして屏風の後ろに隠れようとします。中将は可笑しさをこらえて、その屏風を畳んでいきます。今回の重箱の隅はその直後から始まります。

 「内侍は、ねびたれど、いたくよしばみなよびたる人の、さきざきもかやうにて心動かすをりをりありければ、ならひて、いみじく心あわただしきにも、この君をいかにしきこえぬるにかと、わびしさにふるふふるふ、つと控へたり」

 これに対して、小学館『新編古典文学全集』では、次のような現代語訳を施しています。

 「典侍は、年寄りながらも、たいそう風流気のある色っぽい女で、これまでにもこうしたことではらはらさせられた折が何度かあったのだから、そうした経験から、内心ひどくうろたえてはいるものの、この者が君をどんな目におあわせ申そうとするのかと、心細さにぶるぶる震えながら、しっかりと中将にとりすがっている」

 手元にある現代の注釈書『源氏物語講話』(島津久基)、『源氏物語評釈』(玉上琢彌)、岩波古典大系、新潮古典集成、小学館古典全集、岩波新古典大系、岩波文庫は、大同小異でほぼ上記のような解釈をしています。

 しかし、この解釈には少し無理があります。「なよびたる人の」の「の」を"で"と<同格>ふうに訳していますが、<同格>とするには「の」に続く部分くに「ねびたれど、いたくよしばみなよびたる人」と<同格>をなす部分がなければならないのに、それがありません。島津講話や旧大系は、この「の」を”ので”と原因理由で処理しようとしますが、格助詞「の」には原因理由の用法はありません。

 そもそも、この典侍が、”年寄りながらも、たいそう風流気のある色っぽい女”であることは、これまで縷々述べられているところであって、ここで今さら繰り返すのはやや冗長な感じがします。そのため、岩波文庫では「語り手は典侍の対応を皮肉る」などと説明が付いていますが、説明せざるを得ないのは、やや冗長と岩波文庫の注釈者たちも感じているからではないでしょうか。

 ところが、古注釈の世界では、この部分に別解が存在していたようです。中院通勝『岷江入楚』には、「さきさきもかやうにて」の部分に「此内侍は修理大夫のかやうにみつけたる事前にもありし故に一入心をまとはす也」と注されていて、内侍の恋人修理大夫が以前同様の行為をしていて、今回も内侍はこの乱入者を修理大夫と考えていたと解釈しています。

 この解釈が可能なら、前述した「の」の問題は解消します。「ねびたれど、いたくよしばみなよびたる人」を修理大夫と取ってしまえば良いのです。すると、「の」は<主格>となり、該当部分の現代語訳は、こうなります。

 「典侍は、年は取っているけれどひどく風流めいて物柔らかな人(修理大夫)が、以前にもこんなことで乱心する折々があったので、慣れていて、たいそう動揺する中でも、修理大夫が源氏の君をどう扱い申し上げてしまうのだろうかと困惑して震え震え、じっと動かずにいます」

 上記の訳のポイントは、「なよぶ」という動詞と「控ふ」という動詞の訳にあります。「なよぶ」は、確かに”好きがましい”の意味もありますが、通常、”温和だ・柔和で穏やかに振る舞う”の意味です。この場合、普段は温和な修理大夫が典侍とのことになると乱心すると解しておくのが良いと思われます。また、「控ふ」も、目的語が示されていないのですから、「つと控へたり」で”じっと動かない”の方が自然です。

 すると、「ならひて」との脈絡から、この場面は、典侍が、修理大夫の性格を熟知していてこんなことには慣れっこになっているので、落ち着いてじっとしていたのだと理解することが出来ます。

 この方が、文法的にも語法的にも自然なんですけどね。どうなんでしょう。この記事、明日に続きます。

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2021年1月11日 (月)

「こんな感じ」を受ける日々

 三連休はお休みを取っていました。娘(仮称ケミ)の土曜授業が終わるのを待って出発。

 日月とケミさんをTRに行かせた後、ワタシは愚妻Yのサポートを受けて午前中は都技選のためのトレーニングをしました。

 昨年の不出場宣言の通り、今年、Yは都技選に出場しません。これは、都技選へのモチベーションの低下ということもありますが、ケミさんのレースのサポートをするという都合もありました。しばらくYクンは、ワタシとケミさんのサポート役です。

 大回りのビデオを撮ってもらいました。大回り板を履くのは今シーズン初めてです。最初は長い棒っきれを足に付けているような感覚だったのが、次第に板の先に血が通ってきます。それとともに、撮ってもらったビデオ画像もこちらのイメージに近くなっていきます。

 ずいぶんたくさん撮ってもらいました。Yに一方的にビデオ撮りをしてもらうのは、この時以来かも。あれ以来、ずっとワタシがサポートに回ることが多かったんです。「他人をサポートするのってこんな感じなんですネ」とは今日のYクンの感想。

 日月とも午後はケミさんのTRを見に行きました。日曜がGSで月曜がSLでした。

 GSが長足の進歩を遂げていたのは知っていたのですが、SLもなかなか好調でした。ショートポールを脛で刈る練習↓。2021011113090000 

 ほぼキレイに脛で刈れて、見た目も速いです。これだけの滑りが出来るなら、ロングポールも逆手で倒せそうですが…。

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 それは怖いらしいです。でも、それも遠からず…かな。

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2021年1月 9日 (土)

蘇りパパのアドバイス

 昨日の夕方、共通テスト対策の演習授業がありました。

 内容的にはキチンとしたことをしゃべれたつもりですが、兎に角、声が出ません。声を張り上げようとすると、咳き込んでしまいそうで、時節柄それが恐ろしくて、ワタシとしては異常なくらい小さなボソボソ声でしゃべってしまいました。

 自分では何かに感染してこうなったのではないと確信しているのですが、やはり教壇で咳き込むのは、ちょっと出来ませんからねえ。

 内容的には、共通テストに向けて良いアドバイスが出来たと思います。詳しくはまだ営業機密なので言えませんが、もしも今この記事を受験生が見ていたら一言だけアドバイスを送りましょう。

 共通テストの最大のキモは「時間」です。センター時代と違って過去問で時間の使い方を練習できないので、どうしてもそこで大失点する人が出て来ます。その点をあらかじめ考えておくと良いでしょう。

 授業でもその点を中心にいろいろ細々と話しました。ボソボソ声で。

 喉の痛みの方は今朝の朝食を取る頃まで続き、朝食時には愚妻Yに心配されるくらい元気が出なかったのですが、徐々に回復して、今はほとんど大丈夫。蘇った気分です。まあ、授業やらなきゃ大丈夫ってことですね。

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2021年1月 8日 (金)

穏やかにまとまる日

 昨日、直前講習第一ラウンドが無事終了しました。

 町田立川と移動しながら、嫌いな共通テスト対策解法講座親の顔が見たい単語講座の六時間授業は、やはりちょっと消耗します。特に、この乾燥した空気の中でしゃべり続けるのは、喉への負担が大きく、最後はガラガラ声を絞り出してなんとかフィニッシュ。

 でも、両方とも上手くしゃべれて、理想的な進行で時間ピッタリにまとまったのには、やってるこっちが驚きました。

 我がことながら、熟練とは恐ろしいモンです。~o~;;

 帰宅すると、久々に我が家に明るい光が灯っていました。ホッ。

 二人とも元気に戻ってきてくれました。本当に久しぶりの一家団欒です。

 今回は、帰宅したYもリビングの掃除をホメてくれました。でも、「やれば出来るじゃない、〇〇さん」って何様のつもりなんでしょうね、コイツは。~o~

 ともあれ、我が家も久々にまとまりました。めでたしめでたし。

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2021年1月 6日 (水)

淡々と燃えると変わらずゴキゲン

 一昨日昨日と、ワタシは池袋の夜の授業でした。

 回復基調と言いながら、都心へ夜出かけるのは気が進みません。昼間は比較的暖かかったのですが、出かける頃に気温も下がり、テンションも下がり…。

 もはや風呂に入ることだけが救いです。やんなっちゃうなあ。

 その池袋が終わったと思ったら、今日から町田で共通テスト講座。実は、昨年まで嫌で仕方なかったセンター対策講座の後釜講座です。昨年はもうやらなくて良くなるとホッとしていたのですが、今年もほぼそのままの形で残りました。うへー。~o~;;;

 ところが、これを淡々と上手くしゃべれちゃうのも昨年度のまま。~o~;; 

 夜の立川で親の顔が見たい単語講座。こちらはもう慣れたもので淡々と進められます。

 などとワタシが淡々と仕事をしている間に、娘(仮称ケミ)は燃えていたらしいです。

 一昨日はスクールがSLの日で、何だか大人しく滑っていたようなので、ちょっと電話でカツを入れたら、昨日のGSは元気な滑りを見せてくれた模様。

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 おっ、すごい。

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 ひえー、上手そう。

 スクールで一番好きなお姉さんの全中予選優勝のニュースが良い刺激になった模様。「近づくと火がつくくらい燃えてる」とはケミさんご本人のお言葉だそうです。~o~

 一方、Yクンは、一昨日八海山で特別なレッスンを受け、昨日はその復習だったそうですが、今日は

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 かぐらの第五リフトが今シーズン初めて開いたそうです。

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 あまりに眩しい青空。「淡々」のお父さんは呆れるしかありません。 

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2021年1月 4日 (月)

回復基調と絶好調とゴキゲン

 昨日一昨日と池袋で午前午後の仕事でした。

 電車は空いていて結構なのですが、池袋の街は相変わらず人が多く、不穏です。

 おまけに教室は換気重視で窓を開けっぱなしのため、かなり低温。さらに、教壇の右横の窓を全開にしてあり、教壇左側の入り口も開けてあるため、教壇を寒風がびゅうびゅう吹き抜けて…。

 新コロナにはかからなくても、普通の風邪を引きそうなんですけど…。~o~;;;

 そうかと思うと、変に暖房が利き過ぎて温風が教壇に吹きつける教室もあり、顔が火照って来て…もしや俺、熱が出たかしらん。などと心配になったり、授業以外の所で気がもめて疲労困憊。困ったモンだよ。

 昨日は、帰宅しても意気消沈してしまい、ああーやんなっちゃうと思っていたのですが、風呂を沸かしてゆっくり入浴。ようやく蘇りました。

 今まで独りの時はシャワーで済ませていたのですが、やっぱり日本人は風呂だねー。~o~

 とワタシが回復基調にある今日、娘(仮称ケミ)は絶好調でTRしている模様。Yからの伝え聞きですが、毎日元気溌剌で楽しんでいるとか。チューンナップの合間のYクンの算数教室でも冴えたところを見せているらしいです。羨ましひ。

 でも、まあ、ケミさんの元気溌剌絶好調ってのは、ワタシにとっても幸せの根源ですからね。

 一方、YクンはケミさんをTRに送った後、八海山でコブをゴキゲンで堪能していたとか。

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 昨日の八海山はとても穏やかな天候で楽しかったようです。

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 人もそこそこ来ていた模様。まあ、正月ですからね。

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2021年1月 1日 (金)

初めましてお久しぶりの元旦

 あけましておめでとうございます。

 ケミさん、今年は眠いのか二年参りに参加せず、ワタシとYだけの二年参りは久しぶりです。

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 今年は、久々に八海神社の鳥居が低いです。

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 恒例の振る舞い酒も今年はありませんが、こういう静かな二年参りも良いものです。

 明けて元旦の朝食はいつものペンションYの越後風おせち。

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 このお雑煮が毎年タマラナイ美味さなんです。

 この日、ケミさんは、人生初の筋肉痛の朝でした。いくらいきなり上手く滑ったとは言え、初ボードで新雪の前倉林間に行ったら、そりゃコケたんでしょう。普段使わない筋肉を使って、首が回らなくなったそうです。

 この日、未明からの雪はペンション駐車場の車の上で、こんな感じ。

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 3~40cmですかねえ。ここは、以前なら一晩でこのくらいの降りは当たり前でした。しかし、この何年かなかったかなあ。

 定点観測地点のロープウェイ降り場はこんな感じ↓。降り場出口から緩い上り坂になっています。こういうの久しぶりだなぁ。

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 我々が行った時にはゲレンデのノートラックは食い荒らされていたのですが、やはり新雪の八海山の面白さは格別です。いきなりドンの大雪だったので、チャンピオンにひび割れが入って滑走禁止なのは残念ですが、エキスパートは下のコブの突き上げがあって刺激的。

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 エキスパート最後の壁を滑るケミさんです。SL板ですが、ファットスキー履いたクラウンホルダー両親にまったく速さ負けしないのは御立派。

 小チャンピオンの林際の新雪を、Yもワタシも堪能。いやはや、楽しい元旦でした。

 んで、滑走後、ワタシだけ新幹線で帰京しました。ペンションYを5時半前に出て、小金井着は8時過ぎでした。これも初めてのパターンですね。

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