« 2022年2月 | トップページ | 2022年4月 »

2022年3月31日 (木)

伸ばし時のさまざま

 昨日から、ワタシの春期講習が本格的に再開しました。

 そういうわけでお父さんは出かけられないのですが、娘(仮称ケミ)の塾は一日お休みでした。

 んで、愚妻Yとケミさんきは五時出発。越後も天気は良かったそうです。まだまだ雪があり、ゴンドラ乗り場の階段はまだこんな感じ↓。

Img_20220330_113849

 定点観測地点のかぐらBBQ台はこんな感じ↓。まだまだ真冬ですね。

Img_20220330_115536

 この日はSLトレーニングでした。Yクン、前回復活させた「まぼろしの右」を安定して使えるようになったとか。

 ところが、肝心のケミさんの方は、いまだに逆手が復活しないんだそうです。

 こういう新しいチャレンジに臆病だからなぁ。

 まあ、親が無理をさせることでもないし、今シーズンはSLレースが残っていないのでのでしばらくは放っておくしかないか。

 今朝、朝食を取りながら昨日のトレーニングの話題になったのですが、Yはライン取りに関するコーチのアドバイスに感心しきり。ところが、ケミさんの方は、「それはインスぺで見てわかってた」とシラっとしています。

 夫婦で感心してしまいました。この子も、実戦経験豊富になってきたってことですかねえ。

 伸びる所は伸びてるってことでしょう。逆手の習得は来シーズンに持ち越しかもしれないけど、それで良いのかもしれません。

 お勉強の方も伸びるところは伸びているようで、先日のリアル二刀流の日のテストもそれなりに安定した結果でした。

| | コメント (0)

2022年3月29日 (火)

伸ばし時と買い時の日

 昨日は、やはり仕事のない日でした。娘(仮称ケミ)は午後から春期講習でした。

 この日の朝刊に陸上オリンピアンの為末さんのインタビューが載っていて、中学生まで全国大会は不要という持論を展開していました。若年層に行き過ぎた勝利至上主義の指導がなされる結果、競技レベルが伸びなくなったり、競技を嫌いになる弊害が出るというのです。

 この話、全ての競技についてそのまま受け入れることはできない話であることを最初に断っておきます。というのは、各競技の年齢的なピークは異なるからで、早い話がスケートボードやスノーボードなどと陸上各種目のオリンピアンの年齢層の違いを考えれば、簡単に判ること。

 だから、アルペンスキーにそのまま当てはまる話とは思いませんが、それでもいくつか肯かされることはあります。

 親が目先の勝ちに入れ込み過ぎた結果、子供がおかしくなるという例を見聞きすることもありますから。

 我が家はちょうどジュ二オリに出られなかったというタイミングなのですが、出られなかったという結果をモチベーションにして子供を伸ばそうとするってのが、もしかして全国大会の存在意義としては健全なあり方かもしれませんね。~o~;;

 昼食後、ケミさんは塾に、我々は御茶ノ水に買い物に出掛けました。

 実は、前回御茶ノ水に出掛けた時に、Yの来期SL板候補を見つけていたのでした。

Img_00841

 菅平で試乗して好感触を得ていたelan SLXの21-22シーズンモデルとYとケミさんの来期のワンピです↑。

 elan SLXが継続モデルになるという話は聞いていたので、年度落ちの21-22モデルを購入候補にするのは、すでに決定事項でした。問題はそれを何時買いに行くかでした。

 例年であれば、こういう年度落ちを購入するには、シーズン終了後の方が安くなっていて望ましいのですが、近年、ショップが在庫を抱えたがらない傾向にある上に、コロナ禍やウクライナ危機の影響で輸入が滞っており、スキー用品、特に板は来期から値上がりするものが多いんだそうです。

 せっかく試乗して気に入った板を見つけたのだから、モノがあるうちが買い時かも。

 ということでの決断でした。板は定価の三割しか引いてもらえなかったのですが、ビンを安い物で間に合わせて比較的安価に購入しました。まあ、今年は仕方ないかな。

 ちなみにワンピも来期から値上がりするものが多いそうです。やはり今期のものが残っている間が買い時かも。

| | コメント (0)

2022年3月27日 (日)

酸っぱい後悔の甘い代償

 今日は仕事のない日曜でした。

 娘(仮称ケミ)は一回目のワクチンを打った後、塾の春期講習第一日目です。

 本当は菅平でジュニアオリンピックのGSレースに出ている日だったんですけどね。

 午前中、ケミさんはワクチン接種に行ってきました。何にも痛くなかったそうです。担当のお医者さんに優しくしてもらったとか。

 万一のことを恐れていたお父さんとしては、大変ホッとしました。熱も今のところ出ていない模様。

 昼食は、ナント、村長さんからいただいたボタモチでした。

Img_00821

 毎年、秋のオハギはいただいていたのですが、春は我が家、小金井にいないことが多いので初めてです。これはジュ二オリに行けなかったおかげ。~o~

 ボタモチをいただいた後に菅平のレースがYoutubeで配信されていたので、リアルタイムで観戦してしまいました。

 仲良しの六年生R子さんの応援が目的だったのですが、戸倉で自分より遅かった選手が三人も出走しているのを見て、ケミさんちょっと複雑な思いがあったかもしれません。

 この子はあまり熱くなることがないので、サラッとではありましたが、「来年はケミも出る」宣言も出ました。

 愚妻Yはこういう場合反応がストレートで、ケミさんが塾に出掛けた後、しきりに悔しがります。

 ワタシは…、やはりちょっと後悔しました。今シーズンは予定されていた北海道合宿が中止になったり、通塾があったり、ケガがあったりして前半で十分なトレーニングが出来ていなかったのに油断していました。野沢で負けてから目を覚ましたんでは、ちと遅きに失したか。

 まあ、しかし、ジュ二オリに行ってないから、ワクチンも打てたし春期講習にも出られるし、何と言っても村長さんのボタモチが食べられたわけですからねえ。うーーん。~o~

| | コメント (0)

2022年3月26日 (土)

真面目娘再度リアル二刀流に挑む

 ワタシの春期講習はすでに始まっているのですが、この週末は仕事を入れていません。なにしろ、ジュニアオリンピックに行っている予定だったので…。~o~;;

 一方、娘(仮称ケミ)は一昨日修了式があり、日曜からは塾の春期講習が始まります。滑りに行くなら、金・土しかありません。

 ということで、昨日は早朝4時40分出発でした。

 本当は、土曜日にケミさんは塾の復習テストがあるのですが、何種類かあるテストの中でこのテストの成績は後に影響しないものなので、サボってもらうことにしました。

 金曜のみつまたは快晴。

2022032508190000

 気温は低くなかったのですが、夜の放射冷却でバーンは凍り、そこへ上手いタイミングで硫安を入れたため、一日良い状態でGSトレーニングが出来ました。

 ケミさんは関東で勝てた自信なのか、ここのところトレーニング前に行っているバリエーショントレーニングの効果なのか、非常にしっかりしたエッジングをするようになり、すっかりお姉さんの滑りになりました。

2022032509110001

 クロ―チングも今まで以上にシャープな感じです。

 愚妻Yもここのところ急速に滑りがレーサー化しているのですが、それでも、ケミさんに比べると見るからに遅いです。

 もう、完全に勝てなくなったねえ。~o~;;

 苗場に一泊して土曜の今日はSLトレーニングの予定でした。ところが、みつまたかぐらは荒天の予報。恐る恐る7時半前にみつまた駐車場に行ってみると、強風のため運休とのこと。

 仕方なく、動いている苗場スキー場に行って滑りました。本当に久しぶりの苗場第3ゲレンデです。

2022032608150001

 ところが、動いているリフトが限られているためにリフト待ちがひどくなり、風が強まる予報もあって、2時間滑って我が家は撤収しました。

 帰路の途中、どこでお昼を食べようかしらなどとノンビリした話をしている最中に、ワタシが気づいてしまいました。

 「もしかして、復習テストって間に合うかも…。」

 ケミさんに希望を尋ねてみたのですが…、どうして、この子はこんなに真面目なんですかねえ、間に合うなら出たいって言うんです。

 我々二人の娘がなぜこんなに真面目に育っちゃったのか、我々夫婦は首を傾げながらも、まあ、本人の希望なら仕方ありません。ドライバーYクン目いっぱい急いで間に合わせました。

 図らずも2度目のリアル二刀流となりました。先ほどケミさんテストから帰宅しました。さすがに疲れたそうです。結果は…、今回は問わないことにしましょう。~o~

| | コメント (0)

2022年3月23日 (水)

22'レース日記7~かりそめの戴冠

 月曜の祭日は、昨年も行われたパラレルGSのレースでした。

 使用するバーンは昨年と同じゲレンデ下部の緩中斜面Aコースでした。しかし、一つ大きなウェーブが設定されているためか、昨年よりも旗門が振ってあるためなのか、K2男子でも全部クロ―チングする選手はいませんでした。

 このレースは、もともとK1女子のエントリーが少なく、七名だけだったのですが、前日のSLをライバルMちゃんが謎のDSしているので、この日もDSの可能性があり、そうなると…。

 こりゃウチの娘(仮称ケミ)の敵はいないかぁ。

 と親〇鹿夫婦はまるで油断していました。~o~

 多分、ケミさん本人も少し油断があったかと思います。滑走前に総合優勝の話なんかしていましたから。

 結局、Mちゃんはこの日もDSで、K1女子は五名参加でした。予選は赤コース青コースを一本ずつ滑って合計タイムで準決勝進出者が決まります。ケミさん、まず青コースで一本目トップ。

Mah006441

 かなりカッコ良く滑ってます。

 しかし、二位の選手との差が意外に僅差でした。二位は新潟から来た六年生女子だったのですが、初日のGSのタイムはそれほどでもなかったので、我々は油断していました。

2022032111080000

 予選二本目は赤コース↑。ケミさん、ちょっと足を取られるミス。まあ、でもあのくらいなら…。

 と思っていたのですが、ナント、二本合計で新潟の子に0.4秒遅れをとって二位で予選通過でした。

 これはちょっと拙いことになりました。というのは、準決勝はタイム一位と四位、二位と三位の組み合わせになるので、決勝まで一位の子には当たらないのですが、タイム上位者にコース選択の権利があるため、決勝では微妙に良いタイムが出ている青コースを一位の子に取られてしまいます。

 さて、どうしたものかと思っていたところ、突然、ケミさんが言い出しました。「ケミ、準決は赤コースを選ぶ。赤を選んで決勝の練習をする」

 ほほう、ナルホド。確かに、準決で当たる三位の子とはかなりタイム差があるので赤コースを選んでも負ける心配はありません。

 こんなことを言い出すようになったんですねえ。~o~

 予選終了後、赤コースだけ少し旗門を直して滑りやすくしてくれたようだし、その作戦でイケるかも。

 思わく通り、準決は赤コースを選んで圧勝しました。よしよし。

 さて、決勝です。一位の子は果たして青コースを選びました。ケミさん集中してスタートのタイミングを計り、良いスタート。途中までは完全に並んでいたのですが、真ん中あたりで一位の子がちよっとバランスを崩して差がつきました。それでも、ギリギリで先にケミさんゴー――ル!↓

Mah006521

 ワタシは板にスタートワックスを塗るためスタート地点にいたのですが、ゴールの瞬間、「よぉーしっ!!」と声が出てしまいました。

 これで、関東小学生スキーチャンピオン選手権の三戦中二戦で優勝です。すげーー。

 当然とは言え、総合優勝でした。

Img_00781

 ちょっと分かりにくいけど、総合優勝のトロフィー↑です。

 これで、額面通り受け取ると、ウチの娘が関東の小学生のスキー女王ということになります。ホントなんですかねえ。

 もちろん、ライバルMちゃんの謎のDSがあり、ライバルHさんや群馬の強豪六年生はエントリーしていません。その他にもケミさんより格上と考えられる選手が二人はいます。

 だから、関東小学生女王といっても、かりそめでしかありません。

 今まではトップ集団の五人からかなり遅れた第二集団の真ん中あたりにいたのが、ようやく第二集団を抜け出したかなぁというところでしょう。

 しかし、この三戦を通じてずいぶん成長してくれました。微差のリードを守って勝ち、微差のディスアドバンテージをひっくり返して勝ち、勝ち方を覚えました。また、二つ勝って総合優勝したことで大きな自信になったはずです。もっと速くなってくれるはずです。

 来年、もう一度総合優勝して、今度は本当の女王になろう、ケミさん。~o~

| | コメント (2)

2022年3月22日 (火)

22'レース日記6~頂の居心地

 土曜のGSに続いて、日曜はSLレースでした。

 実は、ワタシは内心、娘(仮称ケミ)のSLに関して全く期待していませんでした。一月の時と条件は変わらないと思ったからです。結局、ケミさんの逆手テクニックの習得はこのレースには間に合いませんでした。

 結果は期待できないかもしれないけど、最近SLトレーニングでやってきたことを出せればそれで良いかなと思っていました。

 この日の戸倉は朝のうち曇り。夜の間晴れていたため放射冷却でバーンはカチカチでした。インスペクションについて行ったのですが、ワタシの板の丸くなったエッジでは立っているのがやっとでした。K1カテゴリーのSLのスタートは急斜面の途中からなので、コースの半分ほどまではかなりキビシイ状況です。

 これなら、よほど逆手をキチンと習得していないと使えないかも…。

 ワタシはSLレースの経験がほとんどないので、インスぺについていっても、特にケミさんに話しかけることはありません。ところが、ケミさんはSLレースもけっこう経験を積んできているので、同じレーシングスクールのSL未経験のお姉さんに、かなり熱心にコーチングしていました。ふーーん、あんなこと出来るようになったのかあ。

 この日、一本目はケミさん三番スタートでした。スタート地点の振舞いにも落ち着きが感じられます。昨日の成績が自信になっているのかしらん。

 勢いよくスタート。快調にすり抜けで滑っていきます↓。

2022032010300000

 上から見た感じでは悪くないんじゃないかしら…。

 一方、六年生のお姉さん方はアイスバーンに逆手を封じられたらしく、おとなしい滑りでした。ライバルMちゃんは…。

 来ていません!なぜだかDS。

 結果、一本目、ケミさんトップでした。ビックリです。

 でも、三位までゼロコンマ数秒差です。いやー、痺れる展開だぁ。

 二本目は午後でした。インスペクションに上がると一本目とはまるで雪が違います。気温上昇で柔らかくなっています。こりゃグリップするから、六年生のお姉さん方は逆手で追い上げて来るだろーなー。

 我々夫婦は半分結果を諦めていました。ところが…。

 一本目トップのケミさんはK1女子最後の滑走でした。ワタシは全員の滑りを上から見ていたのですが、なんだか、皆さん苦労している様子。雪が緩み過ぎて荒れて来ていたんです。

 二位の六年生有力選手が無理な逆手で転倒寸前になるのを見た時には、結果に期待よりも心配になりました。ウチの子は、こんな所を無事滑れるんだろうか。

 ところが…勢いよくスタートしたケミさん、すごく生き生きと滑っていきます。あらら、あんなこと出来たのか。

Mah006431

  よく見ると荒れてるので切り替えで空飛んでます、かなりカッコよいです↑。

 思い切り漕ぎながらゴール!

 ナント、二本目は二位に1秒以上差をつけたぶっちぎりのタイム!。なんてこったい。~o~;;;

 というわけで、

2022032016450000

 一位の賞状と賞品の数々です↑。

 正直、我々はボンヤリしてしまいました。ライバルMちゃんやHさんが不在とはいえ、関東小学生女子のトップにケミさんが立ってしまったとは…。

 本人も何だかピンと来ていないようでした。でも、いろんな人にお祝いを言われ、六年生のジュニアオリンピック代表のお姉さんにまで、「速くなったねー」と褒められるに至って、ようやく分って来た模様。

 「一位って良いかも」~o~

| | コメント (0)

2022年3月20日 (日)

22'レース日記5~「良い日」のためのサービスその2

 「一応、関東規模の公式大会のカテゴリーK1の二位」というややこしい書き方をしたのは、有力選手の何人かがエントリーしていなかったからで、ライバルHさん群馬の六年生の強豪も来ていませんでした。しかも、一位のライバルMちゃんとは一分ちょっとのコースで四秒の大差がついています。

 しかし、この子としては今シーズン初めての表彰台でした。菅平での惨敗の後、このレースでの表彰台を目標にトレーニングしてきましたから、目標達成と言って良いでしょう。

 滑り自体も最近トレーニングしてきたことをそのまま出せた良い滑りでした。この日は湿雪を硫安で固めたバーンで、しかもK1女子はK2女子28名が滑った後のスタートであったために、コースが荒れ、かなり怖かったらしいのですが、それに立ち向かう勇気もありました。

Mah006371_20220320052701

 こんな↑になったのを

Mah006373_20220320052701

 瞬時にここまで戻したんですから、たいしたモンです。トレーニングの賜物です。

 しかし、Mちゃんと4秒差がついたのも事実。原因は急斜面に入った直後のダブルの取り方でした。インスぺで気をつけなければと話し合っていたのに、上の青に板を振って入ったために、下の赤までターンが続かず二度踏み。2秒はあそこでロスしてます。それに加えて左ターンでの内倒癖が数ターン顔を出して外足のグリップが甘くなり、2秒はロスしてるかしらん。

 とは言え、二位です。宿舎のKのみテラスさんに帰って報告すると大変喜んでくれました。宿泊客の皆さんにも賞品にもらったリンゴジュースを飲んでもらい、祝っていただき、ケミさん、またまた、「今日は良い日だー!」

 Kのみさん特製のお子様ディナーとリンゴジュース↓。

2022031918460000

 連日長距離移動でドライバーYはヘロヘロに疲れ、専属サービスマンのワタシも連日苦労していたのですが、ケミさんの最高の笑顔に疲れが吹き飛んだ夕餉でした。

| | コメント (0)

2022年3月19日 (土)

「良い日」のためのサービスその1

 木曜日、またまた親族の誰かが結婚式をしたらしく、我が家は五時出発でした。

 越後は快晴。

2022031709180000

 この日は、スラロームのTRでした。Yもスラロームおばさんとなって娘(仮称ケミ)とともにひたすらスラローム。ケミさんは、先日に続いて逆手にチャレンジ。一方、Yはなかなか倒せませんでしたが、最後に主任コーチのアドバイスで突然まぼろしの右が復活…。

 んで、タイムアップになってしまい、二人とも逆手の完成は次の機会にということになりました。

 我が家は帰京を急ぎ、みつまた午後一時半出発で午後四時半にはケミさん通塾。ケミさん専属サービスマンのワタシは御茶ノ水でチューンナップ道具を仕入れて週末のレースに備えました。

 金曜日、連日の親族の誰かの結婚式で、五時出発でした。~o~;;

 この日の越後は夜、湿雪が降った後、何か降りそうな曇りでした。他の山にはガスがかかったりしたのですが、みつまたは、

2022031808330000

 雲海の上でした。終日、視界は良く、トレーニング日和。ラッキーでした。

 この日はGSトレーニングでした。空いていました。ケミさんもYもホメ上手のコーチに乗せられて、それぞれに進歩した模様ですが、子供を速くしようと思って無理して来てるのに、どうしてこのオンナは進歩しちゃうんでしょう。何だかYのためのトレーニングのようでした。

 今日、土曜日は尾瀬戸倉でケミさんの今年度最後の大回転レースでした。ケミさん、ようやく本人が納得できる結果を出してくれました。

2022031915420000

 一応、関東規模の公式大会でのカテゴリーK1の二位ですから、ホメてあげなければいけません。我々激賞、本人、大満足ニコニコでした。「今日は良い日だー!」「なんて良い日なんだろー」を連発していました。

 我々も、子供にコレを言ってもらうために、かなり疲れました。今日は疲れたので、レースの詳細はまた明日。

| | コメント (0)

2022年3月16日 (水)

三度目と二度目の日々

 昨日、愚妻Yは三回目のワクチン接種でした。

 本人は、まだ気が進まない感じだったんですが、お義父さんお義母さんも兄夫婦もみんな済ませたという話を聞いて、ようやくその気になりました。

 ワタシの時と同様、簡単にファイザーの予約が取れました。昨日の午後接種。

 昨日のうちは何も起こらず、「早く熱が出てくれないカシラ」などと言っていたのですが…。

 今朝になって身体の関節が痛いと言っていたら、朝九時くらいから出ました。38.1度まで上がり、午後はずっと寝ていました。「アタシはこんなに早く打ちたくなかったのに…」などとグズグズ言いながら。

 ようやく、夕方スッキリしたそうです。

 さて、Yがスッキリする前に、娘(仮称ケミ)が二度目を持ってきました。

2022031616370000

 前回に続いて、『徒然草』。今度は第109段「高名の木登り」でした。

 2022031616370001

 最初の訳(右側)は、まあ、まったくのデタラメになりましたが、「『し』ってのは、過去の表現」と教えて、「いかに」について話し合った結果、どうにか訳らしいもの(左側)をまとめました。

 この後、「おのれが恐れ侍れば」について、いろいろ話して、ようやく大意を掴んでくれました。この話、そんなに難しい話なのかしらん。

| | コメント (0)

2022年3月14日 (月)

視界開ける日々

 日曜日、愚妻Yと娘(仮称ケミ)は朝4時20分に出発しました。

 土曜は塾があって出かけられなかったので、日月の越後行きでした。月曜は、また親戚の誰かが結婚式をしたらしいです。~o~;;

 ワタシは、日曜に新年度の体験授業の仕事がありました。今年度からウチの予備校は体験授業のやり方を大幅に変更するとのことでした。正直言って、これはストレスでした。いったいどうなることやら、見通しが全く立たず、半ばヤケクソで授業を始めたのですが…。

 やってみりゃどうってこともなく、ナルホド、今までの方がいい加減だっただけであったかと得心。一度に視界が開けたような気持ちになりました。

 仕事の後、すぐに大宮に向かい、新幹線で越後湯沢へ。Yが迎えに来てくれる手筈でした。

 越後湯沢は随分とお客さんが来ていました。越後湯沢駅近くのお風呂に直行したのですが、

2022031316340000

 イヤハヤ、芋を洗うような混雑でした。街の中にもお客さんが随分いたし、越後湯沢はもしや密かなブームなのかしらん。

 翌月曜日は、曇りでした。みつまたのロープウェイを上ってみると…、あららら、ガスが。

 一面にガスが立ち込めていました。ケミさんとYはこの日、GSのトレーニングだったのですが、スタート地点からはこんな感じ。

2022031409240000

 最初の赤旗門を抜けていく黒い影がYです。

 さて、どうなることやら、と思ったのですが、傍で見ていほどセットの中は滑りにくくないらしく、トレーニングはドンドン進行。

 Yはワタシと一緒に途中でかぐらに上り、視界不良のかぐらにガッカリして帰ってきてみたら、ナント、みつまたはド快晴になってました。

 結局、視界が良くなってから三本ほどTR。終了は13時過ぎ。帰宅は17時でした。

| | コメント (0)

2022年3月11日 (金)

春の散歩と師説発見~『源氏物語』に関する些細なこと17

 ワタシの仕事がなく山に雪はあり、それなのに滑りに行けないというのは、愚妻Yにはストレスになるらしく、「どこか行きマショウ。普段行ったことない所まで歩きましょう」としきりに言います。

 仕方ないから、小金井公園までの散歩で勘弁してもらいました。

2022031014240000

 小金井公園梅林↑は、今が花盛りです。

 さて、それとは関係なく、『源氏』です。「須磨」巻冒頭。源氏が須磨退去を思い立つところなのですが、

 「人しげくひたたけたらむ住まひはいと本意なかるべし、さりとて、都を遠ざからんも、古里おぼつかなかるべきを、人わるくぞ思し乱るる。」

という本文に対して、小学館『新編日本古典文学全集』では、次のような訳を載せています。

 「人の出入りが多くてにぎやかな所に住むのもまったく本意にもとるというもの、そうかといって都を遠ざかるのも、故郷のことが気がかりであろうしと、あれこれと見苦しいくらいに君は思い困じていらっしゃる」

 この訳のどこが「些細なこと」なのかというと、「人わるくぞ」を「見苦しいくらいに」と程度で訳していること。見苦しいくらいに思い乱れるというのは、なんだか妙です。源氏の思い悩む様子が見苦しいほどだというのは、まるでどちらを選ぶか思い悩み身をよじってクネクネしているみたいです。見るからに見苦しい悩み方ってどうやるのでしょう。

 そもそも、「おぼつかながるべきを」を「「気がかりであろうしと」とするのも、文法的には説明し難い処理です。

 もっともここは、所謂「移り詞」(会話文・心内語が地の文に融け込む源氏独特の表現)の箇所と考えれば、上記ののような処理もギリギリでセーフなんですが…。

 おそらくそういう事情もあって近代の注釈書はすべて上記『新全集』と同様の訳をしています。例の文豪さえ、「人聞きが悪いほどお迷いになります」。もっとも文豪の訳だとクネクネにならないのは、さすが文豪というべきか。

 さてこれはどうしたモンだろうと思ったのですが、ナント、『新全集』頭注にこの問題の答えがありました。

 「隠遁を決意しながら、なお古里のことを気にする迷いを、我ながらみっともないと思う。」

 「人わるくぞ」を「我ながらみっともないと」と取れというのです。ナルホド。

 形容詞や形容動詞の連用形が知覚動詞に続く場合、知覚する内容を表すことがあるというのは、現代語にも残る「悲しく思います」などという表現を考えると分かり易く理解できます。「悲しく思う」は、思い方が悲しいのでも悲しいほど思っているのでもなく、「悲しいと思う」意味ですモンねえ。

 この『新全集』の頭注は、旧『日本古典文学全集』頭注も全く同じです。以前にも書いたことがあるのですが、小学館『旧全集』の頭注は故A先生御執筆のはず。『旧全集』現代語訳は故I先生そこに故S先生が手を加えたのが『新全集』訳でしょうから、知覚内容と取る故A先生説に対して、I先生S先生が程度と取ったということなのでしょう。この部分を故A先生の御説に沿って訳すと、

「『人が多くごたごたしている住まいは不本意に違いない。だからと言って、都を遠ざかるようなことも自邸が気がかりに違いないので、我ながら不体裁だ』と思い乱れなさる。」

 このくらいの訳文の方が自然なような気がしますねえ。

 まあ、ホントに「些細」なことなんですが、故A先生独自の御説に触れて、ちよっと嬉しかったモンで。~o~

| | コメント (0)

2022年3月10日 (木)

四人に一人の痛み

 昨日、三回目接種を受けて来ました。

 小金井市から接種券が来たのは二月中旬だったと思います。ワタシは昨年8月2日が2回目だったから、3月2日に目安の7か月が過ぎたら、ゆっくり予約を取ってなどと考えていたところ、たちまちその日が過ぎてしまって、今週月曜、そろそろ予約をと電話してみました。

 小金井市は大規模会場でモデルナ、小規模な医療機関でファイザーの接種ということになっていました。一二回目がファイザーだったから、今度もファイザーが良いかしら。モデルナより副反応少な目だっていうし。

 でも、同じこと考えている人がたくさんいそうだから、予約は簡単じゃないだろなー。

 と思って電話してみたら、簡単に予約できてしまいました。どこの病院でも良いから早い方がと言ったら、翌日火曜が空いてるっていうんですが、火曜はこういう予定だったのでねえ。~o~;;

 んで、水曜の昨日になりました。

 さすがに病院を選ばないとなると、少し遠くなります。市のほぼ反対側でした。

2022030909160000

 遠いと言っても、小金井市のこと。自転車で二十分ほどでした。アッというまに着いて、アッと言う間に終りました。

 もう、こういうことに我々もお医者さんも馴れちゃったからなんですかねえ。一回目のようなものものしいことはなく、「注射液入ります」さえ言ってもらえませんでした。

 昨日の朝打って、昨日は痛くも無ければ熱も出ませんでした。今朝になってすこーし熱が出て腕にすこーし痛みを感じましたが、まあ、それも収まって来たかしらん。

 日本の三回目接種率って、まだ26%程度らしいのですが、何だかすごく簡単ですから、是非どうぞ。とっても安心できますよ。

 特に、我が家としては何かもらってきて子供にうつしたら大変だから…。

 と、しぶっている愚妻Yを説得しています。~o~;;彼女は一二回目の副反応が少しキツかったからね。

| | コメント (0)

2022年3月 9日 (水)

家族で倒す第二章と遅れてきたプレゼント

 土曜日曜と娘(仮称ケミ)は塾でした。

 特に日曜は大事なテストだったのですが、普通にクリアしてくれた模様。算数が引き続き安定しているので怖い算数の先生も納得です。一刀の方はまずまず。

 となると、残りもう一刀を何とかしなければ…。

 本当は火曜日は夕方に塾なのですが、午前は学校しかありません…。というわけで、昨日の火曜はやはり親戚の誰かの結婚式となりました。~o~;;

 我が家は五時出発で七時半着。みつまたは曇り後晴れ。さほど寒くもなく絶好のTR日和でした。

 前回の失敗に懲りて、ケミさん、今日は最初から真剣に取り組みます。まず、ストック水平持ちのバリトレ。

2022030809590000_20220309115501

 だんだん良くなっていきます。

2022030811330002_20220309115501

 一方、前回炸裂したYクンの右パンチは不調。

 後で本人が、「今日は最初からぶっ倒してケミに見本を見せてあげなきゃと思い過ぎマシタ」と述懐していましたが、まあ、それはあなたのガラじゃないモンなあ。

2022030810540001_20220309115501

 バリトレもなんか変です。

 最終的にYクンも少しは改善され、何本か倒しましたが、まだまだ、これからのスラローム第二章。

 パネルスラロームのTRの後、最後の二本、ケミさんは倒しに行きました。

2022030812580000

 この時はなかなか良い滑りで、

2022030813100001_20220309115501

 多分、このターンがキレイに倒した時のものだと思います。三、四本倒したかな。主任コーチに「最近で一番」と褒めてもらったそうですが、こちらもまだまだこれから。

 午後一時半にみつまたを出て、小金井は午後四時過ぎ着。急いで身支度をしてケミさんは通塾。

 通塾前にワタシと少し相談して出かけました。帰宅後、ワタシからオシャレな袋を受け取ってから、Yクンの所へ。コレ↓を手渡しました。

Img_00771

 一月中旬頃にケミさんからYの誕生日プレゼントの相談を受けて、「これが良いよ」とアドバイスしていました。

 ケミさんの塾は、授業内テストの優秀者や授業での良い発言などに対してシールを与えます。溜めると文房具がもらえるのですが、誕生日には間に合わず、昨日になったと。

 我が子がお勉強頑張って自分のために取ってきてくれたものですからね。そりゃYクン大感激の夜となりましたとさ。~o~

| | コメント (0)

2022年3月 5日 (土)

まぼろしの右から先生との再会と恒例の数字

 三月のレースに向けて娘のトレーニングを再始動させた我が家ですが、滑走日数を増やす障害となるのが、娘(仮称ケミ)の学校好きです。学校大好きのケミさんは、なかなか小学校を休むことを承知してくれません。

 そこで、「パコン記念日」以来、SLトレーニングしたがっていたのを利用して、「今度の金曜はスクールのTRがSLなんだけど…」と水を向けてみたら、あっさり、「行きたい」と言い出しました。

 というわけで、今回も、誰か親戚の結婚式です。~o~;;

 こちらとしては、三月にあるSLレース前にもう一度SLトレーニングをして、一月前ケミさんが始めた逆手テクニックをレースで使えるようにしておきたいという計算でした。

 金曜朝、我々夫婦は三時半起床、五時出発でした。

 みつまたは前夜軽い降雪があった後の快晴。少し暖かくなりました。

 主任コーチの立てたキッズ用のコースは、前半ショートポール後半は、簡単なロングポールのセット。いかにも逆手習得中の選手に、「さあ、存分に倒せ」と言わんばかりのセットを立ててくれました。これは、さぞかしケミさん上達するだろー、と思ったんですが…。

2022030409240000

 Yも当然、トレーニングに参加しました。ショートポールの中に滑り出すYです↑。

 ケミさん、バシバシ倒すかしらんと期待していたのですが、アレレ、すり抜けしてる。

 最初のうちはコーチの指示ですり抜けをやっいるのかと思ったのですが、違いました。どうも、あの感覚を忘れてしまった模様。約一月SLやってなかったからなぁ。~o~;;

2022030409360000

 当人は、一生懸命やってるらしいんですが…。

 コーチが、両手で水平に構えたストックでポールを倒すエクソサイズをやらせてくれたのですが…。

2022030412290000

 このエクソサイズがなかなか上手く行きません。上手く行かないとストレスも溜まるらしく、「ストックが上手く持てなーい」「ポールに手が当たって痛ーい」「こんな痛い思いしなくても快適に滑れたら良いんじゃなひ~」などと愚痴、弱音のオンパレード。

 それでも、リフトで我々に励まされて、「最後の一本はどうしても逆手で倒す」と心に決めていた、その最後の一本で、コーチから「ストック水平に構えて」と指示され、ちょっとふてくされたように滑り出したのが、三ポイYの怒りに火を点けました。

 Yの、必殺まぼろしの右パンチ炸裂!

 もちろん、右パンチが当たったのはSLセットのロングポールです。~o~

 実は、この日Yクン、アレコレと考えながらTRし速い中学生の滑りなども参考にして、とうとう、最後の一本で逆手を右手だけ習得したんです。

 スラロームおばさん自慢すること自慢すること。~o~

 結局、ケミさんは逆手を思い出せませんでした。まあ、次回に期待です。

 午後、休憩とワクシングの後、この日は、ノルンでナイターGSTRもありました。スタートに行ってみると、ナント…。

2022030418500000

 マ、ママミキ―先生がコーチしてます。ケミさん、六年ぶりの再会でした。旦那さんである佐藤コーチの代役だとか。

 この日のノルンは、昼間の暖かさで溶けた雪が、そのまま夕方凍り、モノ凄いハードバーンでした。

 その超ハードバーンで、Yとケミさんは八時過ぎまでTR。お疲れ様。帰宅は、11時半になりました。

 そうそう、2/26と決めていた例の数字です。忘れてました。今年の2/26でケミさんは誕生後4075日。滑走日数は708日で17.4%。歩き出してからだと、3683日中708日で19.2%でした。今年はちょっと伸び悩みかも。~o~;;

| | コメント (0)

2022年3月 4日 (金)

花散里という名のあはれⅡ~『源氏物語』に関する些細なこと16

 句読点の打ち方というのは、つまりこういう本文になるということです。

「御妹の三の君、内裏わたりにてはかなうほのめきたまひしなごりの、例の御心なれば、さすがに忘れもはてたまはずわざとももてなしたまはぬに、人の御心をのみ尽くしはてたまふべかめるをも、このごろ残ることなく思し乱るる世のあはれのくさはひには思ひ出でたまふには、忍びがたくて、五月雨の空めづらしく晴れたる雲間に渡りたまふ」

 まず、「さすがに忘れもはてたまはず」をの後を句点にして文を結びます。こうすることで、源氏のどっちつかずの中途半端な態度が女君の煩悶を生むという文脈が消えます。「人の」の後に読点を打って「人の」を主格と取りやすくし、「世の」の後に読点を打って、「心を尽くす」を「思いを寄せる」、「あはれ」を「情趣」などの意味に取ると、全体の訳文は、

「その妹君の三の君と、かつて宮中あたりでかりそめの逢瀬をかわすご縁があった後、君は例のご性分から、さすがにすっかり忘れておしまいにはならない。表立った扱いもなさらないのに、女君が、すっかり深い思いをお寄せになっているに違いないようであるご様子を、このごろ余すことなく思い乱れなさる世の中にあっての、情趣の種としてお思い出しになるにつけ、じっとしてはいられなくて、五月雨の空が珍しくも晴れた、雲の絶え間にお出かけになるのである」

 こんな感じになります。

 つまり、表立った扱いもしない源氏に対して健気に一途な思いを寄せて来る花散里を、私生活でも政治的にも苦境にある源氏が限られた情趣、風流生活の種として思い出し訪問すると読むわけです。

 この解釈のポイントは、「思し乱るる世」と「あはれ」を切り離したことです。従来の解釈では、花散里との関係=「あはれ」は「思し乱るる世」の一つの例に過ぎなかったのですが、新解釈では「思し乱るる世」は「あはれ」と対比され、社会的状況から来る混沌と懊悩の意識中に、数少ない風流ごととして浮かび上がってくる存在が花散里訪問=「あはれ」なのだということになります。

 さて、ここまでが「些細なこと」。ここから些細でない話です。

 「花散里」巻は、確かに花散里との「あはれ」を描いていますが、物語の語り手は、花散里よりも女御邸訪問の途中の中川の女とのやりとりに力を注いでいるように見えます。

 上記新解釈によって、「思し乱るる世」⇔「あはれ」(花散里)という対比が印象つげられたとすると、この女はどちら側なのでしょう。

 この女は、源氏に対して「ねたうもあはれにも」思いながら、源氏を拒みますが、その理由は、「さもつつむべきこと(そのように憚らねばならないこと)」としか示されません。

 また、花散里巻の巻末には、花散里と源氏の逢瀬を語って、「我も人も情をかはしつつ過ぐしたまふなりけり(互いに心通わせ続けてお過ごしになるのだった)」と、源氏との交情を続ける女性達の存在を示しつつも、「それをあいなしと思ふ人は、とにかくに変はるもことわりの世の性と思ひなしたまふ(そのことを「あいなし」と思う人は、あれこれと変わるのも道理の世の習いだと源氏の君はことさらに思い込んでいらっしゃる)」とあって、中川の女のような存在が源氏からの情交を「あいなし」と考えていることが示されています。

 「あいなし」は多義語ですが、道理・常識などに照らして、筋が通らず、理屈に合わず、困った存在を指す意の語です。この語をどう解釈するかでこの巻全体の在り方が変わってくる気がします。

 そもそもこの花散里巻では、解釈の鍵になる部分に多義的な表現がよく用いられます。前掲部分の「あはれ」もそうですが、「つつむべきこと」「あいなし」などはどのようにでも受け取れそうです。

 だから、『岷江入楚』等の古注釈が指摘するように、この中川の女がすでに「ぬし定まる」女であって、その男性に対して憚って源氏からのを贈歌を「あいなし」(=不都合だ)と考えたと取ることもできます。

 しかし、多義的表現であるために、いろごのみの風流貴公子であろうとする源氏が、物語の政治的状況の側の常識から外れる困った存在として「あいなし」とここで評されているのだという読みも決して間違っているとは言えません。

 右大臣専横の世の中では、源氏と交情を持つこと自体が「つつむべきこと」であり、にも関わらずいろごのみを仕掛けてくる源氏は「あいなし」と感じさせる存在だというこです。中川の女は、源氏を拒絶し孤立させる世間の重苦しい空気感=「思し乱るる世」を代表する存在としてこの巻で取り上げられているのかもしれません。

 どちらで読んでも間違えと言えないこの状況は、あるいは作者が故意に仕掛けたことなのかもしれません。「さもつつむべきこと」「あいなし」という多義的な表現のヴェールの向こうに何を読み取るかは、読者に委ねられている謎なのかもしれません。

| | コメント (0)

2022年3月 3日 (木)

花散里という名のあはれ~『源氏物語』に関する些細なこと16

 三月前半は予備校屋の仕事が全くなくなります。そうなると、ブログを書きやすくなり、試乗会レポの次は一転して『源氏』です。

 『源氏物語』「花散里」巻は、「賢木」巻と「須磨」巻の間に置かれた掌編で、その存在意義についてあれこれと論じられている巻です。今日の「些細なこと」は、「花散里」巻全体の存在意義に関わるので、発展させていけば「些細」ではなくなりそうな「些細」なことです。

 「花散里」巻、巻頭近く、源氏の、桐壺院の麗景殿女御邸訪問を語る場面で、妹の三の君、花散里の君を紹介する一節です。小学館『新編古典文学全集』の本文はこうなっています。

 「御妹の三の君、内裏わたりにてはかなうほのめきたまひしなごりの、例の御心なれば、さすがに忘れもはてたまはず、わざとももてなしたまはぬに、人の御心をのみ尽くしはてたまふべかめるをも、このごろ残ることなく思し乱るる世のあはれのくさはひには思ひ出でたまふには、忍びがたくて、五月雨の空めづらしく晴れたる雲間に渡りたまふ」

 この本文に対して『新編全集』の訳文は、

 「その妹君の三の君と、かつて宮中あたりでかりそめの逢瀬をかわすご縁があった後、君は例のご性分から、さすがにすっかり忘れておしまいになるのではなく、かといって表立った扱いもなさらないので、女君は心底から深くお悩みになったようだが、このごろ源氏の君ご自身、世の中の何ごとにつけても心を痛めていらっしゃる、その一つとしてこのお方のことをお思い浮かべになるにつけ、じっとしてはいられなくて、五月雨の空が珍しくも晴れた、雲の絶え間にお出かけになるのである」

  この訳のどこが「些細」なのかというと、「このごろ思し乱るる世のあはれのくさはひ」の部分を「このごろ源氏の君自身、世の中の何ごとにつけても心を痛めていらっしゃる、その一つとして」と訳していることです。

 この訳に従うと、源氏は花散里との関係で心を痛めていたことになります。しかし、「このごろ思し乱るる世」とは「賢木」巻に語られた藤壺の出家、右大臣専横の政治状況およびそれに付随して起こった朧月夜尚侍とのスキャンダルなどを指すのでしょうから、そうしたいくつもの重大な心痛と花散里との関係が肩を並べて同様に心痛として扱われるのは、おおげさな気がします。

 それにそもそも、花散里との関係がそんなに悩ましいなら、その原因である「女君の心底から深くお悩みになった」という悩みを解消してやれば良いわけで、上記の訳文によれば、女君の悩みは、源氏自身のすっかり忘れるわけでもなく、かといって表立った扱いもしない中途半端さに原因があるわけですから、これを解消するべく女君の扱いを変えれば良いだけのこと。

 なんだか奇妙な解釈に思われるのですが、実は、手元にある現代の注釈書や現代語訳は全て、ほぼ同様の解釈をしています。

 なぜ、このような解釈になるのでしょうか。そのポイントは「思し乱るる世のあはれのくさはひ」の「あはれ」の取り方にあります。この「あはれ」を「心を痛める」と取るわけですが、その根拠は少し前の「人の御心をのみ尽くしはてたまふ」の解釈にあります。「心を尽くす」には「いろいろともの思いをする・気をもむ」などの意味があるので、女君の煩悶のさまを言っていると取るわけです。

 ところが、「心を尽くす」には、「真心を尽くす・深い思いを寄せる」の意味もあり、そちらで取ると「あはれ」の解釈が違ってきます。

 「心を尽くす」を「物思い」の意味で解釈する根拠は、恐らく直前の「さすがに忘れもはてたまはず、わざとももてなしたまはず」の解釈にあります。この部分が源氏のどっちつかずの中途半端に態度を指していると取るわけです。

 つまり、源氏の中途半端な態度が女君の煩悶を生み、そのことで源氏が心を痛めているという論理なのです。

 このような論理展開は、一見すると自然な流れにも思われるのですが、しかし、結果的にはこのような読みが前述のような奇妙な解釈を生んでしまっています。

 この問題の解決策は、句読点の打ち方にあるのではないかと思われますが、長くなったので、続きは明日。

| | コメント (0)

2022年3月 2日 (水)

ブロッサム日和菅平その2

 菅平でのBlossom試乗会小回り板編です。

試乗日2/25 快晴 

試乗場所 

 菅平ファミリーコース、シュワルツコース、太郎コースの硬い整地 シーハイルコースの節操のないコブライン 

・Blossom FIS SL 165cm R=14 118-66.5-102.5(カタログの表記と違いますが板に貼られていたシールの数字を載せておきます)

2022022511280001

 まず、愚妻Yが、先日フィーリングが悪かったFIS SL 155cmを試乗してシュワルツコースを滑って奇声を上げます。「コレ、すごいデス!オートマチック!!」

 何の気なしに一番上からフラッと小回りに入ったら、板が腰の下で勝手にビュンビュンカービングし始めて止まらなくなったとか。

 コレ、後からワタシも165cmを借りて確認したのですが、本当にそんな感じです。グリップがとても良く非常にしなやかなので、ターンに入ると板が勝手にグリップしてたわみ、抜けて走って次のターンポジションに来てくれてグリップし、またたわんで抜けて走り、オートマチックにカービングを続けてくれます。その間、スキーヤーは上体をフォールラインに向けてブレないようにし、適当なタイミングでストックを突くだけ。板は体の下を左右にビュンビュン行ったり来たりします。すげー。

 ただし、完全オートマチックにすると暴走になりかねず、また、面白くもないので、ハーフマニュアルっぽくコントロールしようとすると、ちゃんと言うことを聞いてくれるようになります。

 愚妻Yは、この板が気に入ってずっと試乗していました。最後には上手く手なずけて、「サイコー!」と歓声を上げてました。

 ただ、そのYにしてからが、初めのうちはエッジが掛かり過ぎて、平らな所でたわいもなくコケてました。~o~;;

 ちなみに、この板のコンセプトとは関係ないけど、コブもイケます。越後の深いコブだとどうだかわかりませんが、菅平に出来る程度のコブなら、シーハイルコースの階段コブあり二段掘れありの節操のないコブラインでも対応できました。本来、操作性の良い板なんだと思います。

 さらにちなみに、前回のYの感想と今回のYの感想を比較すると、昨日述べたBlossomを試乗する際の注意点が理解できると思います。雪質によって、まるで評価が違っちゃうんです、このメーカーの板は。

・Blossom SL N゜1 159cm R=12 123-67-104

2022022510490000

 愚妻YはFIS SLの後に試乗し、「コレ、つまんないデス」と言っていました。でも、ワタシ的には、こちらに好感を持ちました。基礎ユースなら、こちらでも十分ビュンビュンいってくれます。オートマチックって感じにはならないけど、その分、操作性が良くて融通も利きそう。

 ちなみに、当然のことですが、こちらの方がFIS SLよりコブで使い易いです。

 159cmは普段使いには中途半端な感じだけど、小回り用と割り切ればこの方が良さそうです。技術選地方予選の小回り板なら、こちらでしょう。

 クラウン検定の小回り板でも良さそうです。多分、165cmか171cmにすれば一本でクラウン検定行けそうですが、それは中途半端になってもったいない気もします。また、テクニカル受験レベルだとちと持て余すかも。特にコブで。 

| | コメント (0)

2022年3月 1日 (火)

ブロッサム日和菅平その1

 菅平でのBlossom試乗会のレポート大回り板編です。

試乗日2/25 快晴 

試乗場所 

 菅平ファミリーコース、シュワルツコース、太郎コースの硬い整地 

2022022509320000

 ブロッサム日和↑の素晴らしい日でした。

・Blossom Master Race GS 180cm R=23 104.7-68.6-89.5

2022022509430000_20220228115501

 まず、マスターズ用のGSから。日本限定モデルだそうです。硬く締まってとても良い雪質だったので、この板のグリップの良さが生きました。しっかりした足場があり、しなやかにたわんで、たわみ戻りが快感です。特筆すべきは切り替えのスムーズさ。以前乗っていたFlere SLと同様、リズム変化しやすいです。

 もし、ワタシが大回り用の板を購入する年なら有力候補になったかもしれません。技術選の地方予選などでは武器になるかもと思います。しかし、OSじゃないから全日本には使えないだろうけどね。クラウン受験の大回り用としてもかなりイケると思います。

 ちなみに、同じMasterGSが二台置いてあったけど、トップの形状が微妙に違いました。いくらハンドメイドとはいえ、このあたりがイタリアン。~o~

・Blossom FIS GS 188cm R=30 

2022022510170000_20220228115501

 R=30のGS板は、多分初めてだったので、曲がるかしらんと心配だったのですが、曲がりました。ただし、スピードがないと言うことを聞いてくれませんでした。でも、予想していたほど扱いにくいわけではなくスピードさえあればカービングで気持ち良く曲がってくれます。ワタシの体力技術ではちょっと大きめな弧になりますが。

・Blossom GS N゜1  173cm R=17.5  114-69-99

2022022513400000_20220228183101

 日本で言えば、基礎大回り系トップモデルということになるのでしょう。インストラクター用みたいなことが書いてあったけど、こんなにグリップの良い板は日本のスキー教程に会わないんじゃないかしら。そのくらいグリップ感が良いです。MasterGSよりはオールラウンドに振ってあるとは思いますが、かなりがっちりグリップしてしなやかにたわみ、ビュンビュン走ります。

 代理店の人にお話をうかがったところ、「ウチのサービスマンが『Blossomらしさを出さなきゃ』ってエッジを立ててます」とのこと。まあ、確かにBlossomの個性は際立つと思うけど、この板はそういう趣旨の板ではないんじゃないかしらん。レーサー用じゃないんだから。

 この日は雪が良かったので、このくらいのエッジでも良いと思いますが、前回(24日)のような雪の場合、レースをやらない人がこの板に乗ったら、すごく印象悪くなるんじゃないかと思います。

 これは、他のBlossom板でもそうなのですが、Blossomは全体にトーションが強くフレックスが柔らかい造りなので、レースをやらない人がBlossomを試乗した場合、この日のような硬い良い雪と、逆にエッジが関係なくなる春のグサグサ雪ではフレックスの柔らかさが生きて評価が高くなります。ところが、試乗会の日がキョロ雪っぽくなると途端に、トーションの強さが災いして、まるで低評価になってしまうと思います。その辺り、試乗する側も気をつけなければなりませんし、代理店側もちょっとは考えてチューンナップしないと、ねえ。

 ちなみに、試乗板は全てブルーでしたが、これはコロナの影響で間に合わなかったとのこと。本当は、こういうコスメになるそうです。

2022022512070000

| | コメント (0)

« 2022年2月 | トップページ | 2022年4月 »