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2021年11月13日 (土)

関西の摩訶不思議~赤本NG大賞特別賞

 二学期第十週が終了しました。ここからいよいよラストスパート。

 赤本NGの方は、リクエストされていた某関西大学が出来たので今年はこれで終了です。

 さて、その某関西大学の赤本で魔訶不思議な間違いを見つけました。今年は、赤本に間違いがあまりなく、赤本NG大賞になるようなNGは無かったのですが、この某関西大の間違いは…。

 たいしたことではないので、マトモに大賞を与える気にはなれないのですが、何か言わないではいられないので特別賞。

 『兵部卿物語』からの出題です。某関西大の古文は、例年、長い物語系の問題文にお話の展開に沿った解釈系の設問が付され、この場面はこんな感じの解釈という長い選択肢を選んでいくとお話を読み終えることができるという変わった形式なのですが、一問だけ現代語訳の問題が付いています。

 今年は、問9で「人にもえ言は、思い嘆き給ふ」の部分が訳の問題になっており、模範解答は「中納言の君は、他の人に言うことができずに、思い嘆きなさる」。

 ところが、設問の解説では「え言はで」の部分について、「”~できないで”と訳す」と書かれています。

 微妙に違うねと思って解説の前にある「全訳」の該当箇所を見ると、”人に言うこともできず、”。

 なんだって、解答と解説と全訳を微妙に変えちゃったんでしょうねえ。~o~

 これ、ワザとやったとは思えないので偶然のミスなんでしょうけど、現代語訳の問題になっている箇所なので罪が深いです。こんな赤本で本番の直前に勉強したら、解答と解説の微妙な違いで、「アレ?」となったところで全訳を見て、「アレアレアレ????なんだよーコレ?!」

 本番直前のナーバスな時期にこんな状態になり、誰かしっかりした学力の人に相談する時間もなくて一人思い悩む…、なんていう姿を想像しちゃうんですよね、この仕事やってると。

 受験生が可哀想だから、ヤメてくださいよ、こういうミス。

 文法的に正しいところを説明すると、「言はで」の「で」は、「ずて」が縮まって出来たといわれる打消の接続助詞なので、解説の”~ないで”が正しいのですが、模範解答の”~ずに”も許容。しかし、全訳の”~ず”はアウトってところです。

 上記のような「直前の悩める受験生」がこの記事を発見してくれると良いのですが。

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