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2022年4月30日 (土)

ゴールデンと言う名の多忙

 GW初日の昨日、朝4時、愚妻Yと娘(仮称ケミ)は越後へ出発しました。6時40分にはみつまたに着いていたそうです。

 ワタシは見送ってから、軽く二度寝して仕事に出掛けました。この日は朝から立川です。

 立川の生徒さんがかなりやる気を見せて添削を持ってくるので、忙しく午前中を過ごして、昼は、こういう時の唯一のお楽しみ、ラーメン道楽でした。

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 立川ラーメンスクエアに新しく入った魚介醤油ラーメンの「独歩」さんです↑。

 スープはそれなりなのですが、「普通の倍の量があります」という麺は、やや柔らかすぎ。厚く切った煮豚と合わせてもやや単調でした。麺と煮豚が質より量という趣なので、もう少し工夫しないと一杯食べるのに途中で飽きるかも。

 一旦帰宅して夜は池袋の高校生でした。

 その間にYとケミさんは帰宅していました。今年は塾の関係で忙しく日帰りせざるをえません。

 みつまたは雪が激減していたとか。

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 ケミさんはTRだったのですが、Yはかぐらに上がりました。

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 かぐらBBQ台も衝撃的に雪が減っています。昨年同時期よりいくらかマシですが、あまり変わらないかも。

 この日はかぐらコブ選手権の日で、Yはギリギリまで出場を迷ったらしいのですが、結局、見送ったとか。

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 こんな感じなのだそうです。よく見ると、あらら、決定的瞬間。~o~

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2022年4月28日 (木)

乗り越える日々

 昨日、カリスマA師を引き継いだ授業の第一回が終わりました。

 故人の遺したプリントに頭を抱えさせられたのですが、とにかくこのままの方針では普通の人間は授業できません。その旨を正直に話すしかありませんでした。

 「A先生の遺志は引き継ぎたいけど、このプリントのやり方をオレが真似にしても中途半端になって、かえって皆さんのためにはなりません。皆さんを一か八かの状態で試験場に送り出すことになります。A先生のやり方を否定しているわけではありませんが、オレはオレのやり方で授業を進めさせてもらいます」

 という趣旨のことを少し丁寧に説明して、大半の生徒に納得してもらえたんじゃないかと思います。

 とりあえず、難関を一つ乗り越えた気分です。

 一方、愚妻Yは、ナントカ委員会の皆さんとメールを散々やり取りした結果、PTA本部に書類を提出するためグーグルなんちゃらに作成した書類をアップせねばならないとかで、先ほどまで鬼の形相でPCとにらめっこして四苦八苦していたのですが…。

 努力するものには奇跡的幸運も訪れるものなんですね。~o~;;

 突然、「ええっ!ええっ!」と驚きの声が上がったと思ったら、「出来ちゃった…」。

 なんとかこちらも難関を乗り越えた模様。~o~

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2022年4月27日 (水)

「初」の味わい

 昨日は、授業の無い日でしたが、一日、机の前でアレコレと悩んでいました。

 月曜にカリスマA師と組んでいたクラスの挨拶は無事済ませたのですが、水曜にA師の代わりの授業をせねばなりません。一週目だけ故人が授業しているので、それを引き継いでの授業。

 こんなの初めてだよー。どうするんだろー。

 一週目に故A師が学習法のガイダンスをしているというので、そこで使ったプリントをもらって来たのですが、そのプリントの内容は…。イヤハヤ、控えめに言っても、かなり個性的です。

 こんなの初めて見ました。どうするんだろー。~o~;;

 と悩んでいたところへ、夕方、宅急便が届きました。高知県須崎市からのふるさと納税返礼品です。

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 地球に優しくということで段ボール包装。ナント、十本も鰹のタタキが入っていました。口コミを見ると、六、七本の人が多いようなので、これはかなり小ぶりのものなのでしょう。

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 確かに、切ってみても小ぶりな感じです。でも、藁焼きの香ばしさはあるし、初ガツオなんだから太ってなくて良いんでしょう。愚妻Yは「カツオって薬味に合いますねー」と満足。魚好きの娘(仮称ケミ)も美味しい美味しいと食べてくれました。

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 高知県土佐酒造さんの「桂月 特別純米超辛口」と合わせてみました。

 合い過ぎて、少し度を越しちゃったかも。~o~;;

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2022年4月26日 (火)

春の難易度

 一昨日の日曜、我が家は午前四時半出発でした。

 みつまたロープウェイは春営業の土日、七時運行開始になります。それに合わせて娘(仮称ケミ)のレーシングスクールも早く始まるので。

 早朝出発が苦手なお父さんは大変なんですケド…。~o~;;

 みつまたは曇りで少し風が強く、肌寒さを感じる日でした。気温が上がるという予報を信じて春スキーの格好で行ったワタシは、凍えることになりました。

 この季節なのでトレーニングバーンには硫安が大量に撒かれており、一応は硬いのですが、硫安の硬さは慣れないと微妙に難易度が高く、しかも、レーサーが数人滑れば掘れる箇所は掘れます。

 こういうのに慣れがある中学生以上のレーサーはすぐに対処するのですが、小学生たちと愚妻Yはかなり苦戦しました。

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 ケミさんも最初はこんな↑だったのですが…

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 馴れるにしたがってこなすようになります↑。

 トレーニングが進むのを見届けて、ワタシだけかぐらに上がりました。

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 水曜に比べて、15cmくらい融雪が進んでいました。でも、まだコブ底は大丈夫。

 八海山常連さんたちと再会したのも束の間、みつまたへ下ってトレーニング終了を待って二時には帰宅の途につきました。

 昨日は、一週間で一番ハードな、八時間授業の日でした。しかも、この週は先週急死した人と組んでいたクラスが二つあり、どう挨拶したらよいか、悩ましい日でした。

 なにしろ、亡くなったのはウチの予備校でも一、二のカリスマ、A師。生徒に何て声を掛けたら良いんだー。

 と悩ましく、難易度の高い挨拶でしたが、まあ、何とかなるモンですね。 

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2022年4月23日 (土)

世の無常とタニタのお告げ

 昨日は、午前中、立川で授業でした。

 授業終了後、電話があり、とんでもないことを知らされました。

 まあ、この仕事では時々あることとは言え…。

 二年前と違って高齢の方だったので年齢的な納得はいくのですが、なにしろ水曜夜に校舎でお会いして挨拶した方だったので。

 一学期第二週目から代わりの授業を何クラスかすることになりました。その準備を進めているのですが、イヤハヤ…。

 諸行無常などと四字熟語で片づけられる気分ではありません。

 それにつけてもこの仕事は体が資本です。ワーカホリックはこの仕事に付き物の宿業のようなものですが、もう年も年なので自分の仕事量は自分でしっかり管理しなければと改めて思い知らされました。

 タニタは、こんなことを言ってくれますけどね↓~o~;;。

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  昨日は、娘(仮称ケミ)が二度目のワクチン接種を済ませてきました。前回同様、何も痛くなかったとのことだし今のところ熱も出ていません。

 ワタシもこの生命力の強さに肖って、強く生きないと、ね。

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2022年4月21日 (木)

無理して叩いた水曜

 昨日、我が家は朝五時に出発しました。レーシングスクールのアダルト向け平日トレーニングに参加するためです。

 娘(仮称ケミ)も今回は参加です。先週Yが参加してトレーニング効率が良いことは判っていました。ここを逃すと折角覚えかけた逆手の技術を習得しきれないままシーズン終りそうだったので、まあ、親族の誰かさんをまた結婚させちゃえ。~o~;;

 みつまたには7時40分頃の到着。快晴でしたがそれほど気温が上がらず、良いトレーニング日和でした。

 まずショートポールでバリエーショントレーニングでした。

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 ケミさんは、こういう時、我が子ながら恐ろしいほどキレキレの滑りをします。

 二人が順調にトレーニングしているのを確認して、ワタシだけかぐらに上がりました。

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 定点観測地点のBBQ台が、20cmほど出て来ました。2018年のこの頃に近いかな。

 でも、まだまだ積雪十分。コブ底はまだ全く安心です。

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 数本でみつまたに帰ると、ロングポールを立てているところでした。

 バリエーショントレーニングの後、すり抜けを数本。やはり、ケミさんはキレキレの滑りです。

 最後の数本というところで主任コーチから、「叩いて良いですよ」という指示がでました。Yクンは、さっそく「右」を炸裂させていましたが、ケミさんは、なかなか叩こうとしません。

 とうとう主任コーチから、「ケミは最初から全部叩いていきなさい。叩くの失敗したら、そこから担ぎ上げでやり直し」という指令が出て…。

 最初は4旗門ほどでやり直し、2本目は、8旗門まで叩いて、

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 「痛ーい!」という叫びとともに諦めてアウト。逆手は、変な角度で叩くとポールのはね返りを食らうことになります。

 そこからの担ぎ上げは、さすがにシンドそうでした。その間に覚悟が決まったのか…。

 三本目スタート。

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 良い感じで入りました。

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 途中、「痛ーい」という叫び声が何度か上がりましたが、

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 必死で叩き続けて、

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 最後まで行きました。やったー!!

 とゴールしたケミさんに急いで滑り寄って、「やったねー!!」と声を掛けたのですが、本人はよほど痛かったのか、怒ったような顔でした。~o~;;

 この日、Yクンもかなりの上達を見せ、「右」が安定した↓だけでなく「左」もかなり行けてました。

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 二人とも、多少無理しても来た甲斐があったねえ。

 2時半にはみつまたを出て5時半過ぎに帰宅しました。

 実は、この日、一番無理をして来たのはワタシでした。6時半には横浜に仕事に出掛けねばならなかったので。~o~;;

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2022年4月19日 (火)

続変わること変わらないこと

 日曜は娘(仮称ケミ)の塾の大事な模試でした。一日大変だった模様。

 問題を見ましたが、国語などはかなり難しいことやってます。理科社会は、それなりに出来たようですが、算数が…頑張ったんだろうと思うけど、我が家の算数の先生はちょっと不満そう。~o~

 ワタシの方は、大変な月曜の第一週が終了しました。今年度も月曜は朝一番の横浜から、吉祥寺への移動付き八時間授業です。相変わらずハードの極み。

 今年は、例年に比べて「古文は苦手」「文転して古文は未修」という生徒さんの相談が多かったかもしれません。なるべく面倒見てやらなければ。

 一方、PTAのナントカ委員会委員長様は、今日は、半日、委員の皆様とのメールのやり取りで過ごしました。かなり頭を抱えてます。~o~;;

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2022年4月16日 (土)

変わること変わらないこと

 予備校の一学期が木曜から始まりました。

 今年は、いろいろと変化があり戸惑うこともあるのですが、予備校屋というのは最終的には一人でやる仕事なので、多少環境が変わっても授業は同じ。学習法プリントを渡して「買ってはいけない」バナシを淡々とリピートしています。

 愚妻Yは、PTAのナントカ委員にくじ引きで当てられ嘆いていたら、さらに、ナントカ委員会の委員長のくじ引きにも当たってしまったとかで、悲鳴をあげています。

 「アタシ、『長』なんて今までの人生でつけられたことないんデス!」

 でも、本人の陰々滅滅具合に反して、他の委員が働いてくれるためか、それほど大変でもなさそう…。

 一方、娘(仮称ケミ)の一学期も当然始まっていますが、五年生に引き続いて自主学習とやらがあり、三度目でした。

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 今度は『古今集』です。今まで通りの勘頼みでもある程度の訳はしてくれそうだったので、古語辞典を貸してあげたら、けっこう普通に使いこなしました。

 「『ます』って引いてごらん」と指示したら、ちゃんと尊敬語であることを理解して、そういう説明を書き足してました。ふーん。

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2022年4月14日 (木)

春の満足さまざま

 昨日の水曜、愚妻Yは午前五時に出発しました。みつまたでレーシングスクールの主任コーチがアダルト向けトレーニングを組んでくれたので。

 Yの出発を見送った後、娘(仮称ケミ)を起こして一緒に朝食を取りました。こういうパターンは我が家では珍しく、二人ともなんとなく落ち着きません。

 ケミさんを学校に行かせてから、ワタシ一人でノンビリと仕事。さて、昼食はとなって先日再訪を誓った「一清」にしようかとも思ったのですが、こんな時しか行けない所と思い直して、隣の駅にある「くじら食堂」さんまで歩いて行ってみました。某たべログで3.7以上を誇るこの辺りの名店です。

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 醤油ワンタン麺↑です。スープから鶏出汁の良い匂いがします。中太平打ち縮れ麺がスープをよく持ち上げてくれます。肉感のあるワンタンも好み。

 このワンタン麺、昔、子供の頃食べていた田舎町の名店のと似てるなぁ。

 ちよっと嬉しくなりました。

 一方、その頃、Yの方は…

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 快晴のみつまたで主任コーチの少人数トレーニング。モノスゴク鍛えられていたようです。動画を見ましたが、うーーーん、上手くなったなー、コイツ。

 帰宅したのは五時頃でした。練習好きのYも大満足の内容だった模様。

 帰ってから夕食の準備をしてくれました。この日は、前日にワタシがペンションYの近くで取ってきたコレ↓を

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この季節の我が家の定番、フキノトウペペロンチーノにしてくれました。

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 いやー、山の生気が体をリフレッシュさせてくれます。満足満足。~o~

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2022年4月13日 (水)

春の急ぎ足

 日曜に帰京した我が家ですが、月曜の朝、ワタシ一人だけ再び出発しました。一学期開講前の束の間のお休みなので、年に数度の「自由への旅」です。

 例によって、米朝さんを堪能しながらのんびりドライブして、みつまた到着は昼過ぎでした。みつまたは前日に続いて快晴。気温も高いです。

 みつまたの雪はどんどん減ってます。

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 ゴンドラ乗り場は十日前に比べて階段四段分ほど出て来ました。

 しかし、かくらに上がると、

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 定点観測地点のBBQ台はまだ雪面の下でした。2019年同期がこんな感じで、2018年同期がこんな感じ。2017年の方がやや多いかもしれませんが、近年では突出した残雪の多さです。

 なにしろ、リフト下はまだコレですもん↓。

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 驚いたのは、田代湖にまだ薄氷がっ↓。

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 でも、第五リフト右上の斜面は、

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 ほとんど雪崩一歩手前です。

 春のかぐら名物も泳いでます。

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 急ぎ足で山に春が来ようとしています。

 この日の宿泊は、正月以来の八海山ペンションYでした。本当に久々に常連さんたちの消息を聞きました。

 ペンションY常連さんの栃木のTさんに、ナント、遅まきながら春が来たとー!

 ワタシが言うのもナンですが、求める者には誰にでも、春は来るモンなんですね。~o~

 翌日も急ぎ足でかぐらに回り、帰宅は午後五時過ぎでした。

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2022年4月11日 (月)

応援されて叩く

 昨日、我が家は四時半出発でした。イヤハヤ、この時間の出発はお父さんにはキビしひ。

 越後は快晴。気温はグングン上昇しました。周囲の山々の雪は見るからに激減しています。

 みつまた駐車場には七時過ぎ着でした。日曜でしたがそれほど駐車場は混んでいませんでした。

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 みつまたゲレンデの雪は1mほど減っているかもしれませんが、まだまだあります。

 トレーニングはSLでした。娘(仮称ケミ)は、パネルスラロームを数本やった後、両ストックを前に構えるトレーニング。

 最初はいかにも怖がっている滑りで主任コーチに叱咤激励されていたりしたのですが…。

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 徐々に安定して良い音を響かせるようになりました。

 コーチ陣にも他のお子さんの父兄にも応援していただき、

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 最後には、右なら、かなり完全に近い形で数本叩けるようになり、本人は納得。「今日、すごく上手くなった~」

 でも、みんな、キミならもっと出来ると期待しているんだけどね。~o~

 愚妻Yの方は、右がかなり安定し、左でもチラホラ叩けるようになりました。上手くなるスピードが娘より速くないかい。

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 本人は、それでも「なかなか上手くなれませーん」と不満そう。欲の深いヤツです。

 この日、一泊する予定だったのですが、月曜はレーシングのトレーニングをしている所がなく、急遽日帰りとなりました。渋滞にもあって、帰宅は八時過ぎでした。

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2022年4月 9日 (土)

息の長い須磨二題の三~『源氏物語』に関する些細なこと18

 息の長い文をもう一つ。

 須磨退去を決めた後、左大臣邸を訪れ左大臣と語る光源氏の会話文中の一節です。本文は『新編古典全集』です。

 「さしてかく官爵をとられず、あさはかなることにかかづらひてだに、公のかしこまりなる人の、うつしざまにて世の中にあり経るは、咎重きわざに外国にもしはべるなるを、遠く放ちつかはすべき定めなどもはべるなるは、さまことなる罪に当たるべきにこそはべるなれ。濁りなき心にまかせてつれなく過ぐしはべらむもいと憚り多く、これより大きなる恥にのぞまぬさきに世をのがれなむと思うたまへ立ちぬる」

 『新編古典全集』では次のような訳をつけています。

 「この私のようにはっきりと官位を取り上げられるのでなく、いささかの軽い罪に触れただけでも、朝廷の勘気をこうむって謹慎しております者が日常の世間交わりをしてゆくのは、異国でも罪の重いこととしておりますようでございますから、まして、この私に関して異国へ流罪に処するご沙汰などもございます由なのは、特別に重い罪科に当たることになるのでございましょう。心に何一つやましいことがないと信じておりますが、それだからとて素知らぬ顔で過ごしておりますのもまことにはばかり多いことですので、これ以上に大きな辱めにあわないうちに進んで世の中をのがれてしまおうと決心させていただいたのです」

 この部分の訳は、旧全集では、「まして」を欠いています。つまり、旧全集では「だに」を所謂<最小限の限定>「せめて…だけでも」で取ろうとしていたということでしょう。さすがにそれは無理がありそうなので、「まして」を入れて「だに」の<類推>の意をはっきりさせようとしたのだと思います。これも、『完訳』からなので、前々回の記事で触れた「であっても」の訳と同様、故S先生の御意見による修正なのだと思います。

 <類推>の、程度の軽いものをあげ言外に重い物のあることを類推させるという意から考えて、「さしてかく官爵をとられず、あさはかなることにかかづらひて(はっきりと官位を取り上げられるのでなく、いささかの軽い罪に触れた)」という程度の軽いものが「遠く放ちつかはすべき定めなどもはべるなる(異国へ流罪に処するご沙汰などもございます由)」という程度の重いものと対応するというお考えだと推測されるのですが、「さしてかく官爵をとられず、あさはかなることにかかづらひて」は、「うつしざまにて世の中にあり経る」という条件が加わって初めて「咎重きわざ」となるのに、「遠く放ちつかはすべき定めなどもはべるなる」には、「うつしざまにて世の中にあり経る」がないのに「咎重き」ということになってしまいます。

 程度の軽いもの・重いものの対応関係がキレイに出て来ません。そのために訳文が何だかスッキリ理解できません。

 この問題を解決するには、句読点の打ち方を変える必要がありそうです。

 「遠く放ちつかはすべき定めなどもはべるなるは、さまことなる罪に当たるべきにこそはべるなれ」の後を読点にしてこの部分を挿入句として扱い、次の部分の主語になる「私」を説明していると解釈すると、不思議なほどに文脈がスッキリします。そのセンで訳文を作るとこうなります。

 「この私のようにはっきりと官位を取り上げられるのでなく、いささかの軽い罪に触れてさえ、朝廷の勘気をこうむって謹慎しております者が日常の世間交わりをしてゆくのは、異国でも罪の重いこととしておりますようでございますのに、私に関しては異国へ流罪に処するご沙汰などもございます由なのは、特別に重い罪科に当たることになるのでございましょうから、まして、その私が、何一つやましいことがないと信じております心に任せて素知らぬ顔で過ごしておりますのも、まことにはばかり多いことですので、これ以上に大きな辱めにあわないうちに進んで世の中をのがれてしまおうと決心させていただいたのです」

 こういう処理を施すと、とても息の長い文が出来てしまいますが、なにしろ、須磨前半には息の長い文が他にも存在しますからねえ。~o~;;

 これで良いんじゃないかしらん。

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2022年4月 8日 (金)

息の長い須磨二題の二~『源氏物語』に関する些細なこと18

 昨日の続きです。

 この問題を解決するには、副詞「なほ」をどうにかしなければなりません。「なほ」は、本来、「その事態を否定するような状況があるにもかかわらず、事態に変化がなく続いていくさまを表す」(『ベネッセ古語辞典』)などと説明される語ですが、「以前の状態や他のものに比べていっそう程度が進んださまを表わす」こともあるとされ、訳語として「ますます・いちだんと・もっと・ずっと・さらに」などが挙げられています(『日本国語大辞典』)。

 それをそのまま『新編古典全集』の訳に代入して「やはり」を取って二つ目の「だに」も「さえ」で訳して、「だに」の類推の意を明確にするために「まして」を補うと、

 「これがどこをどうさまよっても、必ずまた逢えることが分っていらっしゃるような場合でさえさらに、ほんの一日二日の間別れ別れで寝起きする折々でさえ、気がかりに思われ、女君のほうもただ心細いお気持ちになられたのだから、まして、このたびは幾年どのくらいというきまりのある旅でもなく、再会を期して行方もしらず果てもなく別れて行くにつけても、無常の世の中であるから、もしかしたらこれがこのまま永の別れの旅立ちにでもなりはせぬかとたいそう悲しいお気持ちになられるので」

のようになります。何だか、この方がスッキリして分かり易いですねえ。

 そもそも、この「だに」は二つとも類推の意と考えられるのですが、類推「だに」とは「程度軽いものをあげ、言外に重い物のあることを類推させる」(『ベネッセ古語辞典』)なのですから、このように訳すことで、「行きめぐりてもまたあひ見むことを必ずと思さむにて」「一日二日のほど、よそよそに明し暮らすをりをり」という「おぼつかなきものにおぼえ」る程度の軽いものと、「幾年そのほどと限りある道にもあらず」「逢ふを限りに隔たり行かん」という「おぼつかなきものとおぼえ」る程度の重いものの対比がキレイに示されて、とても論理の筋道が通っている感じになります。

 ただし、この「なほ」を「さらに」と訳すことが語学的に許されるのかというと、そこが今一つ明確ではありません。古語辞典の類では、「以前の状態や他のものに比べていっそう程度が進んださまを表わす」意の「なほ」には、単純に動詞に掛かっていく「なほ行き行きて」や「なほ奥つ方に生ひ出でたる」などの用例しか示されておらず、このような長い条件句同士を接続詞的に結ぶ用法を、「なほ」に認めて良いのかどうか…ちょっと自信がありません。

 でも、この部分をスッキリ訳すには、これしかないんじゃないかしらん。

 ちなみに、例の文豪は、この二つの「だに」を二つとも「さえ」で処理していて上記の訳に近いのですが、「なほ」はバックレて無視します。

 さすが、文豪…。~o~;;;

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2022年4月 7日 (木)

息の長い須磨二題の一~『源氏物語』に関する些細なこと18

 昨日、春期講習が無事終了しました。娘(仮称ケミ)の小学校も始まったので、我が家はしばらく平穏な日が続きます。

 んで、『源氏』「須磨」巻です。「些細なこと17」で取り上げた文章の直後には長大なセンテンスが続きます。

 「うきものと思ひ棄てつる世も、今はと住み離れなんことを思すには、いと棄てがたきこと多かる中にも、姫君の明け暮れにそへては思ひ嘆きたまへるさまの心苦しうあはれなるを、行きめぐりてもまたあひ見むことを必ずと思さむにてだに、なほ一日二日のほど、よそよそに明かし暮らすをりをりだにおぼつかなきものにおぼえ、女君も心細うのみ思ひたまへるを、幾年そのほどと限りある道にもあらず、逢ふを限りに隔たり行かんも、定めなき世に、やがて別るべき門出にもやといみじうおぼえたまへば、忍びてもろともにもやと思しよるをりあれど、さる心細からん海づらの、波風よりほかに立ちまじる人もかならんに、かくらうたき御さまにてひき具したまへらむもいとつきなく、わが心にもなかなかもの思ひのつまなるべきを、など思し返すを、女君は、『いみじからん道にもおくれきこえずだにあらば』とおもむけて、恨めしげに思いたり」

 心内語と会話文を含み込むとはいえ、ずいぶんと息の長い文です。

 ちなみに、「須磨」巻前半には、こういう息の長いセンテンスが多いように思います。単なる印象ですが、この傾向は「賢木」あたりで源氏の不遇が始まるとともに顕著になるのではないでしょうか。

 閑話休題。この文のどこが「些細」なのかというと、

 「行きめぐりてもまたあひ見むことを必ずと思さむにてだに、なほ一日二日のほど、よそよそに明かし暮らすをりをりだにおぼつかなきものにおぼえ、女君も心細うのみ思ひたまへるを、幾年そのほどと限りある道にもあらず、逢ふを限りに隔たり行かんも、定めなき世に、やがて別るべき門出にもやといみじうおぼえたまへば」

の部分の処理です。この部分を小学館『新編古典全集』では、次のように訳しています。

 「これがどこをどうさまよっても、必ずまた逢えることが分っていらっしゃるような場合であっても、ほんの一日二日の間別れ別れで寝起きするとなると、そんな折々ですら、やはり気がかりに思われ、女君のほうもただ心細いお気持ちになられたのだから、このたびは幾年どのくらいというきまりのある旅でもなく、再会を期して行方もしらず果てもなく別れて行くにつけても、無常の世の中であるから、もしかしたらこれがこのまま永の別れの旅立ちにでもなりはせぬかとたいそう悲しいお気持ちになられるので」

 「また逢えることが分かっている」を「一日二日別れ別れで寝起きする」に逆接仮定条件でつないでいく処理をしています。実は、これは玉上琢彌博士の『源氏物語評釈』に出て来る解釈です。また新潮社『古典集成』も頭注で「お思いの場合でも」と同様の解釈をしています。

 しかし、これは文法的にはかなり無理な訳と言わざるを得ません。どの古語辞典を見ても、副助詞「だに」を「であっても」と訳して良いという理屈は出て来ません。

 ところが、小学館旧全集では、この部分を、

 「必ず逢うことになっているのだとわかっていらっしゃる場合でさえ、ほんの一日二日の間別々で寝起きする折々ですら」と訳しています。これなら、副助詞「だに」の処理としては自然です。

 旧全集と新全集の間に出版される『完訳日本の古典』では、すでに「であっても」ですから、この「であっても」は完訳から執筆陣に加わった故S先生の御意見の反映と考えられます。

 しかし、故S先生はこんな無理な訳をする方じゃないと思うのですが、何故、文法的に自然な旧全集の訳を変えたんでしょう。

 察するにその判断は、「思さむにてだに」「明かしくらすをりをりだに」と「だに」が並列されている珍しい文構造と、二つの「だに」の間の副詞「なほ」の関係に起因するものだったんではないかと思います。

 旧全集では、この「なほ」には「『おぼえ』にかかる」という頭注がついていて、「やはり気がかりに思われ」と新全集の訳と同じ訳が施されています。しかし、頭注がついているということは係り受けの関係が不自然だからでしょう。「なほ…をりをりだに…おぼえ」というまとまりの外側に「をりをりだに」と並列される「思さむにてだに」が存在する文構造には、やや違和感が感じられます。

 しかし、だからといって、現実に並列している「…だに…だに」の片方を、文法的に無理な逆接仮定条件で処理してしまうのは、いかがなものかと…。 

 長くなるので、続きはまた明日。

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2022年4月 4日 (月)

年代の特権さまざま

 昨日、愚妻Yと娘(仮称ケミ)は午前二時出発でした。レーシングスクールが苗場で早朝TRを計画してくれたので。

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 土曜にもあったのですが、春期講習があって参加できませんでした。苗場大斜面は放射冷却でW杯並みの硬いバーンだったそうです。

 この日はそれほどの硬さにはならなかったらしいのですが、それでもかなり締まったバーンが出来ていた模様。広大で斜度変化のある大斜面に思い切りよく張ったポールセットを滑るのは良い経験になったようです。

 こういうのは本当に若い時しかやらせてもらえないことなので、少し無理をしたけど参加させて良かったと思います。当人も楽しかったらしいです。

 早朝TRの後、二人は新幹線に飛び乗り、ケミさんの従妹Iちゃんのミュージカルを行徳で観劇し、また新幹線で越後へ戻るという離れ業をやらかしました。

 さて、二人が越後に行っている間、ワタシはラーメン道楽と春期講習でした。

 昨日は、「真ラーメンたがわ!」。ナント、あの絶品チャーシューの店がリニューアルして二郎インスパイアになってしまったというので、行ってみました。

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 野菜ちょいましの並盛ラーメンです↑。

 にんにくの量も選べたのですが、この後講習があるので「にんにく無し」。スープは優しい感じの美味しいスープだったので、大量のモヤシを美味しく食べることができましたが、あのチャーシューはなくなり、分厚い煮豚になっていたのは、少々ガッカリ。

 ちょっと物足りなさが残ったので、今度はにんにくを利かせたヤツにチャレンジしようかしら。

 でも、この手のラーメンは、もう年代的にギリギリですかねえ。~o~;;

 春期講習は、いつものカリスマA師のテキストでした。今年はテキスト的にちょっとトラブルがあったのですが、そこは年の功で難なくクリア。こちらもやはり年代の特権ですかね。~o~;;

 今日は、昨年小金井に出来て早くも名店の誉高い「一清」に行ってきました。

 こちら、遅くなると行列が出来るらしいので開店直後の11時に行きました。雨の平日ということもあり、さすがに誰もいませんでした。

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 隣の寿司屋さんよりも寿司屋っぽい店構え↑。

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 看板らしいので塩を頼みました↑。

 良い香りのスープが食欲をそそります。このスープは滋味あふれると表現するべきなんでしょう。優しいスープです。

 麺が柔らか目とは聞いていたのですが、頬張ると不思議な弾力があり、こりゃ噛まずには飲み込んだりしたらもったいないなあ。

 チャーシューもハムのような歯ごたえがあり、噛むにしたがって肉の旨味が染み出します。おおお、「たがわ」から消えたあのタイプ。

 これも、この先十年過ぎたら年代的に食べにくくなるかしら。

 今だけの楽しみと思うと、是非再訪したくなりました。

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2022年4月 1日 (金)

第四十七回無名講師日記アクセスランキング

 恒例アクセスランキング。2021年12月1日~2022年3月31日のページビューPVの総数は、29034でした。前回に比べて大幅増ですが、一年前に比べると、あららら。

 実は、コレ、昨年同期と全く同じ書き出しです。ま、つまり、毎年同じようなことをやってると。~o~;;

 ベスト10はこんな感じでした。

1. トップページ                                  8506
           
2.夫婦で小回りその3(22'2/24)              992
              
3.夫婦で小回りその1(22'2/22)          933

4.雪と遊ぶ試乗2(22'2/8)           927

5.ブロッサム日和菅平その2(22'3/2)     824

6.スキー板試乗           801
           
7.雪と遊ぶ試乗その1 (22'2/7)   787
          
8.夫婦で小回りその2  (22'2/23)       711
    
9.ブロッサム日和菅平その1(22'2/23)      433

10.姫君は何を知らずと謡うのか      (10'6/10)  293
  
 毎年恒例で試乗モノが強いのですが、特に今年はスキー板試乗情報のサイトが再開してくれたため新しい試乗記事が圧倒的に強いです。 
 
 そんな中で、10位に入った「姫君は何を知らずと」は強いです。多分、この文章の解釈を必要とする人の検索で引っかかるんでしょうけど、一昨年8月に初めてベスト10入りして以来安定しています。試みに昨年4月から今年3月末までのアクセス数を出してみると、このブログ全体で3位、個別の記事ではぶっちぎりトップです。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                           
                                                                      
 いったい、何の検索に引っかかっているのやら。                                               

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