不相応の初夏~『〇冊読むだけで古典文法の基本&覚え方が面白いほど身につく本』
今年は、かぐらのファイナルが一週早く来てしまい、さらに毎年この時期にあった特別授業もなく、一昨年以来の暇のある初夏です。
まあ、年も年なのでこのくらい暇があった方が良いのかも。
などと思いながら授業のためのプリントを作成。昨年からのカリキュラム変更があったり、引継ぎがあったりで、今までにないこともいろいろやってます。あんまり年相応じゃないなー。
時間があるし、こんなことを書いてしまったので、チェックしてみました。『〇冊読むだけで古典文法の基本&覚え方が面白いほど身につく本』。
結論から言うと、このタイトルはウソです。「面白いほど」身に付くとはとても思えません。かなり煩雑です。こんなことまで暗記かよと思わされるような所もあります。特に、敬語のあれこれを形だけで判別させようとするのは煩雑になるだけで無理があるんだが。
前の本で、「『き』の主語は『自分』」というかなりのヤラカシがあったのはある程度修正されています。
でも、細かいことを言えば、「『、』の上は連用形」なんていう有名講師A譲りのデタラメが出てきたり、「る・らる+打消=可能」というこの手の本でお馴染みのヤバい公式も出てきたりして油断できません。
また、「『べき由』の『べき』は命令」となどという出所不明のヤラカシも出て来ます。
「べき由」の「由」は誰かの会話文の趣旨をまとめることが多いので、「~べき由仰せらる」などと貴人の発言をまとめる場合、「べき」は命令になりやすいと言えるでしょうが、「~べき由聞こゆ・~べき由申す」が命令になるはずないんだが…。~o~;;
まあ、いくつかヤバそうな箇所は出て来ますが、それを「絶対」「確実」などと言わずに、「文脈判断が大事」「訳して確認することが必要」と柔らかく言ってるから、例のT井とかいう無責任な人より人間として二百倍くらいマシですかね。
この本で一番問題なのは、冒頭の「レベルフリー」宣言ですね。某W大やら国公立上位やら校を目指す人には、暗記して形で判断というこの本の方向性は、あまりお勧めしたくないです。
というか、ある程度の知力学力のある層には、この本で教えている覚え方解き方はマイナスに働くはずです。
結局、自分の方法論に相応のレベル設定が許されなくなった時点で、予備校屋としては一皮剥けないといけなかったんじゃないんですかい。
と年相応な小言ジジイを決め込んでみたんだけど、どうかしらん。~o~
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